3 / 8
レッスン1-手をつなごうー
しおりを挟む
俺は大学のキャンパスにあるカフェでひとり、コーヒーを飲んでいた。
実はあれから特に進展もなくそのまま解散になって一週間が過ぎていた。
ライ〇もなければメールも電話もないし、直接会う事もなかった。
あぁ、なんだからかわれたのか、と思った。
あれだけそろったイケメンが俺に『恋愛』を教えて欲しいなんてなんの冗談だよって思ったけど、本当に冗談だったんだな。
ほっと安心のため息が出た。その中にわずかばかりの違う感情が含まれていた事を本人も気づかないまま。
「せーんぱいっ」
どーんっと重い衝撃の後、のしーっと大きなものが背後からのしかかってきた。
飲んでいたコーヒーを思わず吹き出しそうになった。
「わっ?」
「先輩寂しかったです――!」
俺の肩口に頭をぐりぐりこすりつけてくる。
地味に痛い。
や、本当痛いから、やめて?
「白井――やめ、止めろ! 重いし、痛い!」
しゅんと肩を落としぶんぶん振っていたしっぽが垂れるのが見えた。
それでも白井は背後から抱きしめるのは止めなかった。
「何なのお前?」
「何なのって僕たち付き合ってるんですよ? 一週間も会えなかったんですよ? 恋人としてこのくらいのスキンシップあってもいいと思うんです。くすん」
「えーあーいや? あのさ、フリだろう?」
「えぇフリですよ? でも僕に『恋愛』教えてくれるんでしょう? だったらこれはアリだと思うんですけど」
「アリ無しのジャッジって俺がするんだろう?」
「う――はい……」
「これは、無しだ」
きっぱりはっきり言う俺の発言に、不満そうに俺を抱きしめる腕に力が籠る。
「白井、付き合ったフリを……あーもう面倒くさい。お互い分かってるから、付き合ってるって事でいいか。俺たちが付き合い始めたのは一週間前でお前はこの一週間姿をくらましてただろう? それでいきなり抱き着かれても相手は戸惑うだろうが」
「――はい……」
俺の言葉に不承不承といった感じでそろそろと俺を解放した。
「それにだな、抱き着くよりまずは、て……て、手を、繋ぐとこからだろう?」
何言ってんだ俺、恥ずかしい……! 少し裏返ってしまったのも恥ずかしい!
白井は一瞬ぽかんとしてすぐに嬉しそうに笑った。
ぶんぶんしっぽも健在だ。
「はい!」
俺の隣りに座ると俺の指に自分の指を絡ませてきた。
所謂恋人繋ぎというやつだ。俺でも存在は知っていた。クリスマスとかイベントシーズンにやたらとそういう繋ぎ方をする男女をみかけたからだ。
「なっ!」
「先輩と手繋ぎですー! へへ」
手を繋ぐところからなんて自分で言った手前もあるし、あまりにも嬉しそうにするもんだから今更無しとは言えず、この恥ずかしい状況を受け入れることにした。
白井は手を繋いだまま親指の腹でさすさすとさすってくる。その度に俺はなぜかぞくぞくとして下腹部に熱が集まる感じがした。
とても居心地が悪く、それを誤魔化すように会話を始めた。
「――で、この一週間どうしてたんだよ?」
俺の質問に白井は少しだけ言い淀んだように見えた。
「――――――お仕事ですー」
「仕事?」
「はいー。モデルを小さい頃からやってまして、時々集中的に忙しくなるんです。今回急だったので連絡もせずすみませんでした」
ぺこりと頭を下げる。
「そっか。学業と両立は大変だろうけど、がんばれよ」
なんとなく、繋いでない方の手で白井の頭をぽんぽんと撫でた。
びっくりしたのか見開かれる白井のキラキラの瞳。
「あ、ごめ」
急いで手を引っ込めようとする俺の手を白井は慌てて握って自分の頭の上に乗せ、頭を摺り寄せてきた。
「もっと撫でてください。僕がんばりました。先輩に撫でられるの好きです」
俺の口からふっと笑いが零れた。
再度白井を撫で始めると、白井は目を閉じてうっとりとしていた。
キュン……。
実はあれから特に進展もなくそのまま解散になって一週間が過ぎていた。
ライ〇もなければメールも電話もないし、直接会う事もなかった。
あぁ、なんだからかわれたのか、と思った。
あれだけそろったイケメンが俺に『恋愛』を教えて欲しいなんてなんの冗談だよって思ったけど、本当に冗談だったんだな。
ほっと安心のため息が出た。その中にわずかばかりの違う感情が含まれていた事を本人も気づかないまま。
「せーんぱいっ」
どーんっと重い衝撃の後、のしーっと大きなものが背後からのしかかってきた。
飲んでいたコーヒーを思わず吹き出しそうになった。
「わっ?」
「先輩寂しかったです――!」
俺の肩口に頭をぐりぐりこすりつけてくる。
地味に痛い。
や、本当痛いから、やめて?
「白井――やめ、止めろ! 重いし、痛い!」
しゅんと肩を落としぶんぶん振っていたしっぽが垂れるのが見えた。
それでも白井は背後から抱きしめるのは止めなかった。
「何なのお前?」
「何なのって僕たち付き合ってるんですよ? 一週間も会えなかったんですよ? 恋人としてこのくらいのスキンシップあってもいいと思うんです。くすん」
「えーあーいや? あのさ、フリだろう?」
「えぇフリですよ? でも僕に『恋愛』教えてくれるんでしょう? だったらこれはアリだと思うんですけど」
「アリ無しのジャッジって俺がするんだろう?」
「う――はい……」
「これは、無しだ」
きっぱりはっきり言う俺の発言に、不満そうに俺を抱きしめる腕に力が籠る。
「白井、付き合ったフリを……あーもう面倒くさい。お互い分かってるから、付き合ってるって事でいいか。俺たちが付き合い始めたのは一週間前でお前はこの一週間姿をくらましてただろう? それでいきなり抱き着かれても相手は戸惑うだろうが」
「――はい……」
俺の言葉に不承不承といった感じでそろそろと俺を解放した。
「それにだな、抱き着くよりまずは、て……て、手を、繋ぐとこからだろう?」
何言ってんだ俺、恥ずかしい……! 少し裏返ってしまったのも恥ずかしい!
白井は一瞬ぽかんとしてすぐに嬉しそうに笑った。
ぶんぶんしっぽも健在だ。
「はい!」
俺の隣りに座ると俺の指に自分の指を絡ませてきた。
所謂恋人繋ぎというやつだ。俺でも存在は知っていた。クリスマスとかイベントシーズンにやたらとそういう繋ぎ方をする男女をみかけたからだ。
「なっ!」
「先輩と手繋ぎですー! へへ」
手を繋ぐところからなんて自分で言った手前もあるし、あまりにも嬉しそうにするもんだから今更無しとは言えず、この恥ずかしい状況を受け入れることにした。
白井は手を繋いだまま親指の腹でさすさすとさすってくる。その度に俺はなぜかぞくぞくとして下腹部に熱が集まる感じがした。
とても居心地が悪く、それを誤魔化すように会話を始めた。
「――で、この一週間どうしてたんだよ?」
俺の質問に白井は少しだけ言い淀んだように見えた。
「――――――お仕事ですー」
「仕事?」
「はいー。モデルを小さい頃からやってまして、時々集中的に忙しくなるんです。今回急だったので連絡もせずすみませんでした」
ぺこりと頭を下げる。
「そっか。学業と両立は大変だろうけど、がんばれよ」
なんとなく、繋いでない方の手で白井の頭をぽんぽんと撫でた。
びっくりしたのか見開かれる白井のキラキラの瞳。
「あ、ごめ」
急いで手を引っ込めようとする俺の手を白井は慌てて握って自分の頭の上に乗せ、頭を摺り寄せてきた。
「もっと撫でてください。僕がんばりました。先輩に撫でられるの好きです」
俺の口からふっと笑いが零れた。
再度白井を撫で始めると、白井は目を閉じてうっとりとしていた。
キュン……。
3
あなたにおすすめの小説
神父様に捧げるセレナーデ
石月煤子
BL
「ところで、そろそろ厳重に閉じられたその足を開いてくれるか」
「足を開くのですか?」
「股開かないと始められないだろうが」
「そ、そうですね、その通りです」
「魔物狩りの報酬はお前自身、そうだろう?」
「…………」
■俺様最強旅人×健気美人♂神父■
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる