『競艇放浪記』
私が父から教えてもらった言葉の一つに
「博打は一本、泣くならするな」 があります。
そして博打場の原風景として
住之江競艇の、当時ぺらっぺらな舟券が
床一面に散らばっていた景色を想います。
これはお金が落ちてるんや、もったいないなぁと思い
拾い集めて、2階からまき散らしていました。
何度か繰り返すと、おっさんの吐いた痰が手のひらについて
げ!ってなるのですが、楽しくて、何かわからないけど哀れで
連れて行ってもらうたびに繰り返していました。
結果、息子は一切のギャンブルをしない男に育ちました。
ですが、その息子は非合法な鉄火場に出入りするようになります。
大好きな兄貴分が、さいころ好きだった為なのですが、
私は負けが込みだすと、後ろから更に煽るという禄でもないことをしていました。
突破で鉄板な人でしたが、私からガジる事は、一切せず捧腹絶倒な事ばかりで
楽しませてもらっていました。
この小説を読んでいると、その2つの事を思い出し、
また、この作者は私の大好きな兄貴分を思い出させます。
幼少期と、青年期のノスタルジーが現在で蘇ります。
内容は、読んでいてとても楽しめるものです。
行く先々での、出来事など面白いものですし、
住之江と、ボートピア梅田以外を知らない私には
どの競艇場の風景も目新しく、うらぶれたおっさんたちのエピソードには
頭に思い描けて笑えてしまいますが、
やはり作者が、血だるま火だるまになっていく様が、なんといっても楽しめてしまいます。
それを、悲惨な気持ちで読まさないようにするところが、
この作者の生きざまであり文才のうまさなのだろうなと思います。
此の先、作者はどのように鼻血、生き血をまき散らすのだろう?
そこに私は楽しみを見出すのです。
そして当時、よく言った言葉をこの小説を読みながらつぶやくのです。
「兄貴、そんな張り方、男らしくないわ。」
「はー?押さえ買うって?一生頭押さえられとけっちゅうねん」
「お!攻めた負けは負けやない、次はでっかい勝負やね」
わたしもある意味、あかん奴ですね。
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