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ひとつ
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「朽木良いか?」
と耳元で囁かれた時、朽木は戸惑った。
『途中でわからなくなったら、何の怖い事もないよ、鋼にねぇ、全部お任せしますって言ってあんたは目を瞑って鋼に引っ付いていれば良いんだからね。出来そうかい?』
棗婆の言った言葉が頭に蘇る。
いま、だめと言わなくていけないような気がする。でも鋼に気も、貰わなくてはいけないのに。
鋼としていることは、岩館が忘れてしまえと言った時の動きに似ていた。
それよりもずっとゆっくりとして、お互いに身体を御探りをして、朽木は鋼のかすれた甘い声など初めて聞いてどうしようもないほどに頬が熱くなった。
気持ちが良くて、わからなくなってしまった、だから全部お任せしますといえば良いのだ…。朽木は鋼の身体の下で震えた。
「ひとつになっても良いか」
そう聞かれて、全部言うことが出来ずに朽木はうん、と言った。もうそれしかいえないほどに身体はとろとろに蕩かされ、鋼の切先が朽木の中へゆるゆると埋め込まれていった。
硬くて歪なものが身体の中を押し広げて少しずつ朽木の中に挿入される。朽木はただはぁはぁと息を荒げて目を瞑り鋼に縋り付いていた。開かれた両足の間をそのまま裂かれてしまうのではないかと思うほどに足を広げている。そこに鋼の身体が入り込んでいる。
鋼の抜き身をぴったりと包み込み、朽木の細い腕は溺れた者がしがみつくように鋼の背に回されていた。
鋼は朽木と身体を繋げながら、その細い身体の中に傷ついたような洞があるのを感じ取った。
「朽木、俺とひとつになると言って」
この傷を埋めるから、と鋼は優しく嘘を言った。そんな言葉を言わなくてもこの傷は癒せる。
「はがねと、ひとつになる?」
「そうだ、朽木とひとつになる」
それは番になる者同士がお互いに捧げる言葉だった。朽木は知らなかった。誰も、鋼も、岩館さえも朽木に教えなかったからだ。
朽木は知らない間に鋼の番になった。朽木の身体は何の抗うこともなく鋼を受け入れた。
今まで優しく包まれ、抱え上げられ、そばについて髪を漉き、水を飲ませ、ずっと守り横で眠る。番が当たり前にやる事を二人はすでにしていて、朽木の心には鋼に対する恐れもなく信頼し安心していたからだ。
朽木と鋼は結び合わさりひとつになった。
その洞をぴったりと満たせるのは俺しかいない、と岩館が傷つけた穴を、ゆっくりと鋼が埋めた。熱く溶けて、その隙間を隙間を狂いなく満たしてしまう。番は心が通っていれば互いの傷を癒すことができる。二人の間にあるのは愛ではないかもしれないが、朽木は鋼が自分を傷つけることは無いと心の奥底から思い身を任せきっていたし、鋼にあるのはただ朽木に対する所有欲と…やはり尽きぬ愛情だった。
朽木の身体の中に岩館の残した種など無かった。ただ有ったのは深い傷だ。
鋼は番を得たい、抱きたいがために嘘をついた。これから朽木の身体の中で根付くのは鋼の種だ。いつか宿る鋼と朽木の子。
ただ木の番が欲しいと思っていた時よりもずっと朽木が愛おしく、もう離せるはずが無かった。
あっ、あ…と朽木が声を上げる。
鋼は優しく波のように身体を揺らす。繋がったまま朽木が欲しがるまで、泣き出すまであやすように甘く鋼の埋め込まれたものをは朽木の敏感な場所をくすぐり、押し上げ愉悦の響きを身体の先端まで贈り包み込んだ。
「気をおくられると心地良いだろう?」
朽木は返事も出来ずに震え続ける。身体の中で弾け続けるようなそれをどうして良いか分からず、朽木の唇からは吐息が溢れる。鋼にとっては朽木が快感を覚え絶頂を知るその表情を見るのは雄を激しく刺激されたまらないものがあった。
そうして朽木は包まれて揺らされ続け、鋼は愛おしい番を抱えて揺らし続けた。
と耳元で囁かれた時、朽木は戸惑った。
『途中でわからなくなったら、何の怖い事もないよ、鋼にねぇ、全部お任せしますって言ってあんたは目を瞑って鋼に引っ付いていれば良いんだからね。出来そうかい?』
棗婆の言った言葉が頭に蘇る。
いま、だめと言わなくていけないような気がする。でも鋼に気も、貰わなくてはいけないのに。
鋼としていることは、岩館が忘れてしまえと言った時の動きに似ていた。
それよりもずっとゆっくりとして、お互いに身体を御探りをして、朽木は鋼のかすれた甘い声など初めて聞いてどうしようもないほどに頬が熱くなった。
気持ちが良くて、わからなくなってしまった、だから全部お任せしますといえば良いのだ…。朽木は鋼の身体の下で震えた。
「ひとつになっても良いか」
そう聞かれて、全部言うことが出来ずに朽木はうん、と言った。もうそれしかいえないほどに身体はとろとろに蕩かされ、鋼の切先が朽木の中へゆるゆると埋め込まれていった。
硬くて歪なものが身体の中を押し広げて少しずつ朽木の中に挿入される。朽木はただはぁはぁと息を荒げて目を瞑り鋼に縋り付いていた。開かれた両足の間をそのまま裂かれてしまうのではないかと思うほどに足を広げている。そこに鋼の身体が入り込んでいる。
鋼の抜き身をぴったりと包み込み、朽木の細い腕は溺れた者がしがみつくように鋼の背に回されていた。
鋼は朽木と身体を繋げながら、その細い身体の中に傷ついたような洞があるのを感じ取った。
「朽木、俺とひとつになると言って」
この傷を埋めるから、と鋼は優しく嘘を言った。そんな言葉を言わなくてもこの傷は癒せる。
「はがねと、ひとつになる?」
「そうだ、朽木とひとつになる」
それは番になる者同士がお互いに捧げる言葉だった。朽木は知らなかった。誰も、鋼も、岩館さえも朽木に教えなかったからだ。
朽木は知らない間に鋼の番になった。朽木の身体は何の抗うこともなく鋼を受け入れた。
今まで優しく包まれ、抱え上げられ、そばについて髪を漉き、水を飲ませ、ずっと守り横で眠る。番が当たり前にやる事を二人はすでにしていて、朽木の心には鋼に対する恐れもなく信頼し安心していたからだ。
朽木と鋼は結び合わさりひとつになった。
その洞をぴったりと満たせるのは俺しかいない、と岩館が傷つけた穴を、ゆっくりと鋼が埋めた。熱く溶けて、その隙間を隙間を狂いなく満たしてしまう。番は心が通っていれば互いの傷を癒すことができる。二人の間にあるのは愛ではないかもしれないが、朽木は鋼が自分を傷つけることは無いと心の奥底から思い身を任せきっていたし、鋼にあるのはただ朽木に対する所有欲と…やはり尽きぬ愛情だった。
朽木の身体の中に岩館の残した種など無かった。ただ有ったのは深い傷だ。
鋼は番を得たい、抱きたいがために嘘をついた。これから朽木の身体の中で根付くのは鋼の種だ。いつか宿る鋼と朽木の子。
ただ木の番が欲しいと思っていた時よりもずっと朽木が愛おしく、もう離せるはずが無かった。
あっ、あ…と朽木が声を上げる。
鋼は優しく波のように身体を揺らす。繋がったまま朽木が欲しがるまで、泣き出すまであやすように甘く鋼の埋め込まれたものをは朽木の敏感な場所をくすぐり、押し上げ愉悦の響きを身体の先端まで贈り包み込んだ。
「気をおくられると心地良いだろう?」
朽木は返事も出来ずに震え続ける。身体の中で弾け続けるようなそれをどうして良いか分からず、朽木の唇からは吐息が溢れる。鋼にとっては朽木が快感を覚え絶頂を知るその表情を見るのは雄を激しく刺激されたまらないものがあった。
そうして朽木は包まれて揺らされ続け、鋼は愛おしい番を抱えて揺らし続けた。
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