私を裏切ったあの人が、あなたを裏切らないなんて本気で思っていたのですか?

木山楽斗

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15.調査の結果は

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「……正直な所、驚くべき結果であると思っています」
「……そうですね」

 ゼルフォン様からの報告を聞いた私は、固まっていた。
 彼から聞かされたのは、ローガルの女性遍歴である。どうやら彼が関係を持っていたのは、ソルリア嬢だけではなかったらしい。

「私が調べただけでも、ローガル伯爵令息は三股……いいえ、あなたと婚約をしていたことを考えると四股になりますか。ソルリアも含めて、三人の女性と関係を持っていました」
「……三人ですか」
「一人は、ヴァルガド伯爵家と懇意にしている商人の娘、一人はヴァルガド伯爵家の領地に暮らしている平民ですね。彼は、身分を問わず手を出していたようです」

 ゼルフォン様は、調査結果が書かれた紙を私に見せてくれた。
 そこには、ローガルが関係を持っていた女性達の大まかな経歴などが書かれている。

「ソルリアは彼のことを信じ切っていましたが、どうやらあれもまた裏切られていたようですね」
「……まあ、私に対して浮気を働いていた訳ですからね。そのような人を信じるのがそもそもおかしいのでしょう。大体、本当にソルリア嬢のことを愛しているなら、私との婚約は破談にして彼女と婚約するはずですし」
「なるほど、確かに前提からソルリアは見誤っていた訳ですか」

 ゼルフォン様は、そこでため息を吐いた。
 恐らく、ソルリア嬢に呆れているのだろう。彼女は人を見る目がなさ過ぎたのだ。少なくとも、浮気をしているとわかっている男に心酔するべきではなかっただろう。

「まあ、私も彼女のことをそこまで言える訳ではありませんね。ローガルには随分と騙されていた訳ですし……」
「それに関しては、仕方ないことです。浮気の事実をあなたは知らなった訳ですから、知ってからも信用するなら問題ですが、知ってから突き放したのならあなたは正当な判断ができているといえる」
「そう言っていただけるとありがたいです」

 ゼルフォン様の言葉に、私は少しだけ安心していた。
 ローガルという人間にまんまと騙されていた。その事実は今になって、中々に効いている。
 彼との婚約を少なからず幸福に思っていた自分が、少し恥ずかしい。もっと早く本性を見抜いておきたかった所だ。

「しかし、ローガル伯爵令息の行動は同じ貴族として見過ごしたくはありませんね。こういう者がいると、貴族への不信感が高まってしまいます」
「……確かにそうですね。それなら、この事実を公にしますか?」
「ええ、ヴァルガド伯爵には少し同情しますが、そうさせていただきます。これ以上、ローガル伯爵令息の自由にはさせませんよ」
「ゼルフォン様は、ご立派ですね」
「いえ、そんなことはありませんよ」

 私の言葉に、ゼルフォン様は笑顔を見せてくれた。
 これから彼によって、ローガルは痛いしっぺ返しを受けることになるだろう。彼は少々自由にし過ぎたのだ。その反省をしてくれるといいのだが。
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