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レッスン4-告白をしようー
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すぐ耳元でちゅっというリップ音が鳴った。
「え?」
更に続けてちゅっちゅっちゅっ。
「おい!」
俺は慌てて白井の腕の中から逃げようと身を捩った。
が、逃げられなかった。
「幸太先輩。僕、先輩の事が――UTAちゃんの事がずっと好きでした」
俺を抱きしめたまま告白を始めた。
UTA――? それは一度だけ母親にお願いされて急遽来られなくなったモデルの代役をした時の名前。
ぎくりと俺は身体を強張らせた。嫌な汗が背中を伝う。
何でこいつがそれを知ってるんだ?
眉間に皺を寄せた。
そんな俺の様子に白井は力なく笑った。
「先輩――本当僕に興味ないんですね……。モデルやってるって言ったじゃないですか」
「それは、聞いた、し、覚えてる、けど」
「僕赤ちゃんの頃からモデルやってるんですよ。UTAちゃんが代役で来た時の相手役が僕でした」
いや、でもあの時の相手役ってもっと小生意気なお山の大将みたいな――。
あ……っ!
あの大きな綺麗なキラキラの瞳――!
お空のお星さまみたいって思ったんだ。
由貴の瞳も同じ――。
「分かって貰えました? 僕それまで自分が世界で一番可愛いって思ってました。でも、UTAちゃんを見て本物の天使だって思ったんです。ひと目で好きになりました。それで、ご存じの通りキスして振られちゃったわけですが――」
しゅんと項垂れる由貴。
「それでも諦めきれなくてUTAちゃんに次に会えるのを楽しみに仕事頑張ったんです。恰好いいって思ってもらえるように。でも……あれから一度も会えませんでした」
「――あれは母に頼み込まれて仕方なくやった事だから……」
「僕ね、探したんです。でも、見つからなくて。十年以上見つからないから諦めようって思ってたんです。でも、大学のキャンパスで偶然幸太先輩をみかけて」
愛おしそうに、とても大事そうに俺を見る由貴。
心が震えた気がした。
「…………」
「幸太先輩は前髪も長くてあの綺麗な大きな瞳を隠して、服装も髪型もダサい感じで。でも、僕はひと目見て分かったんです。UTAちゃんだって。やっとみつけたって」
俺はUTAをやった頃、誘拐されかけたりイタズラされそうになったりした。
自分の容姿が嫌いだった。
人と深く付き合うのもどこか怖くて。
必死で偽りの自分を作った。
誰にも分らないと思ってた。
あれから十年以上経っているしこの見た目だし。
でも、こいつは――――由貴は見つけたんだな俺を。
「きっかけが欲しくてわざと幸太先輩の前で鞄ぶちまけたりしたんですが、僕の事まったく覚えてなかったですよね」
そう言うと由貴は自虐的に笑った。
「――ごめ……」
だって忘れたかった。
UTAが怖かった――。
俺の謝罪に由貴は黙って首をゆっくり左右に振った。
「先輩、幸太さん、僕は幸太さんのことが好きです。UTAじゃなくて幸太さんが好きです。フリじゃなくて本当の恋人にしてくれませんか?」
俺は即座に応える事ができなかった。
由貴があまりにも真剣で。
由貴の気持ちがあまりにもまっすぐで。
俺があまりにもいびつで――。
俺は恋愛が分からない。
「――そう、ですよね。十年以上も想い続けるだなんて気持ち悪いですよね。先輩は僕の事なんて好きでもなんでもないんだし……」
離れていく身体。
由貴らしからぬ不器用な笑顔。
違う。
「さすがにこれからは声はかけられないかもですが――。今までありがとうございました」
違う。
ぺこりと頭を下げ去っていく背中。
違う!!
「え?」
更に続けてちゅっちゅっちゅっ。
「おい!」
俺は慌てて白井の腕の中から逃げようと身を捩った。
が、逃げられなかった。
「幸太先輩。僕、先輩の事が――UTAちゃんの事がずっと好きでした」
俺を抱きしめたまま告白を始めた。
UTA――? それは一度だけ母親にお願いされて急遽来られなくなったモデルの代役をした時の名前。
ぎくりと俺は身体を強張らせた。嫌な汗が背中を伝う。
何でこいつがそれを知ってるんだ?
眉間に皺を寄せた。
そんな俺の様子に白井は力なく笑った。
「先輩――本当僕に興味ないんですね……。モデルやってるって言ったじゃないですか」
「それは、聞いた、し、覚えてる、けど」
「僕赤ちゃんの頃からモデルやってるんですよ。UTAちゃんが代役で来た時の相手役が僕でした」
いや、でもあの時の相手役ってもっと小生意気なお山の大将みたいな――。
あ……っ!
あの大きな綺麗なキラキラの瞳――!
お空のお星さまみたいって思ったんだ。
由貴の瞳も同じ――。
「分かって貰えました? 僕それまで自分が世界で一番可愛いって思ってました。でも、UTAちゃんを見て本物の天使だって思ったんです。ひと目で好きになりました。それで、ご存じの通りキスして振られちゃったわけですが――」
しゅんと項垂れる由貴。
「それでも諦めきれなくてUTAちゃんに次に会えるのを楽しみに仕事頑張ったんです。恰好いいって思ってもらえるように。でも……あれから一度も会えませんでした」
「――あれは母に頼み込まれて仕方なくやった事だから……」
「僕ね、探したんです。でも、見つからなくて。十年以上見つからないから諦めようって思ってたんです。でも、大学のキャンパスで偶然幸太先輩をみかけて」
愛おしそうに、とても大事そうに俺を見る由貴。
心が震えた気がした。
「…………」
「幸太先輩は前髪も長くてあの綺麗な大きな瞳を隠して、服装も髪型もダサい感じで。でも、僕はひと目見て分かったんです。UTAちゃんだって。やっとみつけたって」
俺はUTAをやった頃、誘拐されかけたりイタズラされそうになったりした。
自分の容姿が嫌いだった。
人と深く付き合うのもどこか怖くて。
必死で偽りの自分を作った。
誰にも分らないと思ってた。
あれから十年以上経っているしこの見た目だし。
でも、こいつは――――由貴は見つけたんだな俺を。
「きっかけが欲しくてわざと幸太先輩の前で鞄ぶちまけたりしたんですが、僕の事まったく覚えてなかったですよね」
そう言うと由貴は自虐的に笑った。
「――ごめ……」
だって忘れたかった。
UTAが怖かった――。
俺の謝罪に由貴は黙って首をゆっくり左右に振った。
「先輩、幸太さん、僕は幸太さんのことが好きです。UTAじゃなくて幸太さんが好きです。フリじゃなくて本当の恋人にしてくれませんか?」
俺は即座に応える事ができなかった。
由貴があまりにも真剣で。
由貴の気持ちがあまりにもまっすぐで。
俺があまりにもいびつで――。
俺は恋愛が分からない。
「――そう、ですよね。十年以上も想い続けるだなんて気持ち悪いですよね。先輩は僕の事なんて好きでもなんでもないんだし……」
離れていく身体。
由貴らしからぬ不器用な笑顔。
違う。
「さすがにこれからは声はかけられないかもですが――。今までありがとうございました」
違う。
ぺこりと頭を下げ去っていく背中。
違う!!
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