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【ウィルフレッドside】これは夢なのか?

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「誰なんだ!」

「・・・そんなに知りたければ教えて差し上げますわ」




とうとうこの時が来たんだな・・・俺立ち直れないかもな・・・目の前で失恋・・・させられるんだな・・・

これがフラれるって事か・・・

手紙で目の前で見せつけてくれなんて言ったが、本当にそうされる日がくるなんてな・・・

この会場にいるんだよな・・・

もう、レティシア嬢は・・・手には入らないんだな・・・

俺はこれまで通り騎士であり、騎士団長であり、王族を守ってこのまま変わらず・・・





コツ、コツ、コツ、コツ




ん・・・?




「彼を夫にすると決めましたの」

「・・・えっ・・・」



俺は夢を見ているのか?妙にリアルではあるが・・・レティシア嬢が、俺に抱きついているんだが・・・しかも俺を夫に・・・夫に・・・夫に!?

お、俺なのか!?俺を選んで・・・くれたのか?




「私の未来の夫を紹介しますわ。ウィルフレッド・アバンス騎士団長様ですわ」




本当なのか!?夢なら覚めないでくれ。この幸せな夢をまだ見ていたい・・・




「レ、レティシア嬢・・・?」

「なんでしょう?」

「これは・・・夢?だろうか・・・?」

「夢の方がよかったのですか?」

「そ、そんな事はない!ただ、これは現実なのかと信じられないだけだ・・・」




夢の方がよかったなんてあるはずがない。これは現実・・・現実なのか・・・レティシア嬢の夫に・・・

うぉっ!?

引き寄せられて・・・

なっ・・・

や、柔らかい・・・はっ!?レティシア嬢の唇が!

・・・キ、キスした・・・

人生初めてのキス・・・

しかもレティシア嬢とキス・・・した・・・

・・・うぅぅ・・・

やばい・・・

泣く・・・




「夢ではないの、信じて頂けまして?」




うん、うん・・・うん!

言葉が出てこない・・・

嬉しくて、涙が止まらない・・・

格好悪い・・・

頷くしかできないなんて・・・

あっ・・・レティシア嬢・・・離れていく・・・

えっ・・・?

あっ・・・腕を掴まれて・・・

腕の中の彼女を・・・レティシア嬢を・・・もう逃したくない!

後で何と言われてもいい、今は抱きしめさせてくれ!

子どもっぽいかもしれないが、少しだけ甘えさせてくれ・・・腕の中に・・・レティシア嬢がいる・・・




「嘘だ・・・嘘だろ・・・何故ウィルフレッドなんだ!」




殿下・・・あなたに勝てるものは剣の腕前くらいのものだろう・・・
王族なら王命でも出して無理矢理娶る事だってできた。しかし、心は手に入れることはできない。俺は・・・レティシア嬢の心も手に入れたのか・・・いくら殿下でも、これだけは・・・レティシア嬢だけは譲れない。

殿下にだけではなく、誰にも譲れない。彼女は俺のものだ・・・




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次回

騎士団長失格ですわよ?

わかってますか、アバンス騎士団長様?




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