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外伝 ~ヨツバ王国編~
降霊術
「……以上が手紙の内容です」
『…………』
手紙の内容を告げられたレナ達は黙り込み、やはりマリアが敵に回ったことを理解する。だが、確かに手紙の内容ではマリアの態度が普段の彼女を知る人間にとってはおかしな点が見受けられた。
「どうしてマリアはカレハ王女の命令を聞く?まさか、本当に操られているというのか……?」
「しかし、洗脳の類ではないとすると一体どうやって……」
「あのさ……僕、心当たりがあるんだけど」
ダインが手を上げると会議室の全員が彼に視線を向け、マリアがカレハの命令を聞く理由を彼なりに考え、ある魔法の事を話す。
「僕の家系は代々魔術師の家系なんだけどさ、全員が闇属性の使い手なんだよ。そのせいで闇属性の魔法の研究を続けていたんだ」
「闇属性の魔法だと……一体何が言いたい?」
「闇属性の魔法の中には「降霊術」と呼ばれる魔法が存在するんだよ。これは死霊使いが「死霊人形」を生み出す際にも利用される魔法と性質は似ているけど、こっちの場合は死体ではなく生物に死んだ人間の魂を憑依させる事が出来るんだ」
「なんと!?そんな事が出来るのでござるか!?」
死霊使いが死霊人形やアンデッドを生み出す場合、自身の闇属性の魔力を送り込んだり、あるいは死霊石と呼ばれる特殊な魔石を利用する。しかし、ダインの語る「降霊術」の場合は死体を蘇らせるのではなく、あくまでも生物に死んだ人間の魂を憑依させる方法があるという。
「死霊使いが死霊人形を生み出すとき、体内に死霊石を埋め込むのは知ってるよな?この死霊石は生きていた人間の素材を利用して作り出されているんだ。あ、ちなみに素材の内容は聞くなよ、僕も出来れば言いたくないから……」
「嫌な予感がするから聞かない」
「話を戻すけど、降霊術の場合は死霊石を死体ではなく、生きている人間に装着させるんだ。場合によっては肉体に埋め込む事もある。そうなると死霊石の素材となった人間の魂が憑依して、別人格が誕生して肉体を支配するんだ。つまり、死んだ人間が憑依して生きている人間を操作するんだ」
「何だと!?そんな馬鹿な話があるか!!死んだ人間が生きている人間を操って蘇るというのか!?」
「正確に言えば死霊石に宿った魂の残滓を利用して操り人形のように操作する魔法だよ。憑依といっても、生前の記憶なんか殆ど残っていないし、自分を宿した人間の言う事をだけを聞くんだ」
「では、マリア殿はキラウに降霊術とやらを掛けられて操られているのでござるか?」
「その可能性は高いと僕は思う……そうでなければ魔術師がそんな簡単に洗脳されるはずがない。特にマリアさんのような一流の魔術師は魔法耐性も高いからな……洗脳術なんかで操られるはずがない」
魔法の中には「洗脳」に関連する魔法も実在する。該当する魔術師の職業があるとすれば「魔物使い」であり、彼等は契約魔法を使用して魔物の操作を行う際、使役された魔物は少なからず使用者の影響を受けて性格が変化する事が多い。実際にティナが使役にしたアインもミノも野生で暮らしていた時と比べると性格も軟化し、無暗に他人を傷つけるような真似はしなくなった。これはティナの性格が優しく、無暗に彼女は人を傷つけるような人間ではないので、アインもミノも影響を受けて精神面にも影響が出た。
しかし、全ての魔術師は基本的に高い「魔法耐性」を誇り、仮に人間に魔物使いが契約魔法を施そうとしても効果は発揮しない。契約魔法はあくまでも魔物や動物にしか効かず、人間のように知能が高い存在には通用しない。ましてや魔法に対する耐性を持つ存在となると魔法その物が無効化されてしまう。しかもマリアのように魔術師の能力を極めた者に洗脳の類が通じる可能性は皆無である。
「ダイン、降霊術を解く方法はないの?」
「簡単だよ。身体の何処かに埋め込まれているはずの死霊石を取り外すか、あるいは聖属性の魔法を掛ければ憑依している魂は浄化されて簡単に解除されるよ」
『おおっ!!』
ダインの言葉を聞いて会議室の者達が声を上げるが、ハンゾウは冷静に問題を指摘した。
「けど……どちらの方法も、あのマリア殿を相手に実行しなければならないのでござる」
『…………』
マリアを相手に聖属性の魔法を施す、あるいは死霊石を取り出す、どちらの行為も必然的に彼女に接近しなければ成り立たない。恐らくは世界最強の魔術師であるマリアと戦わなければならない事を意味していた。
「ま、待ってください。その死霊石とやらをどうにかすればいいだけの話なんですよね?なら、緑影の方々が王都へ忍び込み、どうにかマリアさんから死霊石を取り外して貰えば……」
「リョウコ殿、申し訳ないが王都の王城の警備はあまりも厳重過ぎて我々でも手出し出来ません。それに先の七影との戦闘で私以外の全ての緑影が倒れています。戦力的に考えても王都への侵入は不可能です……」
「そもそも死霊石を奪われたら不味い事は相手も承知済みのはず、簡単に奪われないように対策は施しているのは間違いないでござる」
「結局、叔母様が一番の難敵という事か……」
会議室で誰もがため息を吐き出し、レナも改めてマリアという存在がどれだけ凄いのかを思い知らされる。今までは味方だったので頼りにしていたが、敵に回るとこれ以上に厄介で恐ろしい相手はいない。
『…………』
手紙の内容を告げられたレナ達は黙り込み、やはりマリアが敵に回ったことを理解する。だが、確かに手紙の内容ではマリアの態度が普段の彼女を知る人間にとってはおかしな点が見受けられた。
「どうしてマリアはカレハ王女の命令を聞く?まさか、本当に操られているというのか……?」
「しかし、洗脳の類ではないとすると一体どうやって……」
「あのさ……僕、心当たりがあるんだけど」
ダインが手を上げると会議室の全員が彼に視線を向け、マリアがカレハの命令を聞く理由を彼なりに考え、ある魔法の事を話す。
「僕の家系は代々魔術師の家系なんだけどさ、全員が闇属性の使い手なんだよ。そのせいで闇属性の魔法の研究を続けていたんだ」
「闇属性の魔法だと……一体何が言いたい?」
「闇属性の魔法の中には「降霊術」と呼ばれる魔法が存在するんだよ。これは死霊使いが「死霊人形」を生み出す際にも利用される魔法と性質は似ているけど、こっちの場合は死体ではなく生物に死んだ人間の魂を憑依させる事が出来るんだ」
「なんと!?そんな事が出来るのでござるか!?」
死霊使いが死霊人形やアンデッドを生み出す場合、自身の闇属性の魔力を送り込んだり、あるいは死霊石と呼ばれる特殊な魔石を利用する。しかし、ダインの語る「降霊術」の場合は死体を蘇らせるのではなく、あくまでも生物に死んだ人間の魂を憑依させる方法があるという。
「死霊使いが死霊人形を生み出すとき、体内に死霊石を埋め込むのは知ってるよな?この死霊石は生きていた人間の素材を利用して作り出されているんだ。あ、ちなみに素材の内容は聞くなよ、僕も出来れば言いたくないから……」
「嫌な予感がするから聞かない」
「話を戻すけど、降霊術の場合は死霊石を死体ではなく、生きている人間に装着させるんだ。場合によっては肉体に埋め込む事もある。そうなると死霊石の素材となった人間の魂が憑依して、別人格が誕生して肉体を支配するんだ。つまり、死んだ人間が憑依して生きている人間を操作するんだ」
「何だと!?そんな馬鹿な話があるか!!死んだ人間が生きている人間を操って蘇るというのか!?」
「正確に言えば死霊石に宿った魂の残滓を利用して操り人形のように操作する魔法だよ。憑依といっても、生前の記憶なんか殆ど残っていないし、自分を宿した人間の言う事をだけを聞くんだ」
「では、マリア殿はキラウに降霊術とやらを掛けられて操られているのでござるか?」
「その可能性は高いと僕は思う……そうでなければ魔術師がそんな簡単に洗脳されるはずがない。特にマリアさんのような一流の魔術師は魔法耐性も高いからな……洗脳術なんかで操られるはずがない」
魔法の中には「洗脳」に関連する魔法も実在する。該当する魔術師の職業があるとすれば「魔物使い」であり、彼等は契約魔法を使用して魔物の操作を行う際、使役された魔物は少なからず使用者の影響を受けて性格が変化する事が多い。実際にティナが使役にしたアインもミノも野生で暮らしていた時と比べると性格も軟化し、無暗に他人を傷つけるような真似はしなくなった。これはティナの性格が優しく、無暗に彼女は人を傷つけるような人間ではないので、アインもミノも影響を受けて精神面にも影響が出た。
しかし、全ての魔術師は基本的に高い「魔法耐性」を誇り、仮に人間に魔物使いが契約魔法を施そうとしても効果は発揮しない。契約魔法はあくまでも魔物や動物にしか効かず、人間のように知能が高い存在には通用しない。ましてや魔法に対する耐性を持つ存在となると魔法その物が無効化されてしまう。しかもマリアのように魔術師の能力を極めた者に洗脳の類が通じる可能性は皆無である。
「ダイン、降霊術を解く方法はないの?」
「簡単だよ。身体の何処かに埋め込まれているはずの死霊石を取り外すか、あるいは聖属性の魔法を掛ければ憑依している魂は浄化されて簡単に解除されるよ」
『おおっ!!』
ダインの言葉を聞いて会議室の者達が声を上げるが、ハンゾウは冷静に問題を指摘した。
「けど……どちらの方法も、あのマリア殿を相手に実行しなければならないのでござる」
『…………』
マリアを相手に聖属性の魔法を施す、あるいは死霊石を取り出す、どちらの行為も必然的に彼女に接近しなければ成り立たない。恐らくは世界最強の魔術師であるマリアと戦わなければならない事を意味していた。
「ま、待ってください。その死霊石とやらをどうにかすればいいだけの話なんですよね?なら、緑影の方々が王都へ忍び込み、どうにかマリアさんから死霊石を取り外して貰えば……」
「リョウコ殿、申し訳ないが王都の王城の警備はあまりも厳重過ぎて我々でも手出し出来ません。それに先の七影との戦闘で私以外の全ての緑影が倒れています。戦力的に考えても王都への侵入は不可能です……」
「そもそも死霊石を奪われたら不味い事は相手も承知済みのはず、簡単に奪われないように対策は施しているのは間違いないでござる」
「結局、叔母様が一番の難敵という事か……」
会議室で誰もがため息を吐き出し、レナも改めてマリアという存在がどれだけ凄いのかを思い知らされる。今までは味方だったので頼りにしていたが、敵に回るとこれ以上に厄介で恐ろしい相手はいない。
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