失われゆくくちばしを愛でた午後のこと(冒頭試し読み)

 みちるの身体にはふたつのくちばしがある。
 そのどちらもが、みちるのとても感じるところで、僕はみちるのくちばしを愛でるのがたまらなく好きだ。

【あらすじ】
 29歳の翔真は、5歳年上のバツイチシングルマザーであるみちるとつき合っている。
 みちるの身体には翔真が「くちばし」とこっそり呼んでる部位――上唇の中央の膨らみと、身体の奥深くに息づく愛らしい突起――がある。
 みちるの身体の奥のくちばしには、ごく軽い病変があり、みちるの別れた夫である産婦人科医、拓海に手術をしてもらうことが決まる。
 翔真とみちるは手術の前に思い切り愛し合うために、温泉旅行に出かける。
 そこでみちるは、これまで誰にも明かさなかった壮絶な想いを翔真に打ち明け、翔真は失われゆく「くちばし」を激しく愛しながら、みちるが抱えていた闇の深さと、それを知ってしまってもなお、みちるを離さないという思いを新たにするのだった。

 キンドル電子書籍の冒頭試し読みです。

 この小説は『官能アンソロジー KISS &KISS』に『くちばし』というタイトルで収録されていたものです。
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