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17.難しい問題
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「なるほど……それは、大変な事態ですね、エルムルナ殿」
「ええ、そうなのです」
私は、エルムルナ様とともにアグナヴァン様の元に来ていた。
彼女から推測を伝えられた彼は、かなり驚いていた。どうやら、王子であっても闇の魔法などといったものは知らなかったようだ。
「殿下の方から、あちらの国に働きかけてもらえないでしょうか?」
「もちろん、そのつもりですが、色々と問題がありますね……闇の魔力というものは、どれくらいの量で影響を及ぼすのでしょうか?」
「……それに関しては、私の方でも把握できていません」
「……どのように働きかけるにしても、時間は必要になります。もしも、闇の魔力の浸食が早かった場合は、かなり厳しい状況ですね」
アグナヴァン様は、頭を抱えていた。
当たり前のことではあるが、彼がただ事情を説明するだけでは、ドルマニア王国側が納得する訳もない。
彼は、元々私の冤罪を晴らすつもりだった。それが上手くいけば、ドルマニア王国も彼の主張を受け入れてくれるだろう。
だが、それは簡単なことではない。何をするにしても、時間はかかるだろう。
「その様子だと、それなりに時間がかかるようですね?」
「ええ、一週間や二週間では、無理だと思います」
「恐らく、それ程の時間があれば、闇の魔力はドルマニア王国を壊滅させるはずです」
「まあ、当たり前のことですね……」
闇の魔力が、どれ程の効力があるかはわからない。
しかし、一か月もかかっていれば、間違いなく手遅れになるだろう。それ程、時間はないと考えるべきだ。
だが、そうなるとこちらの王国側から何かをするのは難しい。どうにかするのは、不可能とさえいえるだろう。
「……恐らく、私達は何か起こってから動くしかないでしょう。もちろん、私も罪のない命が費えるのを見過ごしたいとは思いません。ドルマニア王国への支援の準備はしておきましょう。もっとも、こちらも慈善事業でそれらの事柄を実行できる訳ではありません。そこまで大きな支援はできないかもしれませんが」
「……仕方ありませんか」
アグナヴァン様の言葉に、エルムルナ様は明らかに落ち込んでいた。
ただ、彼女も理解はしているのだろう。隣国であるスウェンド王国が、ドルマニア王国に過干渉することはできない。それは、仕方ないことなのだ。
「エルムルナ様、気を落とさないでください。私も、できる限りのことはやるつもりです」
「殿下……申し訳ありません」
「いえ、お気になさらず」
アグナヴァン様は、本当に優れた人である。
私は、改めてそう思っていた。王族としても紳士としても、これ以上に頼りになる人はいないのではないだろうか。
「ええ、そうなのです」
私は、エルムルナ様とともにアグナヴァン様の元に来ていた。
彼女から推測を伝えられた彼は、かなり驚いていた。どうやら、王子であっても闇の魔法などといったものは知らなかったようだ。
「殿下の方から、あちらの国に働きかけてもらえないでしょうか?」
「もちろん、そのつもりですが、色々と問題がありますね……闇の魔力というものは、どれくらいの量で影響を及ぼすのでしょうか?」
「……それに関しては、私の方でも把握できていません」
「……どのように働きかけるにしても、時間は必要になります。もしも、闇の魔力の浸食が早かった場合は、かなり厳しい状況ですね」
アグナヴァン様は、頭を抱えていた。
当たり前のことではあるが、彼がただ事情を説明するだけでは、ドルマニア王国側が納得する訳もない。
彼は、元々私の冤罪を晴らすつもりだった。それが上手くいけば、ドルマニア王国も彼の主張を受け入れてくれるだろう。
だが、それは簡単なことではない。何をするにしても、時間はかかるだろう。
「その様子だと、それなりに時間がかかるようですね?」
「ええ、一週間や二週間では、無理だと思います」
「恐らく、それ程の時間があれば、闇の魔力はドルマニア王国を壊滅させるはずです」
「まあ、当たり前のことですね……」
闇の魔力が、どれ程の効力があるかはわからない。
しかし、一か月もかかっていれば、間違いなく手遅れになるだろう。それ程、時間はないと考えるべきだ。
だが、そうなるとこちらの王国側から何かをするのは難しい。どうにかするのは、不可能とさえいえるだろう。
「……恐らく、私達は何か起こってから動くしかないでしょう。もちろん、私も罪のない命が費えるのを見過ごしたいとは思いません。ドルマニア王国への支援の準備はしておきましょう。もっとも、こちらも慈善事業でそれらの事柄を実行できる訳ではありません。そこまで大きな支援はできないかもしれませんが」
「……仕方ありませんか」
アグナヴァン様の言葉に、エルムルナ様は明らかに落ち込んでいた。
ただ、彼女も理解はしているのだろう。隣国であるスウェンド王国が、ドルマニア王国に過干渉することはできない。それは、仕方ないことなのだ。
「エルムルナ様、気を落とさないでください。私も、できる限りのことはやるつもりです」
「殿下……申し訳ありません」
「いえ、お気になさらず」
アグナヴァン様は、本当に優れた人である。
私は、改めてそう思っていた。王族としても紳士としても、これ以上に頼りになる人はいないのではないだろうか。
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