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外伝 ~ヨツバ王国編~
西聖将の元へ
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「精霊薬を確保できれば石化された人間を元に戻せるという事は……もしもデブリ国王を元に戻せばカレハ王女の権限も奪い返せるのかな?」
「はい、それは間違いありません。カレハ様はあくまでも「国王代理」として現在のヨツバ王国を纏めています。しかし、もしも国王様がお戻りになられればその権限は失われ、カレハ様の味方をしている家臣も逆らう事は出来ません」
「となると精霊薬を管理している西聖将の所へ向かい、精霊薬を受け取って国王の石化を解除すれば我々の勝利が確定するわけか……」
石像にされたデブリ国王だけでも元に戻せばカレハには大義がなくなり、元々彼女は王位継承権を剥奪されて隔離されていたため、彼女を支持していた者たちも離れる事は間違いない。ヨツバ王国がバルトロス王国に宣戦布告を行った理由はデブリ国王と他の王族が誘拐されたとカレハ言い張っているだけであり、もしもデブリ国王が王都に戻りさえすれば彼女の嘘は暴かれる。
しかし、精霊薬を確保するためには西聖将の元へ向かわなければならず、この東聖将の領地から西聖将の領地に向かうには色々と問題があった。最短距離で西聖将の領地へ向かう場合は東西南北の将軍の領地の中央部に存在する王都を横切らなければならず、迂回するとしても北聖将や南聖将の領地を移動しなければならない。どちらも既に軍隊が配置されており、移動するだけでも危険を伴う。
「猶予はそれほど残されてはいないはずです。明日にも王都から軍隊が派遣される可能性がある以上、一刻も早く西聖将と連絡を取らなければなりません。しかし、西聖将がもしもカレハに味方していた場合は我々に打つ手はありませんが……」
「そこまで考えていても仕方ないっすよ!!ここは一か八か、西聖将に協力を求めましょう!!」
「だが、移動するにしてもどうする?迂回するか、あるいは王都を通り過ぎるか、仮に西聖将の元へ辿り着けても精霊薬を持ち帰らなければならんぞ」
「いや、持ち帰る必要はないと思う」
「何だと?どういう意味だ?」
皆がどのような手段で西聖将の領地へ移動し、精霊薬を持ち帰る方法を話し合う中、レナはある方法を思い出す。この方法ならば最も危険が少なく、成功確率が高い。そう確信してレナは自分の考えた方法を説明する。
「俺がウルに乗って最短距離で西聖将の領地まで移動する」
「それって……まさか、お前また空間魔法を利用する気か!?」
「駄目ですよ兄貴!!また倒れちゃいますよ!?」
「それは駄目、今度こそ死ぬかもしれない」
「そうだそうだ!!」
「ぷるるんっ!!」
レナの言葉に仲間達はまた空間魔法の性質を利用して無茶をする気なのかと止めようとしたが、レナは首を振って別の方法を思いついた事を話す。
「いや、流石にあんな無茶はもうしないよ。俺が言いたいのは石像を運び出して、西聖将の領地で精霊薬を受け取って石化を解除させようと考えている」
「石像を運び込むって……そんな事ができるのか?」
「それは危険です!!移動するだけでも大変なのに重量の石像を運び込むなど……それに移動中に石像が壊れたらどうするつもりなのですか?」
リョウコはレナの提案を聞いて反対し、他の者達も同意する。だが、彼等の反応を予想していたレナは立ち上がると、意識を集中させて空間魔法を発動させて「黒渦」を作り出す。会議室に出現した黒渦を見て全員が驚き、その様子を確認したレナは空間魔法の性質を説明した。
「収納石を持っている人は知っているかもしれないけど、収納魔法や空間魔法を使用する時はこの黒渦の中に物体を収集しないといけない。この黒渦は生物以外の物体、要するに無機物なら回収する事ができる。黒渦の中に取り込まれた物体は異空間に保管され、必要な時だけに取り出す事も出来る。液体は取り込むことは出来ないけど、壺のような容器で密封した状態なら回収する事も出来るよ」
「へえ……改めて説明されると便利な魔法だよな」
「レナたんは収納石を持ってなくても魔法が発動出来るんだよね?いいな~便利そう!!」
「それで一体何が言いたいんだ?」
レナの説明を受けて改めて会議室の人間たちは収納魔法の原理や性能を知るが、それでレナが何を伝えたいのか分からず、ガンモは説明を促す。彼の言葉にレナは頷き、早速本題に入る。
「この黒渦を通して異空間に送り込めるのはあくまでも生物以外の物体のみ……けど、石像の場合は生物とみなされるのかな?」
「石像……まさか!?」
「まさか、そんな事が可能なのか!?」
「……盲点だった」
「考え付きもしなかったでござる!1」
「え、え!?ど、どう言う意味!?」
レナの説明を聞いて勘の良い人間はその場に立ち上がり、激しく動揺する。だが、ティナは他の人間たちがどうして騒ぎ出したのか分からずに戸惑う。そんな彼女を見てレナは分かりやすく説明した。
「要するに空間魔法を利用すれば石像にされた人たちを異空間に安全に預ける事ができるかもしれない、という事だよ」
「異空間に預ける……えっ!?そんな事が出来るのレナたん!?」
「普通の収納魔法では出来ないかもしれないけど、俺の空間魔法なら可能性はある……やってみる価値はあると思う」
全員がレナの意図を掴むと、本当にそんな事が可能なのかと疑うが、試してみる価値はある。すぐに会議室に石化された人間たちを運び込むようにリョウコは指示すると、屋敷の使用人達が大慌てで最初にキラウに石化された者達を運び出す。
「はい、それは間違いありません。カレハ様はあくまでも「国王代理」として現在のヨツバ王国を纏めています。しかし、もしも国王様がお戻りになられればその権限は失われ、カレハ様の味方をしている家臣も逆らう事は出来ません」
「となると精霊薬を管理している西聖将の所へ向かい、精霊薬を受け取って国王の石化を解除すれば我々の勝利が確定するわけか……」
石像にされたデブリ国王だけでも元に戻せばカレハには大義がなくなり、元々彼女は王位継承権を剥奪されて隔離されていたため、彼女を支持していた者たちも離れる事は間違いない。ヨツバ王国がバルトロス王国に宣戦布告を行った理由はデブリ国王と他の王族が誘拐されたとカレハ言い張っているだけであり、もしもデブリ国王が王都に戻りさえすれば彼女の嘘は暴かれる。
しかし、精霊薬を確保するためには西聖将の元へ向かわなければならず、この東聖将の領地から西聖将の領地に向かうには色々と問題があった。最短距離で西聖将の領地へ向かう場合は東西南北の将軍の領地の中央部に存在する王都を横切らなければならず、迂回するとしても北聖将や南聖将の領地を移動しなければならない。どちらも既に軍隊が配置されており、移動するだけでも危険を伴う。
「猶予はそれほど残されてはいないはずです。明日にも王都から軍隊が派遣される可能性がある以上、一刻も早く西聖将と連絡を取らなければなりません。しかし、西聖将がもしもカレハに味方していた場合は我々に打つ手はありませんが……」
「そこまで考えていても仕方ないっすよ!!ここは一か八か、西聖将に協力を求めましょう!!」
「だが、移動するにしてもどうする?迂回するか、あるいは王都を通り過ぎるか、仮に西聖将の元へ辿り着けても精霊薬を持ち帰らなければならんぞ」
「いや、持ち帰る必要はないと思う」
「何だと?どういう意味だ?」
皆がどのような手段で西聖将の領地へ移動し、精霊薬を持ち帰る方法を話し合う中、レナはある方法を思い出す。この方法ならば最も危険が少なく、成功確率が高い。そう確信してレナは自分の考えた方法を説明する。
「俺がウルに乗って最短距離で西聖将の領地まで移動する」
「それって……まさか、お前また空間魔法を利用する気か!?」
「駄目ですよ兄貴!!また倒れちゃいますよ!?」
「それは駄目、今度こそ死ぬかもしれない」
「そうだそうだ!!」
「ぷるるんっ!!」
レナの言葉に仲間達はまた空間魔法の性質を利用して無茶をする気なのかと止めようとしたが、レナは首を振って別の方法を思いついた事を話す。
「いや、流石にあんな無茶はもうしないよ。俺が言いたいのは石像を運び出して、西聖将の領地で精霊薬を受け取って石化を解除させようと考えている」
「石像を運び込むって……そんな事ができるのか?」
「それは危険です!!移動するだけでも大変なのに重量の石像を運び込むなど……それに移動中に石像が壊れたらどうするつもりなのですか?」
リョウコはレナの提案を聞いて反対し、他の者達も同意する。だが、彼等の反応を予想していたレナは立ち上がると、意識を集中させて空間魔法を発動させて「黒渦」を作り出す。会議室に出現した黒渦を見て全員が驚き、その様子を確認したレナは空間魔法の性質を説明した。
「収納石を持っている人は知っているかもしれないけど、収納魔法や空間魔法を使用する時はこの黒渦の中に物体を収集しないといけない。この黒渦は生物以外の物体、要するに無機物なら回収する事ができる。黒渦の中に取り込まれた物体は異空間に保管され、必要な時だけに取り出す事も出来る。液体は取り込むことは出来ないけど、壺のような容器で密封した状態なら回収する事も出来るよ」
「へえ……改めて説明されると便利な魔法だよな」
「レナたんは収納石を持ってなくても魔法が発動出来るんだよね?いいな~便利そう!!」
「それで一体何が言いたいんだ?」
レナの説明を受けて改めて会議室の人間たちは収納魔法の原理や性能を知るが、それでレナが何を伝えたいのか分からず、ガンモは説明を促す。彼の言葉にレナは頷き、早速本題に入る。
「この黒渦を通して異空間に送り込めるのはあくまでも生物以外の物体のみ……けど、石像の場合は生物とみなされるのかな?」
「石像……まさか!?」
「まさか、そんな事が可能なのか!?」
「……盲点だった」
「考え付きもしなかったでござる!1」
「え、え!?ど、どう言う意味!?」
レナの説明を聞いて勘の良い人間はその場に立ち上がり、激しく動揺する。だが、ティナは他の人間たちがどうして騒ぎ出したのか分からずに戸惑う。そんな彼女を見てレナは分かりやすく説明した。
「要するに空間魔法を利用すれば石像にされた人たちを異空間に安全に預ける事ができるかもしれない、という事だよ」
「異空間に預ける……えっ!?そんな事が出来るのレナたん!?」
「普通の収納魔法では出来ないかもしれないけど、俺の空間魔法なら可能性はある……やってみる価値はあると思う」
全員がレナの意図を掴むと、本当にそんな事が可能なのかと疑うが、試してみる価値はある。すぐに会議室に石化された人間たちを運び込むようにリョウコは指示すると、屋敷の使用人達が大慌てで最初にキラウに石化された者達を運び出す。
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