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14.わからない本性

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「そちらも話が終わりましたか?」
「ゼルフォン様……」

 ローガルとの話を終えて客室を出た私は、ゼルフォン様が待ち構えていたことに少し驚いた。
 彼は、神妙な表情をしている。ということは、ソルリア嬢との話はあまり良い結果にはならなかったのかもしれない。
 それは仕方ないことだろう。あの我が強いソルリア嬢との話が、上手く着地するとはとても思えない。

「驚かせてしまい、申し訳ありません。しかし、少しそちらの話を聞きたくて……」
「私の話ですか?」
「ローガル伯爵令息は、どのような人物なのでしょうか?」
「えっと……とりあえず、中庭にでも行きましょうか」
「ええ、そうしていただけると助かります」

 私はゼルフォン様に、場所を考えるように進言した。
 流石にここで話して、ローガルに話を聞かれるのはばつが悪いからだ。
 という訳で、私達は中庭の方まで出てきた。幸いにもそこには誰もいない。これなら秘密の話もできそうだ。

「ローガルの話でしたよね? 彼の何が聞きたいのですか?」
「ソルリアが彼に心酔している所が気になったのです。彼には人を惹きつける何かがあるのでしょうか?」
「……そういう訳ではないと思います。彼は穏やかで、どちらかというと情けないタイプですから。まあ、優しさは評価できると思いますが、結局は浮気者ですからね」
「なるほど」

 私は、ローガルのことを端的に説明した。
 それに対して、ゼルフォン様は考えるような仕草をしている。何か思う所でもあるのだろうか。

「ソルリアの話だけだと、なんというか別の印象を抱きました。彼はなんというか、女好きのやり手といいますか、そのようなタイプであるような気がしました」
「……そうですか。もしかしたら彼には、そういった一面もあるのかもしれません。そもそも浮気していた時点で、私の評価は当てになりませんからね」
「……もう少し調べてみる価値があるのかもしれませんね。ローガル伯爵令息という男を」

 ゼルフォン様は、鋭い視線でそんなことを呟いた。
 ローガルの本性については、正直私も気になっている。長年私が見てきたものが、なんだったのかを知りたいのだ。

「その調査結果をこちらに伝えていただくことは可能ですか?」
「あなたがそう望むならもちろんです。調査の結果は逐一お伝えしましょう」
「ありがとうございます」

 私のお願いを、ゼルフォン様は快く受け入れてくれた。
 これで、ローガルのことがわかりそうだ。私に笑顔を振りまく裏で、彼は何を考えていたのだろうか。
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