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第四章 白魔導師の日々
収穫祭~3
「大丈夫か? もう少しで湖の畔に出るからな」
お祭りが最高潮に盛り上がっている頃 ── フロルは、ギルの手に引かれて、ふわふわと夢見心地で歩いていた。
「リンゴのエールでこんなに酔っ払うなんて・・・本当に大丈夫か?」
ギルが心配そうにフロルの顔を覗き込むと、頬はうっすらと赤く上気していた。
「だいじょうぶ・・れすよぉ。うふふ、気持ちいいー」
酔いが回っているせいか、フロルはくすくすと笑い、ことのほか上機嫌だ。
ギルに手を引かれるまま、静かな湖に面している場所に出た。
「ほら、ついたぞ。そこに座れ」
大きな木の下に設置された大きなベンチに腰掛ける。
そっと、耳を澄ませば、湖岸に打ち付ける波の音も聞こえてくる。湖から澄んだ風が流れてきて、それが冷たくてとても気持ちがいい。
そこは、何より人気が少なくて静かだった。その場所が酔いを覚ますには、ぴったりの場所であることをギルは知っている。
「ほら、フロル、水を飲め」
ギルは水筒を取り出し、フロルに勧めると、フロルはその水をぐびぐびと飲み干す。冷たい水が美味しかった。
「こんなに酒に弱いとはな」
ギルが少し呆れながらも、申し訳なさそうに口を開く。
「知らないで飲ませた俺が悪かったんだ」
「そんなことないですよぉ。だっれのせいでも、ありませんー」
ギルが自分の隣に腰掛けたので、フロルがさっそくギルの肩に頭をもたれかけた。フロルが飲んだ水筒から、ギルも同じように水をぐびりと飲み干す。
空を見上げると、そこには満点の星が浮かんでいる。
「星が・・・綺麗・・・」
空に沢山のダイヤモンドがちりばめられたようだ。ぽつりとフロルが呟くと、ギルが自分をじっと見つめた。
「なんれすか-?ギル様、私の顔になんかついてました?」
「・・・綺麗なのは、お前のほうだ」
「・・・ギル様、そんな冗談言わないほうがいいですよ~」
フロルは酔っていたので、へらへらと笑っていう。彼の頬が少し赤くなっていたのだが、暗闇でフロルには見えない。
「冗談じゃない。本気でそう思ってる」
その時、フロルはマルコムが言った言葉を思い出す。
── いつかギル様にだって好きな人がいて、その人と結婚するんだ。
「好きじゃない女の子にそんなこと言っちゃダメですよー」
へにゃり、とあきらめたような笑顔を浮かべるフロルに、ギルは驚いたような視線を向けた。
「・・・なんの話だ?」
「マルコム坊ちゃまが言ってましたよ。ギル様だって、いつか好きな人が出来てその人と結婚するってー」
私みたいな平民育ちの野良育ちなんかに、気を遣わなくたって。とフロルは言う。
酔っ払うと口が軽くなるなんてこと、フロルは全く知らなかった。何しろ、生まれて初めてのお酒なのだ。
「私なんかより、もっと素敵な貴族のお嬢様との縁談の一つくらいあるんじゃないですかあ」
フロルは、猫のようにギルの胸にすりすりと頭をこすりつけながら言う。その瞬間、なんか、暖かくてしっかりとしたものに包まれた。
「へ?」
妙な声をうっかり出してしまった。今、自分は何をしているのだろう?
ギルに抱きしめられていたとわかった瞬間、フロルは全力で慌てた。まだ、頭がふわふわしていて、あんまりよくものを考えられなかった。
「ギ、ギル様、これは一体・・・・?」
ギルの胸の中に抱きしめられたまま、困ったように地面を見つめるフロルの耳元で、ギルが真剣な調子で言う。
「俺は、フロルが可愛いと思う」
「ぎ、ギル様、何をいきなり」
「本当だ」
ギルは自分の腕の中にいるフロルに、にっこりと笑いかける。
「お前はいつも前向きで明るくて、がんばり屋さんで、宮廷のどの貴婦人よりもいじらしくて可愛い」
── それがいつの間に、こんな気持ちになったのだろう。
フロルに恋をしている自分に気がついたのはいつのことだろう。どんな時も、おおらかで明るく笑顔を絶やさないフロルに惹かれていたのはいつからだったのか。
「・・・お前が好きだ」
「へっ? す、好きって・・?」
(こ、これは、もしかして、告白か?告白ってやつなのか?)
始めてされた告白に、またフロルは慌てる。ギルは熱い眼差しを向け、自分をじっと見つめているのだ。
「俺が嫌いか?「絶対にそれはないです」」
幾ら酔っていたとしても、あり得ない早さでフロルはそれを若干食い気味に否定する。
「だって、私なんかに、ギル様がそんな風に思ってくれるなんて・・・」
ふっとギルが嬉しそうに笑う。その笑顔にフロルはまた見とれて魂が抜けた。その瞬間、
自分の唇に感じた暖かく湿った感触。
(ま、まさかまさか、これはあの噂に聞くあれか?!)
すぐに離れたその感触に驚いて、フロルは唇に手をあてたまま、ふるふると震えながら、ギルを見つめた。
唇を掠めるだけの軽い口づけ。
しかし、初体験のフロルは胸の中で思いっきり叫んでいたのである。
(うわぁぁぁ・・・あり得ない。こんなことあり得ん!!いやあ、どうしようー恥ずかしいー)
フロルはかっと目を見開いたまま、恥ずかしさのあまり別の次元まで意識が飛んで行った。卒倒しなかっただでけでも偉いと思う。
そして、一瞬の空白の後、フロルの耳に低く優しいギル様の声が響く。
「── 好きだ。フロル」
ギルが突然、ものすごい直球を投げたのである。
◇
続きます!いやあ、こういうシーン書くの、楽しいなあ!!
お祭りが最高潮に盛り上がっている頃 ── フロルは、ギルの手に引かれて、ふわふわと夢見心地で歩いていた。
「リンゴのエールでこんなに酔っ払うなんて・・・本当に大丈夫か?」
ギルが心配そうにフロルの顔を覗き込むと、頬はうっすらと赤く上気していた。
「だいじょうぶ・・れすよぉ。うふふ、気持ちいいー」
酔いが回っているせいか、フロルはくすくすと笑い、ことのほか上機嫌だ。
ギルに手を引かれるまま、静かな湖に面している場所に出た。
「ほら、ついたぞ。そこに座れ」
大きな木の下に設置された大きなベンチに腰掛ける。
そっと、耳を澄ませば、湖岸に打ち付ける波の音も聞こえてくる。湖から澄んだ風が流れてきて、それが冷たくてとても気持ちがいい。
そこは、何より人気が少なくて静かだった。その場所が酔いを覚ますには、ぴったりの場所であることをギルは知っている。
「ほら、フロル、水を飲め」
ギルは水筒を取り出し、フロルに勧めると、フロルはその水をぐびぐびと飲み干す。冷たい水が美味しかった。
「こんなに酒に弱いとはな」
ギルが少し呆れながらも、申し訳なさそうに口を開く。
「知らないで飲ませた俺が悪かったんだ」
「そんなことないですよぉ。だっれのせいでも、ありませんー」
ギルが自分の隣に腰掛けたので、フロルがさっそくギルの肩に頭をもたれかけた。フロルが飲んだ水筒から、ギルも同じように水をぐびりと飲み干す。
空を見上げると、そこには満点の星が浮かんでいる。
「星が・・・綺麗・・・」
空に沢山のダイヤモンドがちりばめられたようだ。ぽつりとフロルが呟くと、ギルが自分をじっと見つめた。
「なんれすか-?ギル様、私の顔になんかついてました?」
「・・・綺麗なのは、お前のほうだ」
「・・・ギル様、そんな冗談言わないほうがいいですよ~」
フロルは酔っていたので、へらへらと笑っていう。彼の頬が少し赤くなっていたのだが、暗闇でフロルには見えない。
「冗談じゃない。本気でそう思ってる」
その時、フロルはマルコムが言った言葉を思い出す。
── いつかギル様にだって好きな人がいて、その人と結婚するんだ。
「好きじゃない女の子にそんなこと言っちゃダメですよー」
へにゃり、とあきらめたような笑顔を浮かべるフロルに、ギルは驚いたような視線を向けた。
「・・・なんの話だ?」
「マルコム坊ちゃまが言ってましたよ。ギル様だって、いつか好きな人が出来てその人と結婚するってー」
私みたいな平民育ちの野良育ちなんかに、気を遣わなくたって。とフロルは言う。
酔っ払うと口が軽くなるなんてこと、フロルは全く知らなかった。何しろ、生まれて初めてのお酒なのだ。
「私なんかより、もっと素敵な貴族のお嬢様との縁談の一つくらいあるんじゃないですかあ」
フロルは、猫のようにギルの胸にすりすりと頭をこすりつけながら言う。その瞬間、なんか、暖かくてしっかりとしたものに包まれた。
「へ?」
妙な声をうっかり出してしまった。今、自分は何をしているのだろう?
ギルに抱きしめられていたとわかった瞬間、フロルは全力で慌てた。まだ、頭がふわふわしていて、あんまりよくものを考えられなかった。
「ギ、ギル様、これは一体・・・・?」
ギルの胸の中に抱きしめられたまま、困ったように地面を見つめるフロルの耳元で、ギルが真剣な調子で言う。
「俺は、フロルが可愛いと思う」
「ぎ、ギル様、何をいきなり」
「本当だ」
ギルは自分の腕の中にいるフロルに、にっこりと笑いかける。
「お前はいつも前向きで明るくて、がんばり屋さんで、宮廷のどの貴婦人よりもいじらしくて可愛い」
── それがいつの間に、こんな気持ちになったのだろう。
フロルに恋をしている自分に気がついたのはいつのことだろう。どんな時も、おおらかで明るく笑顔を絶やさないフロルに惹かれていたのはいつからだったのか。
「・・・お前が好きだ」
「へっ? す、好きって・・?」
(こ、これは、もしかして、告白か?告白ってやつなのか?)
始めてされた告白に、またフロルは慌てる。ギルは熱い眼差しを向け、自分をじっと見つめているのだ。
「俺が嫌いか?「絶対にそれはないです」」
幾ら酔っていたとしても、あり得ない早さでフロルはそれを若干食い気味に否定する。
「だって、私なんかに、ギル様がそんな風に思ってくれるなんて・・・」
ふっとギルが嬉しそうに笑う。その笑顔にフロルはまた見とれて魂が抜けた。その瞬間、
自分の唇に感じた暖かく湿った感触。
(ま、まさかまさか、これはあの噂に聞くあれか?!)
すぐに離れたその感触に驚いて、フロルは唇に手をあてたまま、ふるふると震えながら、ギルを見つめた。
唇を掠めるだけの軽い口づけ。
しかし、初体験のフロルは胸の中で思いっきり叫んでいたのである。
(うわぁぁぁ・・・あり得ない。こんなことあり得ん!!いやあ、どうしようー恥ずかしいー)
フロルはかっと目を見開いたまま、恥ずかしさのあまり別の次元まで意識が飛んで行った。卒倒しなかっただでけでも偉いと思う。
そして、一瞬の空白の後、フロルの耳に低く優しいギル様の声が響く。
「── 好きだ。フロル」
ギルが突然、ものすごい直球を投げたのである。
◇
続きます!いやあ、こういうシーン書くの、楽しいなあ!!
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