恋愛音痴による恋愛のすゝめ

ハリネズミ

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レッスン3-焼きもちを焼こうー

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 無事課題も提出して帰ろうかな、という時に唯一の友人である三上 崇みかみ たかしに声をかけられた。

「ねこーお疲れさん会やるんだけど、ねこも行かねー?」

 『ねこ』とは俺の事で黒根幸太くろうた、名前とつんっとしてなかなか懐かないところが猫に似てるから『ねこ』だそうだ。
 まぁ昔は親から「黒猫ちゃん」なんて呼ばれていたが。

「――――うーん」

 たまにはいいか、とどこかもやもやする気持ちを晴らすために三上の誘いにのろうとした時、いきなり後ろからがしっと肩を掴まれた。
 その力が結構強くて痛みに顔をしかめた。

「幸太先輩!」

 振り向くと俺の肩を掴んでいたのは白井で、ものすごく怒ったような今にも泣きだしそうな、そんな顔をしていた。

「三上先輩すみません。幸太先輩はこれから僕と約束があるんです。では」

「お、おぅ……。何か知らんが頑張れ。またなーねこ」

 頼みの綱の友人は手を振りながら去って行った。

 俺にしゃべる間も与えず白井は俺の腕を掴むと強引に引っ張って歩き出した。

「ちょっおいっ止まれ! 止まれって!」

 俺の言葉なんか聞こえてないとでも言うようにずんずんと突き進み、どこかの空き教室に連れ込まれてやっと手を離された。

「なんなんだよ!」

「それはこっちのセリフです!」

 白井の大声に肩がびくっと揺れた。

「――何で……何で来てくれないんですか……? 毎日僕カフェに行きました。メールも電話もラインも一切無視だし……! どうして――?」

 白井の綺麗な瞳からぽろぽろと大粒の涙が零れた。
イケメンが全身で泣く姿があまりにも綺麗で、俺はしばし見とれてしまった。

「僕たち付き合って、ますよね? ひっくっ」

 しゃくり上げながら続く白井の言葉に我に返る。

「いや、付き合ってないだろう? 俺たちのはフリだろう?」

「――!」

 白井はこの世の終わりのような絶望的な表情になり、更に溢れる涙。
 その涙を拭ってやりたくて手を伸ばそうとするが、はっとなり引っ込めた。

「――お前は、今本当の『恋愛』をしてるんじゃない、のか?」

「だから、幸太先輩と――!」

「俺じゃなくて! こないだの子……と」

「…………?」

 心底不思議そうな顔で俺を見る白井。

「こないだ……?」

 こいつはこんなににぶいやつだったか? と内心苛立つ。

「こないだお前を呼びに来た子……。あれからいつも一緒に、いたじゃないか」

「……」

 心の中のもやもやが止まらない。
 感情が高まって涙が滲む。それを知られたくなくてふいっと顔をそむけた。

「幸太先輩!」

 ぎゅっと抱きしめられた。
 久しぶりに嗅ぐ白井の匂いだった。

「先輩、知ってますか?」

「それって『焼きもち』て言うんですよ?」俺の耳元に口を寄せ優しく囁いた。



 キュン……。
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