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10章動き出す者たち

186話 お祭り騒ぎ

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「今年もかなりの人がいますねカミリア」


「そそそそうですね、あ、あなた」


どうもセントバです、僕たちは今成人の儀の到着地である広場にいます。

ここには食べ物屋の屋台が並んでいるんですよ、全部マーコト商会の店なんです。


「まだ慣れませんかカミリア、僕はもう慣れましたよ」


僕とカミリアさんは主様の考案した新しい出し物の福引を任されています。


「うぅ、いつまでもさん付けしているとマコッチ様に怒られるからって頑張っていますけど、名前じゃダメですかねセントバさん」


人がたくさんいるのに僕たちがこうやって話していられるのは、まだ成人者が来てないからです。

それなのに人がすごいんですよ、恐らく屋台目当ての人と成人者の親戚の人たちが重なったんでしょう。


「名前でもいいと思いますよ」


「じゃ、じゃあ・・・セントバ」


カミリアさんが僕をじっと見ながら名前を呼びました、モジモジして可愛いですね。


「何だか恥ずかしいです私」


「そ、そうですか・・・でもいいかもですよ、それで行きましょうカミリア」


僕たちは成人者が来るまで見つめ合っていました、なんででしょう目が離せなかったんです。

ちなみに僕たちの子供チワリスは、ウサミたちとケイナさんに任せてきました、ケイナさんはかなり嬉しそうでしたね。


「すみませんフクビキって何ですか?向こうで言われたから来たんですけど」


しばらくして成人の子供たちが来ました、男の子が2人に女の子が2人ですね。

みんな服が同じです、きっと働くところが同じなんでしょう、エプロンに裁縫ギルドのマークがありました。


「これを回して玉が出てくるんですよ、玉の色で後ろに書いてある商品がもらえます」


カミリアが説明してくれました、それにしても呼ぶときに説明してないのですか、今後の課題ですね。


「ほ、ほんとかよ!?すげぇー!」


男の子が後ろの文字を読んで驚いています、ほんとは絵を書いておく予定でした。

ですが1年目の最後くらいから、識字率を上げるために文字の指導を無料で行うようにしたんです、昼食も付けたらかなり集まりましたね。

主様が言った事ですがこれの為だったのでしょうか?今年からは計算も教えるそうですから、きっと先を見据えているんですね。


「1人一回ですからね、どうぞ」


「誰からやる~」


子供たちが順番を決め始めました、さて最初を勝ち取る幸運な子は誰でしょうね。


「あたしだ~」


語尾を伸ばした女の子がじゃんけんに勝ったようです。


「じゃあここを持って回してね」


「はい~(ガラガラ)・・・金色の玉が出た~」


いきなり1等が出ました、実はこれだけ最初に出るようになっていました、主様の作戦なのです。

ちなみに景品はこんな感じです。


一等
遊技場VIP招待券

二等
温泉施設一年無料券

三等
ゲーム盤3種
(リバーシ・トランプ・チェス・将棋・囲碁・麻雀のどれか3つ)

四等
トランプ

五等
クッキー袋詰め


となっています、最後の五等はハズレですね。


「き、金の玉って1等だろ!?なぁ」


「そうですよ、セントバ持ってきてください」


僕がチケットを持ってくるまでにカミリアが説明してくれています、遊技場VIP招待券は5人まで会場に入る事が出来、しかも中の設備を使い放題で食べ物も食べ放題なんです。

そして遊技場にはテーブルで遊ぶ物と体を動かすスポーツが沢山あります。


「持ってきましたよカミリア」


「はいじゃあ行きますよ、せーの」


僕たちは主様に言われた通り、大声で周りの人に知らせました。


「「一等おめでとうございまーーす!!」」


「「「「!?」」」」


子供たちがすごく驚いています、僕もこれには少しためらいがありました。

これをすると周りに知られてしまい、子供たちからあの券を盗んだり、子供が誘拐されることだってあり得るかもです、ですがあの券は本人照合が出来るので他の人は使えません。

それにラットたちが注意しているので、そう言った輩は捕まります。


「遊戯場完成はもうすぐですから楽しみにしていてくださいね」


「あ、ありがと~」


引きつった顔で語尾を伸ばした女の子が他の子達の後ろに周って行きました。


「次は俺だな」


「どうぞ、まだ1等の数があるので頑張ってくださいね」


「おう!(ガラガラ)赤だな」


4等ですか、下の方の賞ですが表を見て目を輝かせ始めました。


「はい4等のトランプです、みんなで遊んでね」


「やったぜ!これでみんなで遊べるな」


男の子が嬉しそうですね、遊技場にもありますが頻繁には来れませんからね、家で遊んでください。


「じゃ、じゃあ次はぼくだね」


他の二人も福引をして、女の子が二等を引きました。


「い、いいなシャルア、ぼ、ぼく五等だった」


「なははこれが実力よ!今度みんなで行きましょうよ」


4人が楽しそうです、こういった仲間は良いですね。


「せ、セントバさん!」


僕が4人が歩いて行くのを見ていると、カミリアが潤んだ目をしてさん付けで呼びました。


「どうしました?」


「こ、これ」


僕が店の前を見ると成人者がすごく並んでいたんです、さっきまでいませんでしたよね!?


「今応援を呼びます、それまで頑張りましょうカミリア」


「は、はひ~」


誘導している冒険者モンスターたちを呼び何とか福引が終わりました、まぁ応援が来るまで大変でしたけどね。
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