43 / 48
43.本に宿るもの
しおりを挟む
「……あなたは一体、何者なのかしら?」
『……』
「答えてくれないのね……」
私は、半透明な女性に質問を投げかけた。
しかし、彼女は答えてくれない。鋭い視線を投げかけてくるだけである。
「答えてくれないというなら、こちらにも考えがあるわ」
『……?』
「私の目を見なさい」
『こ、これは……?』
このまま彼女はきっと何も答えてくれない。そう思った私は、彼女に強制的に答えてもらうことにした。
はっきりと言って、彼女を消滅させるのはそれ程難しいことではない。このまま消滅させても問題はなかっただろう。
だが、私は今回の事件の真実を知りたいと思っていた。一体、この半透明な女性は何者で、何をしていたのだろうか。
「さあ、力を抜いて私の指示に従って……」
『うっ……』
私は、彼女に魔法をかけていく。
幸いにも、私のことをじっと見つめてくれていたため、半透明な女性は簡単に私の魔法にかかってくれたようだ。
「まず、あなたの名前から聞かせてもらえるかしら?」
『私の名前は……エルネリス』
「エルネリス……」
彼女の名前は、聞いたことがないものだった。
少なくとも、魔法関連で業績を残しているような人物ではないようである。
とはいえ、闇の魔法のことに関して私は詳しくない。もしかしたら、そちらの道を極めた人物という可能性はある。
「あなたは、何者なの? そうね……どうして、本に宿っているのか聞きたいわ」
『私は、この世に未練を残していた……だから、死んでからもその魂は現世に留まり続けていた。この本は、その媒体だったというだけ。偶々、近くにあった本に私は宿ることになったの』
「なるほど……」
どうやら、エルネリスは幽霊のような存在であるらしい。
それに、この本は別に彼女にとって特別なものではく、偶然近くにあっただけのものであるようだ。
ということは、彼女は闇の魔法に長けているという訳ではないのかもしれない。
「その未練とは一体何かしら?」
『私は、姉に殺された……その憎しみで、現世に留まった』
「姉に殺された? あなたは、その姉に復讐しようとしているということ?」
『……正確には少し違う。姉は、既に亡くなっている。とっくの昔にね』
私の質問に、エルネリスは口の端を歪めてそう答えた。
恐らく、彼女は結構昔の人なのだろう。長い間、現世に留まっているのではないだろうか。
しかし、復讐するべき対象である姉が亡くなっているというのに、留まっているという事実は気になる所だ。一体、どうして彼女は成仏しないのだろうか。
『……』
「答えてくれないのね……」
私は、半透明な女性に質問を投げかけた。
しかし、彼女は答えてくれない。鋭い視線を投げかけてくるだけである。
「答えてくれないというなら、こちらにも考えがあるわ」
『……?』
「私の目を見なさい」
『こ、これは……?』
このまま彼女はきっと何も答えてくれない。そう思った私は、彼女に強制的に答えてもらうことにした。
はっきりと言って、彼女を消滅させるのはそれ程難しいことではない。このまま消滅させても問題はなかっただろう。
だが、私は今回の事件の真実を知りたいと思っていた。一体、この半透明な女性は何者で、何をしていたのだろうか。
「さあ、力を抜いて私の指示に従って……」
『うっ……』
私は、彼女に魔法をかけていく。
幸いにも、私のことをじっと見つめてくれていたため、半透明な女性は簡単に私の魔法にかかってくれたようだ。
「まず、あなたの名前から聞かせてもらえるかしら?」
『私の名前は……エルネリス』
「エルネリス……」
彼女の名前は、聞いたことがないものだった。
少なくとも、魔法関連で業績を残しているような人物ではないようである。
とはいえ、闇の魔法のことに関して私は詳しくない。もしかしたら、そちらの道を極めた人物という可能性はある。
「あなたは、何者なの? そうね……どうして、本に宿っているのか聞きたいわ」
『私は、この世に未練を残していた……だから、死んでからもその魂は現世に留まり続けていた。この本は、その媒体だったというだけ。偶々、近くにあった本に私は宿ることになったの』
「なるほど……」
どうやら、エルネリスは幽霊のような存在であるらしい。
それに、この本は別に彼女にとって特別なものではく、偶然近くにあっただけのものであるようだ。
ということは、彼女は闇の魔法に長けているという訳ではないのかもしれない。
「その未練とは一体何かしら?」
『私は、姉に殺された……その憎しみで、現世に留まった』
「姉に殺された? あなたは、その姉に復讐しようとしているということ?」
『……正確には少し違う。姉は、既に亡くなっている。とっくの昔にね』
私の質問に、エルネリスは口の端を歪めてそう答えた。
恐らく、彼女は結構昔の人なのだろう。長い間、現世に留まっているのではないだろうか。
しかし、復讐するべき対象である姉が亡くなっているというのに、留まっているという事実は気になる所だ。一体、どうして彼女は成仏しないのだろうか。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,318
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる