無能と笑われ王城を追放された私、冷徹公爵様に才能を見出され寵愛されていたら、今さら元婚約者が後悔して縋ってきましたが、もう遅いです――

王都一の名家に生まれながら「無能」と笑われ、婚約者にも裏切られた令嬢リリアーナ。
役立たずとして王城を追放された彼女が行き着いた先は――冷徹と噂されるロウズ公爵の領地だった。

雪深い辺境の地で、彼女はひとり静かに暮らすはずだった。
けれど、荒れ果てた庭に手をかけたその瞬間、奇跡が起こる。
彼女の魔力に呼応するように、枯れた草花が次々と芽吹き始めたのだ。

「君の力は“命を咲かせる”――本物の才能だ」

冷徹だと噂される公爵セドリックのもと、リリアーナは初めて“必要とされる幸せ”を知る。
彼の優しさに支えられ、彼女は己の魔力を開花させていく。
そして、王都を襲う未曾有の病を癒やしたその奇跡は、国をも揺るがすことに――。

そんな彼女の前に現れたのは、かつて彼女を「無能」と罵った元婚約者。
「もう一度やり直したい」――今さらの懇願。
だがリリアーナは、静かに微笑む。

「申し訳ありません。私はもう、愛されていますから」
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