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2章 戦争の第一歩

閑話 予想以上の成果

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「こ、これはどういうことじゃ、誰か説明せんか!」


私はシールド小型カメラである街の領主の部屋を見ています、そこには太った男と細めの執事がいるんです。


「ワタクシは何度も申し上げましたよエイジャルナ様、兵士長ヴァルサ殿が領地にある村を渡り歩き村人を懐柔したのです、そのせいで村人は全員リリフォト村に集結してしまい、何処からも収穫の税が取れません、しかも悪い事にこの街の商人がそれを嗅ぎつけ、逃げる者が続出しています」

「で、では!兵士を全部その何とかって村に向かわせろ!」


それを聞き執事はため息を付いたわ、それは最初に行った対策で、しぶった挙句100人ずつ向かわせたの、その都度兵士長が説得をして、兵士は帰ってこなかったわ、小出しにしたのがいけなかったわね。


「もう兵士は残っておりませんよエイジャルナ様、王都アーオニドに救援要請をした方が無難です」

「ば、ばかもんっ!そんな事をすればワシは終わりじゃ、早く何とかせい!」


エイジャルナがワインの入ったグラスを執事に投げつけ、執事の顔は赤く染まったわ、その顔は我慢しているのが分かるほどに変わっているわよ。


「分かりました、ワタクシは準備をしてまいります、明日には報告できるかと思われますのでお待ちください」

「最初からそうすれば良かったんじゃ!このグズが!」


執事が頭を下げて部屋を出たわ、私はカメラを切り替えて執事の方を見たの、領主は見る必要が無いわ、だって食事を取る為にメイドを呼んだもの。


「あのクズブタが、ワタクシがどれだけ進言したと思ってるんだ・・・まぁ良い、これで覚悟は決まった、あいつを突き出し兵士長に交渉だ」


そんな事を言ってメイドや、他の執事たちの所に行き準備をしています、そしてその夜、作戦は始まり、領主エイジャルナは簡単に拘束されたの。


「ヴァルサ兵士長、このよく来てくれました」

「バセルト殿・・・そんなに痩せてしまって、遅くなりました」


執事と兵士長が握手をして笑顔です、何だかすごくホッとする握手だと私は思いましたよ。


「とんでもございません、あなたは兵士や民たちの事を大切に思っている素晴らしい方です、これでこの領地は変わるでしょう」

「そうですね、早速ですがそいつを王都に連れて行き、国王に話したいことがあります」


兵士長がそう言って私の事を話しています、これは裏切りではなく作戦の1つです、小規模国は中規模国よりも資源も特産品もありません、そこで私の生産性を利用して味方につけようって魂胆です。


「それは!?・・・そんな事が出来るのですか?」

「はい、私いや、俺たちはその村を見てきた、食料が無限に生み出され量産されるんだ、これが証拠だよ」


兵士長が収納スキルを使って食料をどっさり出しました、それを見て執事もびっくりです。


「なるほど、だからあなたは村を周り食料を配る事が出来たのですね、納得です」


執事が不思議に思っていたと話しています、いくら隣の領地から支援されているとはいえ、資源には限りがあります、それなのに短時間ですべての村を助けた、情報が来る頃には既に手遅れだったと言ってるわ。


「そうだろうな、俺たちが村を周り出して1週間で全て終わった、そちらの兵士が進軍し始めたのが、その1週間前だ、これを誰が予想できる?」

「いませんな、それで国王を説得できるのですか?さすがにそんな眉唾的話をしても笑われるだけですよ」


執事の言葉も最もだと兵士長が頷きながら言っています、そしてそれが失敗した場合、他の貴族が領地に来て統治をやり直すことになります、ここを統治するのは兵士長でないといけないのにです、執事がそこで唸っていますが、兵士長は収納からある物を出して見せました。


「これをあるお方から預かった、我が国で生産してほしいそうだ」


執事が不思議そうですが、そのある物とは大砲です、私の使っている銃ではないですよ、もっと古いマスケット銃を作る予定ですが、まずはこちらが先です。


「バクハツイモムシを粉末にし固める、そして鉄の鉄球を打ち出すんだそうだ」

「なるほど、城や砦に設置するのですな・・・かなり強力な武器になりそうですな」


執事が唾を飲み理解しました、生産を任せると言う事は秘密にするのは勿論ですが、それを他国に要請した時点で信頼の証と言う事です。


「製作書も貰った、これなら俺に任せてくれるだろ?」

「確かに、そのお方と親しいのはヴァルサ殿ですからな」


執事も納得はしているようです、そしてこれをきっかけに次の武器の量産も任せてくれるかもしれないと期待するでしょう、この国の技術がかなり向上すると国王も喜ぶはずです。


「しかしなバセルト殿、もう一つあるんだ、これは許可が下りてからという話しだが、そちらの方がすごいと思うぞ」

「な、なんでしょうねそれは、今のタイホウという武器を越えるとなると、聞くのが怖いですな」


兵士長が耳打ちすると、執事がギョッとして兵士長を見ました、兵士長が頷き肯定すると執事はニヤニヤしています。


「馬車よりも早い輸送手段、それがこの短期救済の正体ですか」

「そうだな、それを使い我が国と交易をする、商人もそれを使うから国王は喜ぶだろう」


執事が頷き、この後それに乗ってアーオニド国の王都、アーオニドに向かったの、もちろん国王は了承したわ、あの貴族は平民に落として辺境に移動させるのが普通みたいだけど、最悪死刑らしいわ。
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