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外伝 ~ヨツバ王国編~
魔刀術
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「回転!!」
「なっ!?」
竜巻を纏わせた状態でクレナイは大剣を振り払った瞬間、周囲の地面を抉りこんで生み出した土砂を吹き飛ばす。シズネだけではなく、敵味方の兵士を巻き込む程の威力を誇り、クレナイの周囲に存在した者達は例外なく散弾銃のように放たれた小石や砂利を受けて倒れ込む。
「きゃあぁっ!?」
「し、シズネ!?」
「今、助けに行くぞ!!」
シズネでさえも避けきれる事は出来ず、他の兵士達と共に地面に倒れ伏す。その光景を見た他の者達も駆けつけようとしたが、クレナイは止まらずに続けて戦技を放つ。
「地走!!」
「なっ、なんだとっ!?」
クレナイが大剣を下方から振り上げると、竜巻によって舞い上がった土砂が直線状に放たれ、前方100メートルまで吹き飛ぶ。その結果、地面に亀裂が走り、救援に向かおうとした者とシズネの間に線を作り出す。
「誰一人として近づけさせん……どうした、闘将の娘よ。お前の父親はこの我を相手に一歩も引かずに正面から打ち合ったぞ?」
「くっ……!?」
「駄目だシズネ君!!クレナイ、狙うなら俺を狙えっ!!」
父親の話を持ち出されたシズネは苦痛の表情を浮かべながらも起き上がり、雪月花を構える。そんな彼女に対してクレナイは接近し、その様子を見たギンタロウが助けに向かおうとしたが地裂によって阻まれてしまう。
「くそ、なんだよあのおっさん……フェンリルより強いんじゃないのか!?」
「これが六聖将筆頭の力……凄まじい」
「……けど、負けるわけにいかない」
「ぷるるんっ!!」
ダインの影人形によってクレナイの攻撃を防ぐ事に成功したゴンゾウ達は、シズネに接近するクレナイの様子を伺い、自分達がどう動くべきなのかを考える。このまま無策に突っ込んでも返り討ちに遭うだけであり、何か作戦を立てなければならない。
シズネの方も起き上がって気力を振り絞り、雪月花を構えるが先ほどの攻撃の際に左足を負傷し、血を流していた。あれでは動くこともままならず、次のクレナイの攻撃を防ぐ事も躱す事も出来ないだろう。一方でクレナイの方は負傷と疲労が着実に蓄積されており、額の汗を拭う。
(ぬうっ……我が、ここまで追い詰められるとはな。この者達は侮れん……ここで見逃せば確実にヨツバ王国の脅威へと変貌する。始末せねば……!!)
自分を拘束したダイン、かつてバルトロス王国にて自分と激闘を繰り広げた将軍の娘であるシズネにクレナイは警戒心を抱き、確実に仕留めるために身体の負担が大きい「魔刀術」を発動させ、止めを刺そうとした。
「これで終わりだ……覚悟!!」
「いいえ、終わるのは貴方よ」
「ぬうっ!?」
剣を地面に突き刺して立っているのがやっと状態だと思われたシズネは笑みを浮かべ、彼女に大剣を振り下ろそうとしたクレナイは異変に気付く。雪月花の刀身から凄まじい冷気が迸り、地面が凍り付く。異変に感づいたクレナイは咄嗟に距離を取ろうとしたが、既に彼の足元の地面も氷漬けにされ、動けなかった。
「七大魔剣、雪月花……この剣で切られた物は何であろうと凍り付く。例え、それが地面であろうと例外ではないわ」
「七大魔剣……だと!?」
「刺突・乱!!」
クレナイに向けてシズネは雪月花を地面から引き抜くと、一瞬の間に無数の突きを繰り出す。槍騎士の「乱れ突き」を上回る速度で繰り出された刃を受けたクレナイは後方へ倒れ込み、突き刺された箇所から徐々に氷結化していく。
「ぐおっ……こ、これは!?」
「終わりよ。直に貴方の全身は凍り付き、氷像と化すわ……そうなればもう貴方は何も出来ずに次の私の攻撃で砕け散る」
「ぐうっ……!?」
「父の無念、ここで晴らさせてもらうわっ!!」
胸元から氷結化を始めるクレナイに対してシズネは勝利を確信したが、クレナイは自分の身体が凍り付いていくにも関わらずに取り乱した様子も見せず、それどころか何事もなく起き上がると氷結化を始めた自分の鎧を脱ぎ捨てる。
「ふんっ!!」
「なっ!?そ、そんな馬鹿なっ……」
シズネは目の前で鎧を引き剥がし、脱ぎ捨てたクレナイを見て激しく動揺する。鎧越しにとはいえ、雪月花の刃に触れた身体が無事であるはずがなく、少なくとも凍傷は起こしていてもおかしくはない。しかし、上半身が裸になったクレナイの肉体には先ほどシズネ、ジャンヌ、ミナが付けた傷跡しか存在せず、他に傷ついた箇所や身体が凍り付く様子もない。
どうして雪月花の冷気によって肉体が凍り付かないのかと疑問を抱いたシズネはクレナイの身体を観察すると、彼の全身から風が発生している事に気付き、即座にシズネはクレナイの肉体の異変に気付く。
「まさか……風の力で私の雪月花の冷気を防いだというの!?」
「そういう事だ……我が生み出した嵐鎧は冷気さえも通しはせん!!」
驚くべき事にクレナイは全身に「嵐鎧」を纏う事で雪月花の斬撃から繰り出された冷気さえも吹き飛ばしたらしく、身に着けていた鎧は氷結化されてしまったが、彼の肉体は風の鎧によって守られていた。
※本日はコミカライズ版の第六話の更新日です!!新作「補助魔術師、補助魔法の重ね掛けで成り上がる」も投稿しました!!こちらは4月中に終わらせる予定です!!
「なっ!?」
竜巻を纏わせた状態でクレナイは大剣を振り払った瞬間、周囲の地面を抉りこんで生み出した土砂を吹き飛ばす。シズネだけではなく、敵味方の兵士を巻き込む程の威力を誇り、クレナイの周囲に存在した者達は例外なく散弾銃のように放たれた小石や砂利を受けて倒れ込む。
「きゃあぁっ!?」
「し、シズネ!?」
「今、助けに行くぞ!!」
シズネでさえも避けきれる事は出来ず、他の兵士達と共に地面に倒れ伏す。その光景を見た他の者達も駆けつけようとしたが、クレナイは止まらずに続けて戦技を放つ。
「地走!!」
「なっ、なんだとっ!?」
クレナイが大剣を下方から振り上げると、竜巻によって舞い上がった土砂が直線状に放たれ、前方100メートルまで吹き飛ぶ。その結果、地面に亀裂が走り、救援に向かおうとした者とシズネの間に線を作り出す。
「誰一人として近づけさせん……どうした、闘将の娘よ。お前の父親はこの我を相手に一歩も引かずに正面から打ち合ったぞ?」
「くっ……!?」
「駄目だシズネ君!!クレナイ、狙うなら俺を狙えっ!!」
父親の話を持ち出されたシズネは苦痛の表情を浮かべながらも起き上がり、雪月花を構える。そんな彼女に対してクレナイは接近し、その様子を見たギンタロウが助けに向かおうとしたが地裂によって阻まれてしまう。
「くそ、なんだよあのおっさん……フェンリルより強いんじゃないのか!?」
「これが六聖将筆頭の力……凄まじい」
「……けど、負けるわけにいかない」
「ぷるるんっ!!」
ダインの影人形によってクレナイの攻撃を防ぐ事に成功したゴンゾウ達は、シズネに接近するクレナイの様子を伺い、自分達がどう動くべきなのかを考える。このまま無策に突っ込んでも返り討ちに遭うだけであり、何か作戦を立てなければならない。
シズネの方も起き上がって気力を振り絞り、雪月花を構えるが先ほどの攻撃の際に左足を負傷し、血を流していた。あれでは動くこともままならず、次のクレナイの攻撃を防ぐ事も躱す事も出来ないだろう。一方でクレナイの方は負傷と疲労が着実に蓄積されており、額の汗を拭う。
(ぬうっ……我が、ここまで追い詰められるとはな。この者達は侮れん……ここで見逃せば確実にヨツバ王国の脅威へと変貌する。始末せねば……!!)
自分を拘束したダイン、かつてバルトロス王国にて自分と激闘を繰り広げた将軍の娘であるシズネにクレナイは警戒心を抱き、確実に仕留めるために身体の負担が大きい「魔刀術」を発動させ、止めを刺そうとした。
「これで終わりだ……覚悟!!」
「いいえ、終わるのは貴方よ」
「ぬうっ!?」
剣を地面に突き刺して立っているのがやっと状態だと思われたシズネは笑みを浮かべ、彼女に大剣を振り下ろそうとしたクレナイは異変に気付く。雪月花の刀身から凄まじい冷気が迸り、地面が凍り付く。異変に感づいたクレナイは咄嗟に距離を取ろうとしたが、既に彼の足元の地面も氷漬けにされ、動けなかった。
「七大魔剣、雪月花……この剣で切られた物は何であろうと凍り付く。例え、それが地面であろうと例外ではないわ」
「七大魔剣……だと!?」
「刺突・乱!!」
クレナイに向けてシズネは雪月花を地面から引き抜くと、一瞬の間に無数の突きを繰り出す。槍騎士の「乱れ突き」を上回る速度で繰り出された刃を受けたクレナイは後方へ倒れ込み、突き刺された箇所から徐々に氷結化していく。
「ぐおっ……こ、これは!?」
「終わりよ。直に貴方の全身は凍り付き、氷像と化すわ……そうなればもう貴方は何も出来ずに次の私の攻撃で砕け散る」
「ぐうっ……!?」
「父の無念、ここで晴らさせてもらうわっ!!」
胸元から氷結化を始めるクレナイに対してシズネは勝利を確信したが、クレナイは自分の身体が凍り付いていくにも関わらずに取り乱した様子も見せず、それどころか何事もなく起き上がると氷結化を始めた自分の鎧を脱ぎ捨てる。
「ふんっ!!」
「なっ!?そ、そんな馬鹿なっ……」
シズネは目の前で鎧を引き剥がし、脱ぎ捨てたクレナイを見て激しく動揺する。鎧越しにとはいえ、雪月花の刃に触れた身体が無事であるはずがなく、少なくとも凍傷は起こしていてもおかしくはない。しかし、上半身が裸になったクレナイの肉体には先ほどシズネ、ジャンヌ、ミナが付けた傷跡しか存在せず、他に傷ついた箇所や身体が凍り付く様子もない。
どうして雪月花の冷気によって肉体が凍り付かないのかと疑問を抱いたシズネはクレナイの身体を観察すると、彼の全身から風が発生している事に気付き、即座にシズネはクレナイの肉体の異変に気付く。
「まさか……風の力で私の雪月花の冷気を防いだというの!?」
「そういう事だ……我が生み出した嵐鎧は冷気さえも通しはせん!!」
驚くべき事にクレナイは全身に「嵐鎧」を纏う事で雪月花の斬撃から繰り出された冷気さえも吹き飛ばしたらしく、身に着けていた鎧は氷結化されてしまったが、彼の肉体は風の鎧によって守られていた。
※本日はコミカライズ版の第六話の更新日です!!新作「補助魔術師、補助魔法の重ね掛けで成り上がる」も投稿しました!!こちらは4月中に終わらせる予定です!!
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