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しおりを挟むメルリーが嘲笑されているのは、夫ブレイズに原因があるとナディア様は言った。
つまり、ブレイズが仕事中に何かしていることが同じ隊の騎士仲間から妻に伝わり、お茶会で広まっているということらしい。
メルリーは、毎回笑われるほどブレイズが何をしているのか疑問に思った。
「あの、夫は何をしていて皆様の話のネタになってしまっているのでしょうか?」
ブレイズに聞いても、本人は気づいていないのかもしれない。
であれば、ナディア様から聞いておかないと、ブレイズに注意を促すこともできないと思った。
「私から聞いたって誰にも言わないでね?この話題が無くなったって私が責められたら嫌だから。」
「わかりました。」
何だか結託されているようで嫌な気持ちになったが、知らなければならない。
「夫たちと同じ隊にアイリーンっていう女性騎士がいるのは知っているかしら?」
「はい。確か夫よりも四年ほど先輩だと聞いています。」
「そう。アイリーンの名前を聞いても何も思わないってことは、本当に何も知らないのね。」
つまり、夫だけでなくアイリーンさんも話の中心人物ということらしい。
ブレイズからは、何も聞いた覚えはなかった。
「そのアイリーンとあなたの夫、隊の中で公認の仲らしいの。」
公認の仲?
メルリーは首を傾げた。
「いつも組んで動いているということですか?」
騎士は二人一組、あるいは三人一組で動くというので、そういうことかと思った。
しかし、ナディア様は首を横に振った。
「違うわ。月に二回の親睦会があるでしょう?その時に、アイリーンの相手をするのがあなたの夫の役割だそうよ。」
騎士というのは酒好きの集まりなのか、親睦会と言う名の飲み会がよくある。
夫ブレイズも毎回参加していて、酔っ払って帰ってくると使用人たちから聞いている。
メルリーは先に眠っていいと言われて、ブレイズの帰りは待っていないので、どの程度の酔っ払いかは知らない。
その親睦会でアイリーンの相手をするのが役割?
「酔ったアイリーンさんの介抱をするってことですか?」
「ふふ。そうとも言えるわね。アイリーンはね、酔うと迫るの。キスをせがむらしいわ。二年前、あなたの夫が入隊してからは、相手を引き受けてくれているらしくて夫たちは助かってるの。」
キス?!
二年前からって、婚約中から結婚後の今もずっとってこと?
「頬じゃないわよ?唇にするから嫌よね。それがどんどん濃厚になっていってるって話題になってたの。最近じゃ、舌を絡ませて何度も繰り返すそうよ。」
「……夫も受け入れていると?」
「そうみたいね。だって、嫌がってたら怒るんじゃない?」
周りの騎士たちにも見慣れた光景になっているが、結婚後も続けていいのかと聞いたら、ブレイズは『下っ端の役目でしょ』と言ったらしい。
いや、おかしいでしょう?
下っ端の役目なら、去年も今年も入ってきた騎士がいるでしょう?
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