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第四章 白魔導師の日々
黒猫とフロル
「ふふ、ふふふ・・・」
フロルは、暗い笑いを猫に見せる。しかし、フロルの目は笑っておらず、猫はまた、ひぃっと声を漏らす。
おたおたと慌てる猫にフロルはにやりと笑う。
「最初から尾行してたわよね?」
「う・・・」
黒猫は言葉を失って、ついあらぬ方向に目を向ける。
慌てる猫をフロルはぶらりと突き出して、その目の前に広がる光景を見せた。
「さあ、ここからあの出口へと行き方を教えなさいっ」
フロルが鼻息荒く猫型の魔物にずずずっと迫る。猫は、もうすっかり観念して、目の前に広がるフロルのどアップを眺めていた。
(・・・うう、女神様がこわい。今回の女神様は、前世とは全然違うぅぅ・・)
自分をぶら下げている手からは、聖なる力が流れ込んでくる。まだ微弱とはいえ、女神様の力はその精度が全然違うのだ。
くくくっと、苦痛を顔に浮かべた魔物に、フロルもさすがに気がついたのだろうか。
気づけば、魔物は、ほんわりと地面の上に下ろされていた。
「ああ、白魔術が苦手なの?痛かった?」
ちょっと優しそうな顔の女神様を見上げて、また猫はぽわんとその顔を眺める。ちょっと、自分を心配してくれたらしい。そういう優しい所は、全然変わっていない。それを見つけて、少しだけ嬉しくなる魔物である。
「それにしても、どうにかしてあそこまで行けないものか」
フロルは腕組みをして、うーむと考え込んでいた。
目の前には、地下の大空洞がある。そして、その地表は水で覆われ、大きな地下の湖のようになっているのだ。そして、その中央には、出口と思しき大きな穴がぽっかりと浮かんでいる。
その水は深く、到底、出口の真下までは歩いていくのは無理だ。舟がなければ、出口の下にまではたどり着けない。よしんば、たどり着いたとしても、空中の高い所にある出入口までたどり着くことなどできやしない。
猫はそれを知っている。そして、ちらりとフロルを見上げた。
「・・・あそこまで行くのは無理だって」
しゅんとして、小さな声でなく猫にフロルは悔しそうに唇を噛んだ。
「でも、それじゃ、ギル様の所に帰れない・・・」
「聖剣の騎士はギルと言う名なのか?」
「いやあ、ギル様は違うと思うけど」
フロルと黒猫(の魔獣)一匹は肩を並べて、水辺の遙か向こうにある入り口を眺める。
「この水の上、渡れないかな」
フロルが足の先で水をちょんちょんとつつくと、猫は慌てて飛び上がった。
「だ、ダメだよ。力が闇に吸い取られる」
そう、ここにある水はただの水ではない。冥界の力を持つ水だ。女神が触れれば、立ちどころに力を失う代物だった。
魔王の傍にいるくせに、猫は女神様のことが大好きだったのだ。
「う?」
フロルは足の先についた水を慌てて地面にこすりつける。確かに少し足についただけで体の力が奪われるようだ。
「せめて、明るければなあ。浅瀬を伝って近くまで行けるのに」
その時だ。湖の遥か上から、明るい松明のようなものがふんわりと浮かんでいるのが見える。
「あ、あれは何だろう?」
フロルが眺めていると、その光はふわりふわりと浮かんでいる。最初は、たった一つのふんわりした明かりだったが、それが二つになり、やがては三つになり、と明るい光が、外へとつなぐ通路からゆっくりと暗い洞窟の中に広がる湖へと下降してくる。
「おや、あれはなんですかね?」
「あれは・・・明かりみたいだけど?」
目を凝らしている二人に、ついに、それが何かはっきりと映る所まで明かりがゆるゆると降りて来た。
「あ、あれは!」
そう。あの白うさぎが、胸の中に明るい光の玉をかかえながら、空中に漂うように降りてきたのだ。
一匹を皮切りに、沢山のウサギが、黄色のほんわりと光る玉を抱えながら浮かんでいた。
今や、真っ暗だった洞窟がウサギの明かりによって、ぼんやりと照らし出されていた。
◇
10月から体調不良が続き、更新が滞りがちですみませんー。
フロルは、暗い笑いを猫に見せる。しかし、フロルの目は笑っておらず、猫はまた、ひぃっと声を漏らす。
おたおたと慌てる猫にフロルはにやりと笑う。
「最初から尾行してたわよね?」
「う・・・」
黒猫は言葉を失って、ついあらぬ方向に目を向ける。
慌てる猫をフロルはぶらりと突き出して、その目の前に広がる光景を見せた。
「さあ、ここからあの出口へと行き方を教えなさいっ」
フロルが鼻息荒く猫型の魔物にずずずっと迫る。猫は、もうすっかり観念して、目の前に広がるフロルのどアップを眺めていた。
(・・・うう、女神様がこわい。今回の女神様は、前世とは全然違うぅぅ・・)
自分をぶら下げている手からは、聖なる力が流れ込んでくる。まだ微弱とはいえ、女神様の力はその精度が全然違うのだ。
くくくっと、苦痛を顔に浮かべた魔物に、フロルもさすがに気がついたのだろうか。
気づけば、魔物は、ほんわりと地面の上に下ろされていた。
「ああ、白魔術が苦手なの?痛かった?」
ちょっと優しそうな顔の女神様を見上げて、また猫はぽわんとその顔を眺める。ちょっと、自分を心配してくれたらしい。そういう優しい所は、全然変わっていない。それを見つけて、少しだけ嬉しくなる魔物である。
「それにしても、どうにかしてあそこまで行けないものか」
フロルは腕組みをして、うーむと考え込んでいた。
目の前には、地下の大空洞がある。そして、その地表は水で覆われ、大きな地下の湖のようになっているのだ。そして、その中央には、出口と思しき大きな穴がぽっかりと浮かんでいる。
その水は深く、到底、出口の真下までは歩いていくのは無理だ。舟がなければ、出口の下にまではたどり着けない。よしんば、たどり着いたとしても、空中の高い所にある出入口までたどり着くことなどできやしない。
猫はそれを知っている。そして、ちらりとフロルを見上げた。
「・・・あそこまで行くのは無理だって」
しゅんとして、小さな声でなく猫にフロルは悔しそうに唇を噛んだ。
「でも、それじゃ、ギル様の所に帰れない・・・」
「聖剣の騎士はギルと言う名なのか?」
「いやあ、ギル様は違うと思うけど」
フロルと黒猫(の魔獣)一匹は肩を並べて、水辺の遙か向こうにある入り口を眺める。
「この水の上、渡れないかな」
フロルが足の先で水をちょんちょんとつつくと、猫は慌てて飛び上がった。
「だ、ダメだよ。力が闇に吸い取られる」
そう、ここにある水はただの水ではない。冥界の力を持つ水だ。女神が触れれば、立ちどころに力を失う代物だった。
魔王の傍にいるくせに、猫は女神様のことが大好きだったのだ。
「う?」
フロルは足の先についた水を慌てて地面にこすりつける。確かに少し足についただけで体の力が奪われるようだ。
「せめて、明るければなあ。浅瀬を伝って近くまで行けるのに」
その時だ。湖の遥か上から、明るい松明のようなものがふんわりと浮かんでいるのが見える。
「あ、あれは何だろう?」
フロルが眺めていると、その光はふわりふわりと浮かんでいる。最初は、たった一つのふんわりした明かりだったが、それが二つになり、やがては三つになり、と明るい光が、外へとつなぐ通路からゆっくりと暗い洞窟の中に広がる湖へと下降してくる。
「おや、あれはなんですかね?」
「あれは・・・明かりみたいだけど?」
目を凝らしている二人に、ついに、それが何かはっきりと映る所まで明かりがゆるゆると降りて来た。
「あ、あれは!」
そう。あの白うさぎが、胸の中に明るい光の玉をかかえながら、空中に漂うように降りてきたのだ。
一匹を皮切りに、沢山のウサギが、黄色のほんわりと光る玉を抱えながら浮かんでいた。
今や、真っ暗だった洞窟がウサギの明かりによって、ぼんやりと照らし出されていた。
◇
10月から体調不良が続き、更新が滞りがちですみませんー。
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