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32.響かない謝罪
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私とアグナヴァン様は、玉座の間まで来ていた。
私達の目の前には、この国の国王様がいる。私の追放を決定した張本人が、そこにいるのだ。
「アグナヴァン殿下、フェルーナ嬢、本日はよく来てくれた……」
「……」
国王様は、私達にゆっくりとそう挨拶してきた。
その表情は、少し暗い。流石に、私と顔を合わせるのは気まずいのだろうか。
いや、単純に国が弱っているからなのかもしれない。一国の主として、今の国の状況はかなり辛いものだろう。
「……まずは、フェルーナ嬢に謝罪しなければならない。お主への不当な扱い、本当に申し訳なかった」
そう思っていた私に、国王様はゆっくりと頭を下げてきた。
しかし、それを見ても私の心はちっとも晴れない。今更、謝られても、私の心にはまったく響かないようである。
「グラッセン」
「はい、父上……」
そこで、国王様は一人の人物を呼んだ。
それは、このドルマニア王国の第三王子であるグラッセン様である。
彼は、気まずそうな顔をしながら私の前に現れた。やはり、グラッセン様も私を追放したことに対して、罪悪感を覚えているのだろう。
「フェルーナ、久し振りだね……」
「……ええ、そうですね」
「君には、本当に申し訳ないことをした……あの時の僕は、どうかしていたんだ」
「……」
グラッセン様も、私に対して謝ってきた。
ただ、やはり私の心には響いてこない。私の心は、冷たいものだ。
「……ドルマニア王、あなた方は過ちを犯した。それは、紛れもない事実であり、謝罪が必要なことではあるだろう。しかし、今は解決しなければならない問題もあります。その対処について、話し合いましょう」
「……そうだな」
アグナヴァン様の言葉に、国王様はゆっくりと頷いた。
恐らく、アグナヴァン様は助け船を出してくれたのだろう。これ以上謝られても、私としては仕方ないことだったので、それは助かった。
事実として、この国は危機的な状態である。
その対処は、迅速に行わなければならない。時間がかかればかかる程、事態を収拾するのは難しくなるからだ。
「フェルーナ殿は、我が国の聖女であるエルムルナから、闇の魔力を払う術を学んでおります。彼女が大樹の元に行くことを許してもらえますか?」
「……もちろんだ。この国を蝕む闇を、どうか払ってくれ」
アグナヴァン様からの提案に、国王様は少し逡巡していた。
今や他国の人間である私を、この国の中枢である大樹の元に行かせていいのか、迷っていたのだろう。
だが、それでも最後には頷いた。他に方法がない以上、私に頼るしかないと判断したのだろう。
私達の目の前には、この国の国王様がいる。私の追放を決定した張本人が、そこにいるのだ。
「アグナヴァン殿下、フェルーナ嬢、本日はよく来てくれた……」
「……」
国王様は、私達にゆっくりとそう挨拶してきた。
その表情は、少し暗い。流石に、私と顔を合わせるのは気まずいのだろうか。
いや、単純に国が弱っているからなのかもしれない。一国の主として、今の国の状況はかなり辛いものだろう。
「……まずは、フェルーナ嬢に謝罪しなければならない。お主への不当な扱い、本当に申し訳なかった」
そう思っていた私に、国王様はゆっくりと頭を下げてきた。
しかし、それを見ても私の心はちっとも晴れない。今更、謝られても、私の心にはまったく響かないようである。
「グラッセン」
「はい、父上……」
そこで、国王様は一人の人物を呼んだ。
それは、このドルマニア王国の第三王子であるグラッセン様である。
彼は、気まずそうな顔をしながら私の前に現れた。やはり、グラッセン様も私を追放したことに対して、罪悪感を覚えているのだろう。
「フェルーナ、久し振りだね……」
「……ええ、そうですね」
「君には、本当に申し訳ないことをした……あの時の僕は、どうかしていたんだ」
「……」
グラッセン様も、私に対して謝ってきた。
ただ、やはり私の心には響いてこない。私の心は、冷たいものだ。
「……ドルマニア王、あなた方は過ちを犯した。それは、紛れもない事実であり、謝罪が必要なことではあるだろう。しかし、今は解決しなければならない問題もあります。その対処について、話し合いましょう」
「……そうだな」
アグナヴァン様の言葉に、国王様はゆっくりと頷いた。
恐らく、アグナヴァン様は助け船を出してくれたのだろう。これ以上謝られても、私としては仕方ないことだったので、それは助かった。
事実として、この国は危機的な状態である。
その対処は、迅速に行わなければならない。時間がかかればかかる程、事態を収拾するのは難しくなるからだ。
「フェルーナ殿は、我が国の聖女であるエルムルナから、闇の魔力を払う術を学んでおります。彼女が大樹の元に行くことを許してもらえますか?」
「……もちろんだ。この国を蝕む闇を、どうか払ってくれ」
アグナヴァン様からの提案に、国王様は少し逡巡していた。
今や他国の人間である私を、この国の中枢である大樹の元に行かせていいのか、迷っていたのだろう。
だが、それでも最後には頷いた。他に方法がない以上、私に頼るしかないと判断したのだろう。
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