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31.王都に辿り着いて

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 私は、アグナヴァン様とともにドルマニア王国内を進んで行った。
 国内のほぼ全ての自然は枯れ果てていた。大樹に闇の魔力が伝わった結果、国内の自然は破壊されてしまったようである。
 その光景に心を痛めながら、私達は王都まで辿り着いていた。

「さて、目指すは大樹ということだな……」
「ええ……」

 ドルマニア王国の変化は、大樹が闇の魔力に汚染されてしまったからだ。
 それを解決するためには、大樹からそれを払わなければならない。
 そして、大樹に正しい光の魔力を注げば、このドルマニア王国を元に戻すことができる。大地を再生することができるのだ。

「大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です」

 アグナヴァン様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 これから私達は、王城に向かう。そこには、私を追放した人達がいる。
 正直、その人達と会うのは億劫だ。しかし、それは必要なことであるので、行くしかない。

 そんなことを考えている内に、馬車は王城の前まで来ていた。
 そして、御者が門番達と話し始める。いよいよ、王城に入るのだ。
 ゆっくりと馬車は王城の敷地内に入っていく。

「……よし」

 馬車が止まった後、アグナヴァン様は自ら戸を開けて馬車から下りた。
 その後、彼は私に手を差し伸べてくる。
 その手を取って、私も馬車から下りていく。こういう風に紳士的な所は、流石である。

「……アグナヴァン様、フェルーナ嬢、お待ちしていましたよ」
「……先生!」

 そんな私の目に入って来たのは、見知った顔だった。
 トルフェニオ・パストマン教授が、私達の目の前に現れたのである。

「フェルーナ嬢、無事で何よりです」
「先生のおかげです」
「いえ、私は手紙を届けただけですよ」
「先生以外に、あの暗号を届けられる人はいませんでした。先生がいなければ、私はどうなっていたことか……本当に、ありがとうございます」

 私は、先生に感謝を伝えた。
 彼がいなければ、どうなっていたことだろうか。私は、もっと厳しい状況に陥っていたはずだ。
 全ては、先生が私の手紙を届けてくれたからである。それに私は、感謝しなければならないのだ。

「パストマン教授、お久し振りですね」
「アグナヴァン様、あなたには色々とお世話になりましたね……本当に、ありがとうございます。私の教え子を救っていただき……」
「いえ、それは私自身も望んでいたことですから……」

 続いて、先生はアグナヴァン様と挨拶を交わした。
 二人は、一応知り合いである。しかし、今までそれ程交流があった訳ではない。
 そのためか、少しぎこちない様子だ。そんな様子に、私は少しだけ安心感を覚えるのだった。
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