12 / 12
12.
男爵令息パーシーはケイトリンとは幼馴染。
子供の頃からケイトリンが好きだった。ケイトリンも僕が好きだと知っている。
婚約しようって言ったけど、返事を勿体ぶる。ケイトリンらしいな。
『魅力的な物をプレゼントして。それが気に入ったら婚約する』
ありきたりの物は嫌なのか。
とある国の店で声をかけられた。『どんな物をお望みで?望みの物を出すよ』
『魅力的な物でプロポーズしたい』というと、『アンクレットはどうだい?』と言われた。
魅力的?と首を傾げると、魅了のアンクレットだと言う。
愛する人を信じられるなら彼女に。信じきれないなら自分が着けて彼女を魅了すればいい。
使い方を詳しく聞いて、アンクレットを買って帰った。
他にもいろいろある中からケイトリンが選んだのはアンクレット。
寿命が減ると聞いても、何十人も魅了するわけじゃないと笑う。
アンクレットを選んだってことは、婚約してくれるよな?
え?長期休暇中?仕方ないな。ほどほどにしてくれよ?
抱いていいのか?必ず婚約する証?……ああ。信じるよ。
初めて抱いたケイトリンは破瓜で少し痛がったけど、気持ちよさそうだった。
入学してからは、男に囲まれてる。令嬢の反感買ってるぞ?
嫌がらせ?そりゃ令息の婚約者は面白くないだろ。
王太子と高位貴族を狙う?やめた方がいいぞ?
婚約者も高位貴族なんだから。
チヤホヤされるだけ?……本当か?
お前、5人も侍らせてヤバいぞ?
え?1人逃げた?いいじゃないか。もうやめとけ。
もう少し?
え?
キスした?
それって1人1年の寿命じゃ済まないぞ?
え?
3人に抱かれた?
不貞じゃないか。
まだ婚約してない。そうだけど、約束してるじゃないか。
というか、お前、もう手遅れだよ………
4人の男に対してお前は1人だ。
不貞相手が1人だけなら助かる可能性もあったかもしれないけど。
まぁ、愛人だっただろうけどな。
それに俺以外の男に抱かれた体で戻ってくるつもりだったのか?
『ただいま。あー楽しかった。』
そう言って、俺が平気で受け入れると?
どうして待ってると思えるんだ?
もう取り返しはつかないところにきてるんだ。
お前は男たちを手玉にとった悪女に成り下がった。
罰せられるだろうな。慰謝料、よくて修道院か?
あーあ。4人から公開プロポーズか。誰の手も取れないだろ?
俺の顔を見て喜ぶなよ。俺を選んでも、もう遅いんだ。
だから、君が望んだ幸せの真っ只中で人生を終えるという最期のプレゼントをあげるよ。
『満足したかい?』大好きだったケイトリン。娼婦に成り下がったケイトリン。
相手をした男の数だけ刺すね。『1人、2人、3人分』
穢れは祓えたかな?
俺からの最期のキスだ。さよなら、ケイトリン。
…………俺のことが大好きだって微笑むその顔を忘れないよ。
アンクレットは、俺がつけるべきだった。
そうすればケイトリンだけを魅了して彼女が俺から離れることはなかったんだ。ごめんな………
アンクレットは危険証拠物として厳重に保管されたはずだった。
しかし、いつの間にか消えていた……
『魅了』のアンクレット。またの名を『破滅』に導くアンクレット。
魅了したのが1人だけの場合、アンクレットを作成した者からの祝福として命尽きるまでの幸せを。
2人以上魅了した時点で装着者、魅了された者共々、破滅に導かれる未来を。
破滅に導かれるのは装着者が死亡した時点で魅了されている者だけ。
魅了されても大切な人がいれば逃れることは可能なのに、魅了され続けるのは堕ちるのに相応しい人物であるから。
アンクレットが選ぶのは、短命の者。
ケイトリンが選んだのではない。アンクレットに選ばれた。
今回の場合、ケイトリンの寿命は元々28年だったのだろう。
魅了したことにより13年短くなった。なので、15歳で命を落とした。
最長5年で魅了が解けた彼らは、まだ軽い『身の破滅』で済んだ。
アンクレットは次の者を選ぶために、元の場所へと戻ってくる。
作成した者が仕掛けた『呪い』が解けるまで………
とある国の店で男が声をかけられた。『どんな物をお望みで?望みの物を出すよ』
<終わり>
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
ジルの身の丈
ひづき
恋愛
ジルは貴族の屋敷で働く下女だ。
身の程、相応、身の丈といった言葉を常に考えている真面目なジル。
ある日同僚が旦那様と不倫して、奥様が突然死。
同僚が後妻に収まった途端、突然解雇され、ジルは途方に暮れた。
そこに現れたのは亡くなった奥様の弟君で───
※悩んだ末取り敢えず恋愛カテゴリに入れましたが、恋愛色は薄めです。
見えるものしか見ないから
mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。
第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……
僕の我儘で傲慢な婚約者
雨野千潤
恋愛
僕の婚約者は我儘で傲慢だ。
一日に一度は「わたくしに五分…いいえ三分でいいから時間を頂戴」と僕の執務室に乗り込んでくる。
大事な話かと思えばどうでも良さそうなくだらない話。
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
彼女の微笑み
豆狸
恋愛
それでも、どんなに美しいとしても、私は彼女のように邪心のない清らかな微笑みを浮かべるよりも、穢れて苦しんで傷ついてあがいて生きることを選びます。
私以外のだれかを愛しながら──
遊び人の侯爵嫡男がお茶会で婚約者に言われた意外なひと言
夢見楽土
恋愛
侯爵嫡男のエドワードは、何かと悪ぶる遊び人。勢いで、今後も女遊びをする旨を婚約者に言ってしまいます。それに対する婚約者の反応は意外なもので……
短く拙いお話ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
このお話は小説家になろう様にも掲載しています。