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第四章【現実と友情】
2 儚い願いは一瞬で
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俺はあれから、毎日のように病院に通っている。いつもは病院なんて滅多に行かないのに、今や行くことが習慣となっていた。
今日は華に花を買って向かう。
華は花が好きらしいから、きっと喜んでくれると信じている。
「あ!これガーベラ!?やったぁ!めっちゃ嬉しい!ありがとう!!」
やっぱり華は、手を叩いて喜んでくれた。少しでも元気が出たみたいで良かった。
「白のガーベラって、花言葉何だっけ?」
何故ガーベラにしたかというと、お見舞いには何がいいか調べると、ガーベラがいいと出てきたからだ。
そして実はフラワーショップでガーベラを買う時、店員さんに色ごとの花言葉を教えてもらった。
「白いガーベラの花言葉は、『希望』とか『律儀』とからしい。」
「そっか。まぁ、言ってしまうと今の私に希望はないけどね。」
笑いながら言う華はまさに空元気といった感じで、見ていて辛い。
「余命、あと15日だよ…。でも余命って信用にならないらしくて、余命半年の人が一年生きたみたいな例もあるらしい。」
「そっか…。」
余命や命などの重い話をされると、どう返事をしていいか分からない。
「そういえば、今日茜が来てくれるんだって~!久しぶりに話すの楽しみだなぁ。」
宮崎が来るのか…。それなら俺はあと少しで帰るとするか。
「ガラガラ──」
「あ、茜が来た!!」
あ、こんなに時間が被っていたのか。俺は荷物を片付け始める。
「あれ?蓮もう帰っちゃうの…?」
「あぁ、またね。」
俺は宮崎とすれ違って病院を後にする。
思い返せば、余命のことを知らされる前も華はたまに困ったような笑い方をする。あれはもしかしたら、何か悩んでいた証拠なのかもしれない。
そりゃあ当たり前だ。急に余命を知らされて「あなたは◯ヵ月後に死にます」なんて、衝撃すぎるだろう。
俺だったら学校に行かなくなったり、もし学校に行っても華のように元気に振る舞えないだろう。俺ならきっと、人生を諦めてしまうと思う。
正直言って、俺は華を尊敬している。最期まで全力で生きようとするその姿が、素晴らしくて美しいからだ。
ふと自分の姉を思い出す。俺の姉も、いつも堂々としていて凛としている。
自分で言うが、実は俺はなかなかのシスコンなのだ。姉は、梨華という──。
俺は病院に行くことが当たり前になっていた。それは、華が入院していることが当然になってしまったと言い換えられる。
「蓮も毎日来てくれなくていいのに…。」
俺は放課後、毎日病院に向かっている。
雨の日でもそれは変わらないし、都合によっては花を買っていくことも。
「いや、俺が勝手に来てるだけだから。」
「そっか。ありがとうね…。」
「…っ!」
華の瞳には涙が滲んでいた。
華の感情は、入院してから明らかに不安定になっていた。病室で話している時に泣き出して、でも泣きながら笑っていたり、些細なことで苛立ってしまっている様子が伺えることもしばしば。
「蓮が毎日来てくれるのが嬉しくて…。本当に蓮は私の支えだよ。」
「俺は華の「安心させてくれる存在」になれているだろうか。」これは過去に思ったことだった。
今華の口からこぼれた言葉は、信頼してくれている証だった。少しでも華の役に立てていてこっちも嬉しくなる。
「私、あと何日もつかな…?何日蓮と一緒にいれるかな…?」
「ずっと一緒にいられるよ…。」
「嘘ばっかり。」
華とずっと、俺が死ぬまで一緒にいられたらいいのにな。
そんな儚くて淡い願いは、空気に溶けて消えていった。
今日は華に花を買って向かう。
華は花が好きらしいから、きっと喜んでくれると信じている。
「あ!これガーベラ!?やったぁ!めっちゃ嬉しい!ありがとう!!」
やっぱり華は、手を叩いて喜んでくれた。少しでも元気が出たみたいで良かった。
「白のガーベラって、花言葉何だっけ?」
何故ガーベラにしたかというと、お見舞いには何がいいか調べると、ガーベラがいいと出てきたからだ。
そして実はフラワーショップでガーベラを買う時、店員さんに色ごとの花言葉を教えてもらった。
「白いガーベラの花言葉は、『希望』とか『律儀』とからしい。」
「そっか。まぁ、言ってしまうと今の私に希望はないけどね。」
笑いながら言う華はまさに空元気といった感じで、見ていて辛い。
「余命、あと15日だよ…。でも余命って信用にならないらしくて、余命半年の人が一年生きたみたいな例もあるらしい。」
「そっか…。」
余命や命などの重い話をされると、どう返事をしていいか分からない。
「そういえば、今日茜が来てくれるんだって~!久しぶりに話すの楽しみだなぁ。」
宮崎が来るのか…。それなら俺はあと少しで帰るとするか。
「ガラガラ──」
「あ、茜が来た!!」
あ、こんなに時間が被っていたのか。俺は荷物を片付け始める。
「あれ?蓮もう帰っちゃうの…?」
「あぁ、またね。」
俺は宮崎とすれ違って病院を後にする。
思い返せば、余命のことを知らされる前も華はたまに困ったような笑い方をする。あれはもしかしたら、何か悩んでいた証拠なのかもしれない。
そりゃあ当たり前だ。急に余命を知らされて「あなたは◯ヵ月後に死にます」なんて、衝撃すぎるだろう。
俺だったら学校に行かなくなったり、もし学校に行っても華のように元気に振る舞えないだろう。俺ならきっと、人生を諦めてしまうと思う。
正直言って、俺は華を尊敬している。最期まで全力で生きようとするその姿が、素晴らしくて美しいからだ。
ふと自分の姉を思い出す。俺の姉も、いつも堂々としていて凛としている。
自分で言うが、実は俺はなかなかのシスコンなのだ。姉は、梨華という──。
俺は病院に行くことが当たり前になっていた。それは、華が入院していることが当然になってしまったと言い換えられる。
「蓮も毎日来てくれなくていいのに…。」
俺は放課後、毎日病院に向かっている。
雨の日でもそれは変わらないし、都合によっては花を買っていくことも。
「いや、俺が勝手に来てるだけだから。」
「そっか。ありがとうね…。」
「…っ!」
華の瞳には涙が滲んでいた。
華の感情は、入院してから明らかに不安定になっていた。病室で話している時に泣き出して、でも泣きながら笑っていたり、些細なことで苛立ってしまっている様子が伺えることもしばしば。
「蓮が毎日来てくれるのが嬉しくて…。本当に蓮は私の支えだよ。」
「俺は華の「安心させてくれる存在」になれているだろうか。」これは過去に思ったことだった。
今華の口からこぼれた言葉は、信頼してくれている証だった。少しでも華の役に立てていてこっちも嬉しくなる。
「私、あと何日もつかな…?何日蓮と一緒にいれるかな…?」
「ずっと一緒にいられるよ…。」
「嘘ばっかり。」
華とずっと、俺が死ぬまで一緒にいられたらいいのにな。
そんな儚くて淡い願いは、空気に溶けて消えていった。
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