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58.抽選会とダンジョン
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「サイテーです!」
「えっ!? ちょっ! 俺達はさ、馬鹿にされたから……」
「あの人達サイテーです! 」
「あっ、そういう。よかった。俺達じゃなかったのか……」
「私が馬鹿にされるならいいです! けど、真仲さん達を馬鹿にするなんて許せません!」
あぁ。良い子だなぁ。
あんこちゃん。こんなに怒っちゃって。
「むふぅー! あんな人絶対受付しません!」
「そうだな。それがいいだろう。でさ、本題なんだけど、来週の抽選にエントリーできる?」
「はい! できますよ! 2人で20万ですけど……」
「あぁ、ギルドカードから引いておいて?」
「わかりました。あっ! Cランクだったんですね! だから強いんですね!?」
「ん? ま、まぁ。そうだな。ダンジョン行ったら攻略してくるよ!」
「はははっ! 好きですよ? そういう活きのいい事を言うの」
「いや、本気なんだけど……」
「今まで、Rランクの人が挑戦しても、お宝ガッポガッポはありましたけど、攻略したことは無いんですよ?」
「へぇ。ちなみにその、挑戦したRランクの人って教えて貰えるんですか?」
「いえ、個人情報なので、教えることはできません! けど、Rランクなので、実力はわかりますよね?」
「あぁ。そうだな。来週まで取り敢えず待つか」
◇◆◇
1週間後
「123番!」
これが最後の1人であった。
「あぁ。外れちまった」
「自分も外れましたね」
◇◆◇
2週間後
「85番!」
今回はそれが最後。
「当たんねぇもんだな?」
「そうですねぇ。また来週ですね」
このシステムのおかしな所に気づいた。
チケットを買うのだが、外れても金は帰ってこないのだ。
いい金儲けだよなぁ。
◇◆◇
それでも、券を買うのだが。
「105番!」
「いよっしゃ当たった!」
この日は俺だけで、一斗は当たらなかった。
「一斗は留守番だな? 俺と蘇芳で行ってくるな?」
「はい! 行ってらっしゃい!」
当たった者は奥に案内される。
そして、明日からのダンジョンアタックの説明がされる。
「明日からダンジョンに行けます! まず、死にません! これはおわかりだと思いますが、万が一死ぬと、このダンジョンで取得した物が無くなります。ここまでいいですかー?」
「「「「「大丈夫です」」」」」
「10層毎にエレベーターがありますので、自己判断でご使用ください!」
ホントに聞いた通りなんだなぁ。
楽しみだなぁ。
「では、明日門の目の前の湖の前に集合です!」
◇◆◇
次の日。
集合場所に来ていた。
総勢で30名ほどだろうか。
「ありと少ねぇんだな」
『翔真? なんかシーンとしてるね?』
「そりゃ、別に仲がいいわけではねぇからな」
「それでは、これより! ダンジョンを攻略して貰う! この一本道を進むんだ!」
そう言うと、城へと続く一本道が現れた。
言われる通り一本道を進む。
ザバァッといきなりサハギンが三又の槍を持って現れた。
「うわぁぁぁ」
前にいた解放者が尻もちをついた。
狭い一本道のため人に塞がれては前に行けない。
太刀に魔力を纏わせる。
「フッ!」
魔力を飛ばしてサハギンを切り倒す。
「大丈夫か?」
「あっ、すみません。大丈夫です」
「ちゃんと構えてないとすぐやられちまうぞ?」
「はい。せっかく当たったのに……頑張んないと!」
立ち上がって進み出した。
「ふっ」
「あいつ狙いだな」
後ろで笑っている解放者がいた。
うーん。
よくないな。
考え事をしながらも解放者の列は進む。
それ以降はサハギンが出てもすぐに対処して問題なく否和城ダンジョンにたどり着いた。
近くで見ると圧巻の西洋のお城である。
否和城。読んで字のごとく和じゃない城。
ダジャレ?
「なぁ、ここからは早いもん勝ちなんだろう?」
前にいた解放者が案内人の人に聞いている。
「はい。どうぞ、ご自由に。私共から何か言うことはありません」
「っしゃ! 行くぜぇぇ!」
1人の解放者が走り出すと、続けて周りの解放者も走り出す。
うーん。
慌ててもしょうがないしなぁ。
ゆっくり歩いて塔に行く。
入口をくぐるとエントランスがある。
エレベーターがあるがボタンがない。
これで降りてくるんだろう。
登っていく階段がある。
みんな争奪戦のように登っていく。
解放者同士の戦いは別に禁止されてはいない。
ということは。
「やめてやめて! うわぁぁぁぁ!」
ライバルを減らす為に解放者を狩るものが現れる。
やられたものは1回に転送され、その日は2度目は復活できない。
死ねばそのまま死を意味する。
「アイツらやったな?」
『助けなくてよかったの?』
「助けてもそいつの為にはならないだろ?」
1階層ごとに迷路の様になっている。
高層ビルのワンフロアくらいの広さはあるだろう。
曲がり角で壁に張り付く。
バッと曲がった先を見て何も無いことを確認してから進む。
先に解放者が進んでいるためにないも無いし魔物も出ない。
ただ慎重に階段を上っていく。
10層までは何事もなく着いた。
たしかに10階層に着くとエレベーターがあった。
何人か乗り込んでいる。
先に行った人達だろう。
『半分くらい乗ってるんじゃない?』
「あぁ。いいんじゃないか? 先に行けばチャンスは増える」
先に向かう。
チラホラ解放者を見るが、パーティーで挑んでいる。
『あの人達、パーティーであたったんだね?』
「違うと思うぞ? あの人とあの人は昨日ギルドで違う人といた」
『ってことは……』
「臨時パーティーを組んだんだろう」
みな即席で臨時パーティーを組んで挑むようだ。
もちろん、ソロの者もいる。
所々に落とし穴や槍が飛び出てくる罠が仕掛けられている。
進む先々の罠は発動しているし、宝箱は開けられているし、まさしく争奪戦のようだ。
「こりゃたしかにライバル減らしたくもなるか」
『そうだね。10階層までは収穫なさそうだね?』
「そうだな。それ以降で頑張るか!」
10階のエレベーターには半分くらいの人が乗って降りていった。
「まだ解放者残ってるなぁ」
『そりゃ、そうだよね。この上もそこまで魔物強くないんじゃない?』
「だなぁ。まだ何にも出てきてないから何が出てくるのかさえもわかんないしな?」
『ちょっと楽しみだよね? なんの魔物が出てくるんだろう?って』
蘇芳がワクワクしながらダンジョンを進んで行く。
念の為警戒しながら歩いていく。
タタッタタッタタッと何かが走るような音が聞こえる。
どこから来る?
蘇芳も気づいたようで前後を警戒する。
「蘇芳は前! 俺が後ろを見る!」
『りょーかい』
姿を現したのは、後ろであった。
掛けてくるのは緑の狼であった。
「グルルルルァァァ」
空気の圧が来る。
太刀で受け止め、纏わせた魔力で切り裂く。
「はぁぁぁ!」
通れる道ができた。
できた道を通る。
「グルルァグルァ」
前足の爪で切り裂く仕草をする狼。
嫌な予感がして壁に張り付く。
すると、ザシュザシュッとさっきまでいた床に爪で切り裂かれたような跡ができた。
『そいつ、風属性!』
「そういう事。サンキュー!」
魔法だと分かれば対処は早い。
全身と太刀を魔力で覆い、魔法の攻撃に備える。
「グルァ!」
狼に向かって進もうとするとまた爪での攻撃が来る。
しかし、分かっていれば対処はできる。
攻撃された方向を読み取り、太刀でたたき落とす。
バヂッ
攻撃によりできた隙は見逃さない。
一直線にかける。
「グルァァァァ」
再び口からの空気砲が放たれる。
「ウラァァァ!」
力任せに叩き切る。
道ができた!
さらに踏み込んで肉薄する。
「フッ!」
下段に構えていた太刀を振り上げて首を切り落とす。
地面に吸収されるように消えていった。
「あっ、素材残んないんだね」
『このダンジョンはそうみたいだね』
「意外に強かった気がするなぁ。気張って上に行こー!」
『おー!』
10階層から少し上がっただけなのに魔法を使う魔物。
ここから先はどんな魔物が現れるのだろうか。
「えっ!? ちょっ! 俺達はさ、馬鹿にされたから……」
「あの人達サイテーです! 」
「あっ、そういう。よかった。俺達じゃなかったのか……」
「私が馬鹿にされるならいいです! けど、真仲さん達を馬鹿にするなんて許せません!」
あぁ。良い子だなぁ。
あんこちゃん。こんなに怒っちゃって。
「むふぅー! あんな人絶対受付しません!」
「そうだな。それがいいだろう。でさ、本題なんだけど、来週の抽選にエントリーできる?」
「はい! できますよ! 2人で20万ですけど……」
「あぁ、ギルドカードから引いておいて?」
「わかりました。あっ! Cランクだったんですね! だから強いんですね!?」
「ん? ま、まぁ。そうだな。ダンジョン行ったら攻略してくるよ!」
「はははっ! 好きですよ? そういう活きのいい事を言うの」
「いや、本気なんだけど……」
「今まで、Rランクの人が挑戦しても、お宝ガッポガッポはありましたけど、攻略したことは無いんですよ?」
「へぇ。ちなみにその、挑戦したRランクの人って教えて貰えるんですか?」
「いえ、個人情報なので、教えることはできません! けど、Rランクなので、実力はわかりますよね?」
「あぁ。そうだな。来週まで取り敢えず待つか」
◇◆◇
1週間後
「123番!」
これが最後の1人であった。
「あぁ。外れちまった」
「自分も外れましたね」
◇◆◇
2週間後
「85番!」
今回はそれが最後。
「当たんねぇもんだな?」
「そうですねぇ。また来週ですね」
このシステムのおかしな所に気づいた。
チケットを買うのだが、外れても金は帰ってこないのだ。
いい金儲けだよなぁ。
◇◆◇
それでも、券を買うのだが。
「105番!」
「いよっしゃ当たった!」
この日は俺だけで、一斗は当たらなかった。
「一斗は留守番だな? 俺と蘇芳で行ってくるな?」
「はい! 行ってらっしゃい!」
当たった者は奥に案内される。
そして、明日からのダンジョンアタックの説明がされる。
「明日からダンジョンに行けます! まず、死にません! これはおわかりだと思いますが、万が一死ぬと、このダンジョンで取得した物が無くなります。ここまでいいですかー?」
「「「「「大丈夫です」」」」」
「10層毎にエレベーターがありますので、自己判断でご使用ください!」
ホントに聞いた通りなんだなぁ。
楽しみだなぁ。
「では、明日門の目の前の湖の前に集合です!」
◇◆◇
次の日。
集合場所に来ていた。
総勢で30名ほどだろうか。
「ありと少ねぇんだな」
『翔真? なんかシーンとしてるね?』
「そりゃ、別に仲がいいわけではねぇからな」
「それでは、これより! ダンジョンを攻略して貰う! この一本道を進むんだ!」
そう言うと、城へと続く一本道が現れた。
言われる通り一本道を進む。
ザバァッといきなりサハギンが三又の槍を持って現れた。
「うわぁぁぁ」
前にいた解放者が尻もちをついた。
狭い一本道のため人に塞がれては前に行けない。
太刀に魔力を纏わせる。
「フッ!」
魔力を飛ばしてサハギンを切り倒す。
「大丈夫か?」
「あっ、すみません。大丈夫です」
「ちゃんと構えてないとすぐやられちまうぞ?」
「はい。せっかく当たったのに……頑張んないと!」
立ち上がって進み出した。
「ふっ」
「あいつ狙いだな」
後ろで笑っている解放者がいた。
うーん。
よくないな。
考え事をしながらも解放者の列は進む。
それ以降はサハギンが出てもすぐに対処して問題なく否和城ダンジョンにたどり着いた。
近くで見ると圧巻の西洋のお城である。
否和城。読んで字のごとく和じゃない城。
ダジャレ?
「なぁ、ここからは早いもん勝ちなんだろう?」
前にいた解放者が案内人の人に聞いている。
「はい。どうぞ、ご自由に。私共から何か言うことはありません」
「っしゃ! 行くぜぇぇ!」
1人の解放者が走り出すと、続けて周りの解放者も走り出す。
うーん。
慌ててもしょうがないしなぁ。
ゆっくり歩いて塔に行く。
入口をくぐるとエントランスがある。
エレベーターがあるがボタンがない。
これで降りてくるんだろう。
登っていく階段がある。
みんな争奪戦のように登っていく。
解放者同士の戦いは別に禁止されてはいない。
ということは。
「やめてやめて! うわぁぁぁぁ!」
ライバルを減らす為に解放者を狩るものが現れる。
やられたものは1回に転送され、その日は2度目は復活できない。
死ねばそのまま死を意味する。
「アイツらやったな?」
『助けなくてよかったの?』
「助けてもそいつの為にはならないだろ?」
1階層ごとに迷路の様になっている。
高層ビルのワンフロアくらいの広さはあるだろう。
曲がり角で壁に張り付く。
バッと曲がった先を見て何も無いことを確認してから進む。
先に解放者が進んでいるためにないも無いし魔物も出ない。
ただ慎重に階段を上っていく。
10層までは何事もなく着いた。
たしかに10階層に着くとエレベーターがあった。
何人か乗り込んでいる。
先に行った人達だろう。
『半分くらい乗ってるんじゃない?』
「あぁ。いいんじゃないか? 先に行けばチャンスは増える」
先に向かう。
チラホラ解放者を見るが、パーティーで挑んでいる。
『あの人達、パーティーであたったんだね?』
「違うと思うぞ? あの人とあの人は昨日ギルドで違う人といた」
『ってことは……』
「臨時パーティーを組んだんだろう」
みな即席で臨時パーティーを組んで挑むようだ。
もちろん、ソロの者もいる。
所々に落とし穴や槍が飛び出てくる罠が仕掛けられている。
進む先々の罠は発動しているし、宝箱は開けられているし、まさしく争奪戦のようだ。
「こりゃたしかにライバル減らしたくもなるか」
『そうだね。10階層までは収穫なさそうだね?』
「そうだな。それ以降で頑張るか!」
10階のエレベーターには半分くらいの人が乗って降りていった。
「まだ解放者残ってるなぁ」
『そりゃ、そうだよね。この上もそこまで魔物強くないんじゃない?』
「だなぁ。まだ何にも出てきてないから何が出てくるのかさえもわかんないしな?」
『ちょっと楽しみだよね? なんの魔物が出てくるんだろう?って』
蘇芳がワクワクしながらダンジョンを進んで行く。
念の為警戒しながら歩いていく。
タタッタタッタタッと何かが走るような音が聞こえる。
どこから来る?
蘇芳も気づいたようで前後を警戒する。
「蘇芳は前! 俺が後ろを見る!」
『りょーかい』
姿を現したのは、後ろであった。
掛けてくるのは緑の狼であった。
「グルルルルァァァ」
空気の圧が来る。
太刀で受け止め、纏わせた魔力で切り裂く。
「はぁぁぁ!」
通れる道ができた。
できた道を通る。
「グルルァグルァ」
前足の爪で切り裂く仕草をする狼。
嫌な予感がして壁に張り付く。
すると、ザシュザシュッとさっきまでいた床に爪で切り裂かれたような跡ができた。
『そいつ、風属性!』
「そういう事。サンキュー!」
魔法だと分かれば対処は早い。
全身と太刀を魔力で覆い、魔法の攻撃に備える。
「グルァ!」
狼に向かって進もうとするとまた爪での攻撃が来る。
しかし、分かっていれば対処はできる。
攻撃された方向を読み取り、太刀でたたき落とす。
バヂッ
攻撃によりできた隙は見逃さない。
一直線にかける。
「グルァァァァ」
再び口からの空気砲が放たれる。
「ウラァァァ!」
力任せに叩き切る。
道ができた!
さらに踏み込んで肉薄する。
「フッ!」
下段に構えていた太刀を振り上げて首を切り落とす。
地面に吸収されるように消えていった。
「あっ、素材残んないんだね」
『このダンジョンはそうみたいだね』
「意外に強かった気がするなぁ。気張って上に行こー!」
『おー!』
10階層から少し上がっただけなのに魔法を使う魔物。
ここから先はどんな魔物が現れるのだろうか。
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