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外伝 ~ヨツバ王国編~
マリアの疑惑
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――クレナイの下へ送った使者が東壁街へ帰還すると、氷雨の冒険者達は報告を受けて衝撃が走る。カレハ王女に拘束されていると思われたマリアが六聖将として迎え入れられているという事態に動揺を隠せず、急遽冒険者同士で話し合いが行われた。
「マリア様がヨツバ王国へ帰順しただと!?そんなの嘘に決まっている!!」
「あの御方が俺たちに何も言わずに国へ帰るはずがない!!」
「そうだ!!嘘に決まっている!!」
氷雨の冒険者の殆どはマリアがヨツバ王国に従ったなどとは信じられないが、それ以外のギルドの者たちは疑惑を強める。
「しかし、この状況でクレナイとやらが嘘を言う理由はない。まずは王都へ密偵を送り込み、事実確認を行う方が先決じゃないか?」
「てめえっ!!マリア様が俺たちを見捨てたというのか!!」
「い、いや……そういう訳じゃないが」
「どちらにしてもクレナイの軍隊はもう明日か明後日にも到着するのだ。密偵を送る暇はない」
牙竜の冒険者はマリアが六聖将へ迎え入れられた事が本当なのかを確かめようと進言するが、現時点ではクレナイの軍隊が東壁街に迫っている以上は今から密偵を送り込むのも難しい状況である。事前に王都へ偵察へ向かわせている緑影からの報告を待つしかない。
「そもそも本当に氷雨の冒険者はマリア殿がヨツバ王国へ戻ったという話は知らないのか?お前たちが隠しているだけで、実は裏で話を合わせて我々を嵌めようとしているのではないのか?」
「何だとてめえっ!!お前等、俺たちを疑う気かっ!?」
「止めろ馬鹿共がっ!!」
牙竜の冒険者は氷雨に所属する冒険者達が実は裏でヨツバ王国と繋がり、自分達を陥れようとしているのではないかと疑う者も現れ、その言葉を聞いたガロが激高して冒険者に怒鳴りつけるが、そんな彼等にバルが一喝すると全員が黙り込む。
「今、この状況で仲間割れなんかしてどうするんだい!!私たちが戦う相手はヨツバ王国最強の軍隊なんだよ!!全員で力を合わせない限り、勝てる相手じゃないんだ!!」
「バルの言うとおりだ。不確定な情報に躍らされ、我々の団結が乱れる事は避けねばならん」
「その通りだ。この状況下で仲間内で争ってどうする。ここに迫りくる軍隊との決戦に備えるべきだろう」
黒虎のギルドマスターのバル、牙竜のギルドマスター代理のガンモ、氷雨の冒険者の中で最年長のロウガが全員を説得すると、その場に存在した冒険者は何も言い返せない。マリアが本当に六聖将に就任されたのかは今の状況では確かめる術がない以上、これ以上の話し合いは無意味である。
バルは溜息を吐きながらマリアの事を思い浮かべ、彼女の知る限りではマリアは決して人に従うような女性ではない。例え、拷問を受けたとしても彼女が自分の信念を曲げて他人に服従するなどあり得るはずがなく、仮にマリアが六聖将に入ったというのが事実だとしても何らかの事情があると信じていた。
(何やってるんだい、あの女狐……あんたの甥が大変な目に遭っている時に)
マリアの身を案じながらもバルは未だに目を覚まさないレナの身を案じ、早く目覚めるように祈る――
――この翌日、遂にクレナイの軍隊が東壁街から数十キロも離れていない場所に到着したという報告が届き、ギンタロウは判断を迫られる。籠城戦を行うべきか、それとも撃退のために出陣するか、選択に迫られた。
「ギンタロウ将軍!!出撃の準備は整っています!!ここは奇襲を仕掛けましょう!!」
「いえ、東壁街は天然の要塞、ここで籠城戦を行い、敵の士気が下がったところで攻め入るべきです!!」
「攻めるべきか、守るべきか……どうされますか将軍?」
「うむ……」
ギンタロウの側近のキンは出撃することを進言し、ギンは守備に徹することを進言するが、ドウに関してはどちらの意見も賛同せずにギンタロウの判断を仰ぐ。ギンタロウも今回ばかりは真剣な表情で思い悩む。
東聖将軍は数多くのケンタウロス族の兵士が存在し、仮に障害物の多い森の中も平地のように駆け抜け、ヨツバ王国の中でも最高峰の機動力を誇る。ヨツバ王国の精鋭部隊と呼ばれるクレナイの配下の軍隊であろうと対抗出来る力を持つが、相手の兵力は5000と考えると兵が3000でしかも東壁街の守備も考えて全軍は動かせない東聖将軍が不利となる。
籠城戦を挑む場合はクレナイの部隊は騎士の職業で構成されているため、魔法を得意とする者は少ない。だからこそクレナイは堅実に攻め入るのではなく、包囲網を築いて東壁街の兵糧が尽きるまで待機するだろう。クレナイの軍隊兵糧に関しては王都から補給されるため、長期戦を挑まれたらと東聖将軍が圧倒的不利だった。
どちらを選択しても東聖将軍の勝ち目は薄く、仮に北聖将軍が訪れた時のようにティナやその他の王族の石像を見せたとしてもクレナイの場合は納得して退散してくれるとは思えず、無理やりにでもティナを保護して他の王族3人の石像を持ち帰り、カレハ王女へ報告を行うだろう。
「マリア様がヨツバ王国へ帰順しただと!?そんなの嘘に決まっている!!」
「あの御方が俺たちに何も言わずに国へ帰るはずがない!!」
「そうだ!!嘘に決まっている!!」
氷雨の冒険者の殆どはマリアがヨツバ王国に従ったなどとは信じられないが、それ以外のギルドの者たちは疑惑を強める。
「しかし、この状況でクレナイとやらが嘘を言う理由はない。まずは王都へ密偵を送り込み、事実確認を行う方が先決じゃないか?」
「てめえっ!!マリア様が俺たちを見捨てたというのか!!」
「い、いや……そういう訳じゃないが」
「どちらにしてもクレナイの軍隊はもう明日か明後日にも到着するのだ。密偵を送る暇はない」
牙竜の冒険者はマリアが六聖将へ迎え入れられた事が本当なのかを確かめようと進言するが、現時点ではクレナイの軍隊が東壁街に迫っている以上は今から密偵を送り込むのも難しい状況である。事前に王都へ偵察へ向かわせている緑影からの報告を待つしかない。
「そもそも本当に氷雨の冒険者はマリア殿がヨツバ王国へ戻ったという話は知らないのか?お前たちが隠しているだけで、実は裏で話を合わせて我々を嵌めようとしているのではないのか?」
「何だとてめえっ!!お前等、俺たちを疑う気かっ!?」
「止めろ馬鹿共がっ!!」
牙竜の冒険者は氷雨に所属する冒険者達が実は裏でヨツバ王国と繋がり、自分達を陥れようとしているのではないかと疑う者も現れ、その言葉を聞いたガロが激高して冒険者に怒鳴りつけるが、そんな彼等にバルが一喝すると全員が黙り込む。
「今、この状況で仲間割れなんかしてどうするんだい!!私たちが戦う相手はヨツバ王国最強の軍隊なんだよ!!全員で力を合わせない限り、勝てる相手じゃないんだ!!」
「バルの言うとおりだ。不確定な情報に躍らされ、我々の団結が乱れる事は避けねばならん」
「その通りだ。この状況下で仲間内で争ってどうする。ここに迫りくる軍隊との決戦に備えるべきだろう」
黒虎のギルドマスターのバル、牙竜のギルドマスター代理のガンモ、氷雨の冒険者の中で最年長のロウガが全員を説得すると、その場に存在した冒険者は何も言い返せない。マリアが本当に六聖将に就任されたのかは今の状況では確かめる術がない以上、これ以上の話し合いは無意味である。
バルは溜息を吐きながらマリアの事を思い浮かべ、彼女の知る限りではマリアは決して人に従うような女性ではない。例え、拷問を受けたとしても彼女が自分の信念を曲げて他人に服従するなどあり得るはずがなく、仮にマリアが六聖将に入ったというのが事実だとしても何らかの事情があると信じていた。
(何やってるんだい、あの女狐……あんたの甥が大変な目に遭っている時に)
マリアの身を案じながらもバルは未だに目を覚まさないレナの身を案じ、早く目覚めるように祈る――
――この翌日、遂にクレナイの軍隊が東壁街から数十キロも離れていない場所に到着したという報告が届き、ギンタロウは判断を迫られる。籠城戦を行うべきか、それとも撃退のために出陣するか、選択に迫られた。
「ギンタロウ将軍!!出撃の準備は整っています!!ここは奇襲を仕掛けましょう!!」
「いえ、東壁街は天然の要塞、ここで籠城戦を行い、敵の士気が下がったところで攻め入るべきです!!」
「攻めるべきか、守るべきか……どうされますか将軍?」
「うむ……」
ギンタロウの側近のキンは出撃することを進言し、ギンは守備に徹することを進言するが、ドウに関してはどちらの意見も賛同せずにギンタロウの判断を仰ぐ。ギンタロウも今回ばかりは真剣な表情で思い悩む。
東聖将軍は数多くのケンタウロス族の兵士が存在し、仮に障害物の多い森の中も平地のように駆け抜け、ヨツバ王国の中でも最高峰の機動力を誇る。ヨツバ王国の精鋭部隊と呼ばれるクレナイの配下の軍隊であろうと対抗出来る力を持つが、相手の兵力は5000と考えると兵が3000でしかも東壁街の守備も考えて全軍は動かせない東聖将軍が不利となる。
籠城戦を挑む場合はクレナイの部隊は騎士の職業で構成されているため、魔法を得意とする者は少ない。だからこそクレナイは堅実に攻め入るのではなく、包囲網を築いて東壁街の兵糧が尽きるまで待機するだろう。クレナイの軍隊兵糧に関しては王都から補給されるため、長期戦を挑まれたらと東聖将軍が圧倒的不利だった。
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