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47.帰るべき場所は
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「今回の件、よくぞ解決してくれた。アグナヴァン殿下、フェルーナ、そしてパストマン教授。この国を代表して、例を言おう」
私とアグナヴァン様と先生は、国王様の前に立っていた。
ドルマニア王国には、既にエルネリスのことは伝えてある。その件も踏まえて、国王様はお礼を言っているのだ。
あの部屋での騒ぎは、近くにいた兵士達も見ていたらしく簡単に信じられた。それによって、ホーネリアも現在は解放されている。
「フェルーナよ。お主に頼みたいことがある」
「……はい、なんでしょうか?」
「現在、このドルマニア王国の聖女は空席だ。そこで、お主に再びこの国の聖女に就任してもらいたい」
国王様は、私に対してそのように言ってきた。
その質問は、ある程度予想していたことである。この国で聖女をこなせるのは私以外にいなかった。ホーネリアが聖女になれたのも私から魔力を奪ったからなので、他に聖女に相応しい人間はいない。
「……残念ながら、お断りさせていただきます」
「む……」
しかし、私は国王様の提案を断った。
その理由は、単純明快である。彼らがした仕打ちを私は完全に許した訳ではない。
もちろん、謝られたというのは事実ではある。だが、私はそれでも寛大になることはできなかった。
こちらは危うく命を落とす所だったのだ。それ程のことをした者達の元で働きたいとは思えない。
「どうしても無理か?」
「ええ、無理です」
国王様は、私に複雑な表情で質問をしてきた。
彼からすれば、これは死活問題であるだろう。
このドルマニア王国は、聖女が大樹に魔力を注いで栄えた国だ。大樹に魔力を注ぐ聖女が不在となれば、今までのような豊作は望めない。
「……仕方ないことか」
だが、国王様は項垂れながらもそれを受け入れた。
それは恐らく、私にした仕打ちを反省しているからだろう。
「……という訳です。アグナヴァン様」
「む? あ、ああ……」
そこで私は、アグナヴァン様の方を見た。
彼は先程から私の方を心配そうな瞳で見つめていた。私がこちらの国に残らないか、それが心配だったのだろう。
今の彼は、笑みを浮かべている。私が彼の元に留まることに対して、アグナヴァン様も喜んでくれているのだろう。
「アグナヴァン殿下、あなたにもお礼を言わなければなりませんな。今回の件は、ドルマニア王国として、スウェンド王国に感謝を表明しましょう」
「え、ええ……」
国王様から話が振られたので、アグナヴァン様の意識はそちらに集中した。
こうして、二人の話は国と国との話に移っていくのだった。
私とアグナヴァン様と先生は、国王様の前に立っていた。
ドルマニア王国には、既にエルネリスのことは伝えてある。その件も踏まえて、国王様はお礼を言っているのだ。
あの部屋での騒ぎは、近くにいた兵士達も見ていたらしく簡単に信じられた。それによって、ホーネリアも現在は解放されている。
「フェルーナよ。お主に頼みたいことがある」
「……はい、なんでしょうか?」
「現在、このドルマニア王国の聖女は空席だ。そこで、お主に再びこの国の聖女に就任してもらいたい」
国王様は、私に対してそのように言ってきた。
その質問は、ある程度予想していたことである。この国で聖女をこなせるのは私以外にいなかった。ホーネリアが聖女になれたのも私から魔力を奪ったからなので、他に聖女に相応しい人間はいない。
「……残念ながら、お断りさせていただきます」
「む……」
しかし、私は国王様の提案を断った。
その理由は、単純明快である。彼らがした仕打ちを私は完全に許した訳ではない。
もちろん、謝られたというのは事実ではある。だが、私はそれでも寛大になることはできなかった。
こちらは危うく命を落とす所だったのだ。それ程のことをした者達の元で働きたいとは思えない。
「どうしても無理か?」
「ええ、無理です」
国王様は、私に複雑な表情で質問をしてきた。
彼からすれば、これは死活問題であるだろう。
このドルマニア王国は、聖女が大樹に魔力を注いで栄えた国だ。大樹に魔力を注ぐ聖女が不在となれば、今までのような豊作は望めない。
「……仕方ないことか」
だが、国王様は項垂れながらもそれを受け入れた。
それは恐らく、私にした仕打ちを反省しているからだろう。
「……という訳です。アグナヴァン様」
「む? あ、ああ……」
そこで私は、アグナヴァン様の方を見た。
彼は先程から私の方を心配そうな瞳で見つめていた。私がこちらの国に残らないか、それが心配だったのだろう。
今の彼は、笑みを浮かべている。私が彼の元に留まることに対して、アグナヴァン様も喜んでくれているのだろう。
「アグナヴァン殿下、あなたにもお礼を言わなければなりませんな。今回の件は、ドルマニア王国として、スウェンド王国に感謝を表明しましょう」
「え、ええ……」
国王様から話が振られたので、アグナヴァン様の意識はそちらに集中した。
こうして、二人の話は国と国との話に移っていくのだった。
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