あなたに最後の贈り物を

しゃーりん

文字の大きさ
2 / 30

2.

しおりを挟む
 
 
メルリーが嘲笑されているのは、夫ブレイズに原因があるとナディア様は言った。

つまり、ブレイズが仕事中に何かしていることが同じ隊の騎士仲間から妻に伝わり、お茶会で広まっているということらしい。

メルリーは、毎回笑われるほどブレイズが何をしているのか疑問に思った。


「あの、夫は何をしていて皆様の話のネタになってしまっているのでしょうか?」 
 
 
ブレイズに聞いても、本人は気づいていないのかもしれない。
であれば、ナディア様から聞いておかないと、ブレイズに注意を促すこともできないと思った。


「私から聞いたって誰にも言わないでね?この話題が無くなったって私が責められたら嫌だから。」

「わかりました。」


何だか結託されているようで嫌な気持ちになったが、知らなければならない。


「夫たちと同じ隊にアイリーンっていう女性騎士がいるのは知っているかしら?」

「はい。確か夫よりも四年ほど先輩だと聞いています。」

「そう。アイリーンの名前を聞いても何も思わないってことは、本当に何も知らないのね。」


つまり、夫だけでなくアイリーンさんも話の中心人物ということらしい。

ブレイズからは、何も聞いた覚えはなかった。


「そのアイリーンとあなたの夫、隊の中で公認の仲らしいの。」


公認の仲?
メルリーは首を傾げた。 


「いつも組んで動いているということですか?」


騎士は二人一組、あるいは三人一組で動くというので、そういうことかと思った。

しかし、ナディア様は首を横に振った。


「違うわ。月に二回の親睦会があるでしょう?その時に、アイリーンの相手をするのがあなたの夫の役割だそうよ。」


騎士というのは酒好きの集まりなのか、親睦会と言う名の飲み会がよくある。

夫ブレイズも毎回参加していて、酔っ払って帰ってくると使用人たちから聞いている。

メルリーは先に眠っていいと言われて、ブレイズの帰りは待っていないので、どの程度の酔っ払いかは知らない。

その親睦会でアイリーンの相手をするのが役割?


「酔ったアイリーンさんの介抱をするってことですか?」

「ふふ。そうとも言えるわね。アイリーンはね、酔うと迫るの。キスをせがむらしいわ。二年前、あなたの夫が入隊してからは、相手を引き受けてくれているらしくて夫たちは助かってるの。」


キス?!
二年前からって、婚約中から結婚後の今もずっとってこと?


「頬じゃないわよ?唇にするから嫌よね。それがどんどん濃厚になっていってるって話題になってたの。最近じゃ、舌を絡ませて何度も繰り返すそうよ。」

「……夫も受け入れていると?」

「そうみたいね。だって、嫌がってたら怒るんじゃない?」
 

周りの騎士たちにも見慣れた光景になっているが、結婚後も続けていいのかと聞いたら、ブレイズは『下っ端の役目でしょ』と言ったらしい。

いや、おかしいでしょう? 

下っ端の役目なら、去年も今年も入ってきた騎士がいるでしょう?




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

愛してしまって、ごめんなさい

oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」 初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。 けれど私は赦されない人間です。 最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。 ※全9話。 毎朝7時に更新致します。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。

ましゅぺちーの
恋愛
伯爵令嬢のアンジェは公爵家の嫡男であるアランに嫁いだ。 子はなかなかできなかったが、それでも仲の良い夫婦だった。 ――彼女が現れるまでは。 二人が結婚して五年を迎えた記念パーティーでアランは若く美しい令嬢と恋に落ちてしまう。 それからアランは変わり、何かと彼女のことを優先するようになり……

6年前の私へ~その6年は無駄になる~

夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。 テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。

さよなら私の愛しい人

ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。 ※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます! ※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。

処理中です...