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狂乱の一角獣ライトニングビースト
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坑道の中を覗く勇気なんて無いので、狂乱の一角獣ライトニングビーストがどのような姿なのかは分からない。
しかし、暗闇の奥から心臓を握り潰されるような恐ろしい気配を感じた。
暗闇から漏れ出す漆黒のオーラが、四天王の心情を表すかのように激しく揺れ動いている。
そのプレッシャーだけで胸が苦しくなり、過剰に空気を取り込もうと呼吸が荒くなった。
血の気が引くとともに意識が遠のき、背筋が粟立つ。
恐怖で思考が阻害される。
一般人が無闇に近づいていいものでは無かった。
「我が名は狂乱の一角獣ライトニングビースト。我に挑んだ事を後悔させてやるわ! 勇者よ、死ぬがいい!」
濃密な死の予感が脳内を埋め尽くすと同時に、腰が抜けて情けなく尻餅をついてしまった。
俺は、自然と生存本能に任せた行動を取っていた。
地面に投げ捨てたルミエールシールドを両手で拾い上げ、その後ろに屈んで隠れた。
「グルォオオオオオオオ!」
けたたましい咆哮とともに、坑道の奥から放出された漆黒のイカヅチが山も壁も地面も関係なく吹き飛ばした。
轟音と共に俺の周囲が黒く光り輝き、地形がどんどん変わっていく。
幸か不幸か、ライトニングビーストは俺をいたぶるつもりらしく、自分の力を誇示するからのように俺を避けた場所を狙っているようだ。
俺の周囲は火山のマグマ溜まりのようになっていた。
逃げ場が無いとはこの事だなと自分の死を受け入れるしかなく、無我の境地に達している。
液状化した地面から放射される熱でとんでもなく暑いが、サウナよりはまだ我慢出来る程度で済んでいるのが救いだろうか。
まあ、俺のすぐ側を黒い稲妻が通った時点で、脚からこんがり焼けてしまうだろうけど。
コメ:おいおいヤバいって!
コメ:世界の終わりみたいな光景なんだが……。
コメ:何でリセットしないの?
コメ:分からんが、死の恐怖で頭が真っ白になってるのかもしれない。
もう俺には盾の持ち手を両手で握りしめ、神に祈る事しか出来ない。
だって、死を覚悟しているんだから。
ランデル見てるか?
お前のせいで大変な目にあってるぞ?
「ぐおっ……やるではないか! ぐっ、ぐああああっ! クソ、勇者め。これでどうだ!」
何故か分からないが、ライトニングビーストが一人で盛り上がっている。
ドッカンバッカンと地面やら何やらが吹き飛ぶ音がするが、俺は必死に盾の裏に隠れることしか出来ない。
俺の周囲からは、そろそろ耐え切れない程の熱が発せられている。
もうすぐ俺は跡形も無く燃え尽きてしまうだろう。
最後にお母さんの肉ジャガが食べたかった。
「ぐふっ……。我が肉体に傷をつけられたのは二百年ぶりだ。面白い、面白いぞおおおおおおおおおおおお!」
何が面白いの?
どうして傷ついてるの?
もしかすると、ライトニングビーストの注意が俺に向いている間に、ランデル達が攻撃してくれているのかもしれない!
ハゲチャピン、早くなんとかしてくれ!
「ぐうっ、我の肉体をここまで傷つけるとはな。流石は勇者といったところか! だが、このライトニングビースト最後の技をもって貴様を葬り去ってくれよう! 消え去れ、カオスライトニング・ゼラ!」
「ひぃいいいいいいいい! おうてぃにきゃえりちゃあああああい!」
※ひぃいいいいいいいい! お家に帰りたあああああい!
雄叫びとも取れる、濃密な死を纏った言葉がライトニングビーストから発せられた。
あまりの恐怖に、俺は叫ぶことしか出来なかった。
あれ、瞼の裏から光を感じない。
先程まで、稲光のような眩い光が継続的に発生していたのに。
恐る恐る目を開けてみると、視界は暗闇に包まれていた。
黒よりも暗い、一切の光を排除したかのような世界だ。
音も無く、自分の意識だけが宙に浮いているかのようだ。
もしかして俺、死んじゃった?
「ぐあああああああああああああああ!」
ライトニングビーストの断末魔と共に俺の両目は光を取り戻し、天変地異が起きたかのような周囲の惨状に絶句した。
俺を中心とした地面が、半円状に大きく消失したかのように切り取られており、その断面は光すら通さない漆黒に塗られていた。
「突撃じゃああああああああああ!」
「「「うおおおおおおおおおおおおお!」」」
ランデルの号令と共に、騎士と魔法使い達が坑道に突っ込んで行った。
「勝ち鬨じゃあああああああああ!」
「「「ユートルディス! ユートルディス!」」」
坑道から出てきたランデルは、剣の先に巨大な生首を掲げていた。
その生首は、額から螺旋状にねじれた一本の立派な角が生えた、人間そっくりの顔をしたライオンのような見た目だった。
だらしなく舌を垂らしたその首は、恨めしそうな目で俺を見ている気がした。
コメ:えっ、どういうこと?
コメ:すげえ! 四天王を倒しちまった!
コメ:一般人でも四天王に勝てるんですね。画面が真っ暗になった時、絶対死んだと思ったのに。【二千万円】
コメ:解説してくれない?
勇太:俺も解説欲しいです。
コメ:お前に分からないなら誰も分からんわwww
コメ:馬鹿たれすぎてホント好きw【五千円】
いや、俺何もしてないんだが?
しかし、暗闇の奥から心臓を握り潰されるような恐ろしい気配を感じた。
暗闇から漏れ出す漆黒のオーラが、四天王の心情を表すかのように激しく揺れ動いている。
そのプレッシャーだけで胸が苦しくなり、過剰に空気を取り込もうと呼吸が荒くなった。
血の気が引くとともに意識が遠のき、背筋が粟立つ。
恐怖で思考が阻害される。
一般人が無闇に近づいていいものでは無かった。
「我が名は狂乱の一角獣ライトニングビースト。我に挑んだ事を後悔させてやるわ! 勇者よ、死ぬがいい!」
濃密な死の予感が脳内を埋め尽くすと同時に、腰が抜けて情けなく尻餅をついてしまった。
俺は、自然と生存本能に任せた行動を取っていた。
地面に投げ捨てたルミエールシールドを両手で拾い上げ、その後ろに屈んで隠れた。
「グルォオオオオオオオ!」
けたたましい咆哮とともに、坑道の奥から放出された漆黒のイカヅチが山も壁も地面も関係なく吹き飛ばした。
轟音と共に俺の周囲が黒く光り輝き、地形がどんどん変わっていく。
幸か不幸か、ライトニングビーストは俺をいたぶるつもりらしく、自分の力を誇示するからのように俺を避けた場所を狙っているようだ。
俺の周囲は火山のマグマ溜まりのようになっていた。
逃げ場が無いとはこの事だなと自分の死を受け入れるしかなく、無我の境地に達している。
液状化した地面から放射される熱でとんでもなく暑いが、サウナよりはまだ我慢出来る程度で済んでいるのが救いだろうか。
まあ、俺のすぐ側を黒い稲妻が通った時点で、脚からこんがり焼けてしまうだろうけど。
コメ:おいおいヤバいって!
コメ:世界の終わりみたいな光景なんだが……。
コメ:何でリセットしないの?
コメ:分からんが、死の恐怖で頭が真っ白になってるのかもしれない。
もう俺には盾の持ち手を両手で握りしめ、神に祈る事しか出来ない。
だって、死を覚悟しているんだから。
ランデル見てるか?
お前のせいで大変な目にあってるぞ?
「ぐおっ……やるではないか! ぐっ、ぐああああっ! クソ、勇者め。これでどうだ!」
何故か分からないが、ライトニングビーストが一人で盛り上がっている。
ドッカンバッカンと地面やら何やらが吹き飛ぶ音がするが、俺は必死に盾の裏に隠れることしか出来ない。
俺の周囲からは、そろそろ耐え切れない程の熱が発せられている。
もうすぐ俺は跡形も無く燃え尽きてしまうだろう。
最後にお母さんの肉ジャガが食べたかった。
「ぐふっ……。我が肉体に傷をつけられたのは二百年ぶりだ。面白い、面白いぞおおおおおおおおおおおお!」
何が面白いの?
どうして傷ついてるの?
もしかすると、ライトニングビーストの注意が俺に向いている間に、ランデル達が攻撃してくれているのかもしれない!
ハゲチャピン、早くなんとかしてくれ!
「ぐうっ、我の肉体をここまで傷つけるとはな。流石は勇者といったところか! だが、このライトニングビースト最後の技をもって貴様を葬り去ってくれよう! 消え去れ、カオスライトニング・ゼラ!」
「ひぃいいいいいいいい! おうてぃにきゃえりちゃあああああい!」
※ひぃいいいいいいいい! お家に帰りたあああああい!
雄叫びとも取れる、濃密な死を纏った言葉がライトニングビーストから発せられた。
あまりの恐怖に、俺は叫ぶことしか出来なかった。
あれ、瞼の裏から光を感じない。
先程まで、稲光のような眩い光が継続的に発生していたのに。
恐る恐る目を開けてみると、視界は暗闇に包まれていた。
黒よりも暗い、一切の光を排除したかのような世界だ。
音も無く、自分の意識だけが宙に浮いているかのようだ。
もしかして俺、死んじゃった?
「ぐあああああああああああああああ!」
ライトニングビーストの断末魔と共に俺の両目は光を取り戻し、天変地異が起きたかのような周囲の惨状に絶句した。
俺を中心とした地面が、半円状に大きく消失したかのように切り取られており、その断面は光すら通さない漆黒に塗られていた。
「突撃じゃああああああああああ!」
「「「うおおおおおおおおおおおおお!」」」
ランデルの号令と共に、騎士と魔法使い達が坑道に突っ込んで行った。
「勝ち鬨じゃあああああああああ!」
「「「ユートルディス! ユートルディス!」」」
坑道から出てきたランデルは、剣の先に巨大な生首を掲げていた。
その生首は、額から螺旋状にねじれた一本の立派な角が生えた、人間そっくりの顔をしたライオンのような見た目だった。
だらしなく舌を垂らしたその首は、恨めしそうな目で俺を見ている気がした。
コメ:えっ、どういうこと?
コメ:すげえ! 四天王を倒しちまった!
コメ:一般人でも四天王に勝てるんですね。画面が真っ暗になった時、絶対死んだと思ったのに。【二千万円】
コメ:解説してくれない?
勇太:俺も解説欲しいです。
コメ:お前に分からないなら誰も分からんわwww
コメ:馬鹿たれすぎてホント好きw【五千円】
いや、俺何もしてないんだが?
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