鉄壁の宰相は知らない——書記官令嬢の足音を、自分が回廊の端から聞き分けていることを
王国宰相ヴァルター・グリュンヴァルトは「鉄壁」と呼ばれる男だった。
表情を変えず、書類を捌き、人を寄せ付けない。
だがある日、回廊から聞こえる足音で「あと十七歩で扉が開く」と確信していることに気づいてしまう。
それは下級書記官の少女が運ぶ機密書類の足音だった。
気づいたとて、彼は鉄壁の宰相。気持ちなど顔に出すはずがない——そう、思っていた。
「閣下、そろそろ我慢の限界なのは閣下のほうですよ」
副官の溜息と、少女の困惑顔が、物語を動かす。
隣国の刺客が動く前に、彼は自分の心を鎮められるのか。
攻め視点・鈍感溺愛短編。
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