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私は、エリグス様に告白していた。
不本意な告白だが、それは仕方ない。私が不甲斐ないから、こうなったのだ。
ただ、彼にこの気持ちを知ってもらっているだけでいい。今は、それだけで充分である。
そのようなことを考えていた私に、エリグス様は伝えたいことがあると言ってきた。一体、彼はこのタイミングで何を伝えたいのだろうか。
「えっと……その、なんでしょうか?」
「そうですね……少し、待って下さい」
エリグス様は、そこで深呼吸をした。恐らく、心を落ち着かせているのだろう。
彼が何を言おうとしているのか。それを私は、なんとなく察している。
彼の気まずそうな表情が、私に語っているのだ。あの時と同じ表情、自分同じであると語ってくるその目は、今でも覚えている。
「僕も……あなたのことが、好きだと思います」
「エリグス様……」
エリグス様は、ゆっくりとその言葉を紡ぎ出してくれた。
察していたことではあるが、それでもその言葉はとても嬉しい。
ここまで嬉しいということは、やはり私も彼が好きなのだろう。
「正直、僕も結構曖昧な感情なのです。あなたと同じように……」
「私と同じように?」
「好きというか、気になるというか、そういう感覚です。これは好意なのだろうか? それとも、単純に共感しているかなのだろうか? そんなことばかり考えていました」
「確かに、私も同じようなことを思っていました」
エリグス様の言葉に、私は驚いていた。
なぜなら、彼が感じていたようなことは、私も感じていたからだ。
彼といると、心地いいと思う。しかし、それが恋愛感情なのかどうか、それはあまりよくわかっていないことだった。
ただ、彼といる時は、他の人といる時とは違う気がする。そういう考えから、私は彼に好意を抱いていると思うようになった。その後、お父様の言葉を聞いて、その思いを否定しなければならないと思ったのである。
彼も、同じようなことを思ったのだろう。最後は異なるが、好意かどうかわからない微妙な感情を私に抱いてくれていたようである。
「ただ、先程のあなたの表情を見ていてわかりました。明るくなったあなたの笑顔が、僕はとても好きです。その顔をずっと見ていたい。そう思いました」
「そ、そうなのですか?」
「ええ、だから、これは好意です。僕は、あなたのことが好きです」
エリグス様は、はっきりともう一度好意を口にしてくれた。
それが、とても嬉しい。体の芯から温かくなってくる。これが、私も彼のことが好きだという証拠なのだろう。
こうして、私はエリグス様から思いを告げられるのだった。
不本意な告白だが、それは仕方ない。私が不甲斐ないから、こうなったのだ。
ただ、彼にこの気持ちを知ってもらっているだけでいい。今は、それだけで充分である。
そのようなことを考えていた私に、エリグス様は伝えたいことがあると言ってきた。一体、彼はこのタイミングで何を伝えたいのだろうか。
「えっと……その、なんでしょうか?」
「そうですね……少し、待って下さい」
エリグス様は、そこで深呼吸をした。恐らく、心を落ち着かせているのだろう。
彼が何を言おうとしているのか。それを私は、なんとなく察している。
彼の気まずそうな表情が、私に語っているのだ。あの時と同じ表情、自分同じであると語ってくるその目は、今でも覚えている。
「僕も……あなたのことが、好きだと思います」
「エリグス様……」
エリグス様は、ゆっくりとその言葉を紡ぎ出してくれた。
察していたことではあるが、それでもその言葉はとても嬉しい。
ここまで嬉しいということは、やはり私も彼が好きなのだろう。
「正直、僕も結構曖昧な感情なのです。あなたと同じように……」
「私と同じように?」
「好きというか、気になるというか、そういう感覚です。これは好意なのだろうか? それとも、単純に共感しているかなのだろうか? そんなことばかり考えていました」
「確かに、私も同じようなことを思っていました」
エリグス様の言葉に、私は驚いていた。
なぜなら、彼が感じていたようなことは、私も感じていたからだ。
彼といると、心地いいと思う。しかし、それが恋愛感情なのかどうか、それはあまりよくわかっていないことだった。
ただ、彼といる時は、他の人といる時とは違う気がする。そういう考えから、私は彼に好意を抱いていると思うようになった。その後、お父様の言葉を聞いて、その思いを否定しなければならないと思ったのである。
彼も、同じようなことを思ったのだろう。最後は異なるが、好意かどうかわからない微妙な感情を私に抱いてくれていたようである。
「ただ、先程のあなたの表情を見ていてわかりました。明るくなったあなたの笑顔が、僕はとても好きです。その顔をずっと見ていたい。そう思いました」
「そ、そうなのですか?」
「ええ、だから、これは好意です。僕は、あなたのことが好きです」
エリグス様は、はっきりともう一度好意を口にしてくれた。
それが、とても嬉しい。体の芯から温かくなってくる。これが、私も彼のことが好きだという証拠なのだろう。
こうして、私はエリグス様から思いを告げられるのだった。
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