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外伝 ~ヨツバ王国編~
カレハの切り札
「ツバサさん、いえ、ツバサ。貴方にも王命として命じます。準備を整え次第、北方の領地へ向かいなさい。そこで北聖将軍の指揮を取り、バルトロス王国の動向を探りなさい」
「……はっ」
王命という言葉にツバサも逆らう事は出来ず、承諾するしかない。しかし、二人の将軍が王都を離れた事例など存在せず、他の家臣達も進言を行う。
「こ、国王代理……もしも仮にツバサ殿、クレナイ殿の両名が不在の時に王都へ賊が侵入した場合は誰が対処を行うのですか?ここは西聖将殿を呼び寄せ、王都の守護を任せるのもよろしいかと……」
「それは出来ません。西聖将を無暗に動かす事はあってはなりません。あの方はこのヨツバ王国内で最も重要な土地を任せているのです。ですが、皆さんの不安も理解しています。六聖将が不在の中、王都を守れる人材は確かに必要でしょう。そこで私はある人物を新たな将として迎え入れる事を提案します」
「新たな将……!?」
カレハの言葉に玉座の間に動揺が走り、ヨツバ王国で将軍を名乗れるのは「六聖将」だけである。つまり、カレハは死亡したハシラと反旗を翻して将軍の座を剥奪されたギンタロウの代わりとなる新しい六聖将を加えると宣言した。そんな彼女の判断に真っ先にクレナイが反対する。
「国王代理!!それは新たな六聖将を任命するという事を意味しているのならば我は反対する!!今現在、六聖将を務められる程の器を持つ者はヨツバ王国には存在しない!!」
「私も反対です国王代理!!六聖将はこのヨツバ王国を代表する将、国のために生涯尽くす忠誠心、全員に認められる功績、何よりも将としての実力を伴っていなければ賛成出来ません!!」
「御二人の意見は尤もです」
二人の反応を予測していたかの様にカレハは頷き、他の家臣たちの顔色を窺い、ほぼ全員が反対を示している事を察する。しかし、カレハは絶対の自信があるかのように兵士の一人に合図を行う。
「彼女をここへ連れてきなさい」
「はっ!!」
「……彼女?」
命令を受けた兵士は即座に扉の外へ向かい、カレハの言葉を聞いて新たな六聖将へ加入する者が「女性」だと知ったクレナイとツバサはますます訝しむ。少なくとも二人が知る現時点のヨツバ王国の人材の中で六聖将の座に相応しい人物は心当たりがなく、強いて言えば王国四騎士のアカイやリンダ、ツバサの妹であるハヤテ、もしくは彼女の弟子の剣聖のシュン、ハヅキ家の当主を務めるハヅキが存命ならば納得出来るが、兵士が連れてきたのは誰もが予想外の人物だった。
「国王代理、お連れしました!!」
「ええ、ありがとう」
「…………」
事前に準備は済ませていたのか、兵士はすぐに全身を純白のローブを身に着けた女性を引き連れ、ローブの隙間から見える美貌に家臣の何人もが圧倒される。基本的には人間よりも容姿が優れている森人族の中でも一際目立ち、美しい女性だった。女性は兵士に連れられるままにカレハの元へ赴き、ローブから顔を出す。
「なっ……!?」
「まさかっ……!?」
「こ、この御方は!?」
女性の顔が完全に露わになると、クレナイとツバサも息を飲み、他の家臣の何人かも驚愕の表情を浮かべる。彼等が驚いたのは女性の美貌ではなく、その顔に非常に見覚えがあったからであり、カレハは改めて説明を行う。
「皆さんも彼女の顔に見覚えがあるでしょう?そう、彼女はハヅキ家の当主であるアイラ・ハヅキ……の娘の「マリア」よ。皆さんも名前はよく耳にしているでしょう?」
――全員の目の前に現れたのは虚ろな瞳で無表情な状態のまま立ち尽くす「マリア」が存在し、カレハ玉座から立ち上がるとマリアの肩に手を伸ばす。マリアはカレハにされるがままに抵抗する素振りすら見せず、黙って従う。
「マリア、だと……」
「ハヅキ様のご息女の……!?」
「王国で冒険者ギルドを経営していると聞いていたが……」
マリアが現れた事で全員が動揺を隠しきれず、まさかハヅキ家の家系の彼女を六聖将に加えるという判断に戸惑いを隠せない。しかし、いくらハヅキ家の者とは言え、ヨツバ王国を離れていた彼女に六聖将の座を与える事にクレナイは反感を示す。
「国王代理、この者がハヅキの娘であるマリアというのは本当か?」
「ええ、間違いありません」
「だとしても!!この者に六聖将の資格があるとは思えん!!年齢が若すぎるし、そもそも国を去った森人族に六聖将の座を与えるなどあってはならない!!」
「私も同意見です!!いくらハヅキ殿の娘とは言え、彼女が六聖将に相応しいとは……」
「ならば御二人を納得させる力を見せましょう」
クレナイとツバサの反対の意思が固い事を知ると、カレハはマリアの耳元に何事か囁き、その後に二人と向き合う。
「今からクレナイ殿とこのマリアで試合を行うのはどうでしょうか?彼女が六聖将の座に相応しい力を持つかどうか、クレナイ殿が確かめるのです」
「試合……だと!?」
「クレナイ殿と……マリア殿が?」
カレハの思いも寄らぬ提案にクレナイとツバサは驚くが、マリアはクレナイの方へ振り返ると、ゆっくりと口を開く。
「カレハ様の……命令とあらば」
「……面白い、では我がお前の力を確かめてやろう!!」
恐らくはバルトロス王国内でも最強の魔術師と謳われるマリアと、ヨツバ王国内の最強の騎士であるクレナイの試合が決定し、二人はカレハの指示の元で城外にて力を競い合う事になった――
――この1時間後、二人の戦闘によって王都の城外にて天変地異を想像させる程の被害が発生する事になる。
「……はっ」
王命という言葉にツバサも逆らう事は出来ず、承諾するしかない。しかし、二人の将軍が王都を離れた事例など存在せず、他の家臣達も進言を行う。
「こ、国王代理……もしも仮にツバサ殿、クレナイ殿の両名が不在の時に王都へ賊が侵入した場合は誰が対処を行うのですか?ここは西聖将殿を呼び寄せ、王都の守護を任せるのもよろしいかと……」
「それは出来ません。西聖将を無暗に動かす事はあってはなりません。あの方はこのヨツバ王国内で最も重要な土地を任せているのです。ですが、皆さんの不安も理解しています。六聖将が不在の中、王都を守れる人材は確かに必要でしょう。そこで私はある人物を新たな将として迎え入れる事を提案します」
「新たな将……!?」
カレハの言葉に玉座の間に動揺が走り、ヨツバ王国で将軍を名乗れるのは「六聖将」だけである。つまり、カレハは死亡したハシラと反旗を翻して将軍の座を剥奪されたギンタロウの代わりとなる新しい六聖将を加えると宣言した。そんな彼女の判断に真っ先にクレナイが反対する。
「国王代理!!それは新たな六聖将を任命するという事を意味しているのならば我は反対する!!今現在、六聖将を務められる程の器を持つ者はヨツバ王国には存在しない!!」
「私も反対です国王代理!!六聖将はこのヨツバ王国を代表する将、国のために生涯尽くす忠誠心、全員に認められる功績、何よりも将としての実力を伴っていなければ賛成出来ません!!」
「御二人の意見は尤もです」
二人の反応を予測していたかの様にカレハは頷き、他の家臣たちの顔色を窺い、ほぼ全員が反対を示している事を察する。しかし、カレハは絶対の自信があるかのように兵士の一人に合図を行う。
「彼女をここへ連れてきなさい」
「はっ!!」
「……彼女?」
命令を受けた兵士は即座に扉の外へ向かい、カレハの言葉を聞いて新たな六聖将へ加入する者が「女性」だと知ったクレナイとツバサはますます訝しむ。少なくとも二人が知る現時点のヨツバ王国の人材の中で六聖将の座に相応しい人物は心当たりがなく、強いて言えば王国四騎士のアカイやリンダ、ツバサの妹であるハヤテ、もしくは彼女の弟子の剣聖のシュン、ハヅキ家の当主を務めるハヅキが存命ならば納得出来るが、兵士が連れてきたのは誰もが予想外の人物だった。
「国王代理、お連れしました!!」
「ええ、ありがとう」
「…………」
事前に準備は済ませていたのか、兵士はすぐに全身を純白のローブを身に着けた女性を引き連れ、ローブの隙間から見える美貌に家臣の何人もが圧倒される。基本的には人間よりも容姿が優れている森人族の中でも一際目立ち、美しい女性だった。女性は兵士に連れられるままにカレハの元へ赴き、ローブから顔を出す。
「なっ……!?」
「まさかっ……!?」
「こ、この御方は!?」
女性の顔が完全に露わになると、クレナイとツバサも息を飲み、他の家臣の何人かも驚愕の表情を浮かべる。彼等が驚いたのは女性の美貌ではなく、その顔に非常に見覚えがあったからであり、カレハは改めて説明を行う。
「皆さんも彼女の顔に見覚えがあるでしょう?そう、彼女はハヅキ家の当主であるアイラ・ハヅキ……の娘の「マリア」よ。皆さんも名前はよく耳にしているでしょう?」
――全員の目の前に現れたのは虚ろな瞳で無表情な状態のまま立ち尽くす「マリア」が存在し、カレハ玉座から立ち上がるとマリアの肩に手を伸ばす。マリアはカレハにされるがままに抵抗する素振りすら見せず、黙って従う。
「マリア、だと……」
「ハヅキ様のご息女の……!?」
「王国で冒険者ギルドを経営していると聞いていたが……」
マリアが現れた事で全員が動揺を隠しきれず、まさかハヅキ家の家系の彼女を六聖将に加えるという判断に戸惑いを隠せない。しかし、いくらハヅキ家の者とは言え、ヨツバ王国を離れていた彼女に六聖将の座を与える事にクレナイは反感を示す。
「国王代理、この者がハヅキの娘であるマリアというのは本当か?」
「ええ、間違いありません」
「だとしても!!この者に六聖将の資格があるとは思えん!!年齢が若すぎるし、そもそも国を去った森人族に六聖将の座を与えるなどあってはならない!!」
「私も同意見です!!いくらハヅキ殿の娘とは言え、彼女が六聖将に相応しいとは……」
「ならば御二人を納得させる力を見せましょう」
クレナイとツバサの反対の意思が固い事を知ると、カレハはマリアの耳元に何事か囁き、その後に二人と向き合う。
「今からクレナイ殿とこのマリアで試合を行うのはどうでしょうか?彼女が六聖将の座に相応しい力を持つかどうか、クレナイ殿が確かめるのです」
「試合……だと!?」
「クレナイ殿と……マリア殿が?」
カレハの思いも寄らぬ提案にクレナイとツバサは驚くが、マリアはクレナイの方へ振り返ると、ゆっくりと口を開く。
「カレハ様の……命令とあらば」
「……面白い、では我がお前の力を確かめてやろう!!」
恐らくはバルトロス王国内でも最強の魔術師と謳われるマリアと、ヨツバ王国内の最強の騎士であるクレナイの試合が決定し、二人はカレハの指示の元で城外にて力を競い合う事になった――
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