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そのままの君が好き

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もう、ウィルフレッドは涙腺が崩壊していた。ボロボロ泣いてぐしゃぐしゃ。


「アバンス団長様、お顔を上げてください?」


レティシアに言われ、顔をおずおずとあげるウィルフレッド。レティシアはハンカチを取り出すと、優しく涙を拭き取っていく。


「もう、泣かないの。格好悪いですわよ?」


ウィルフレッドはレティシアに格好悪いと言われ、かなりの衝撃でショックを隠しきれない表情だった。


「でも、好きですわ」


その一言で破顔して簡単に立ち直る。


「はっはっはっ、面白いもんを見せてもらったな」


国王がお腹を抱えて笑っている。普通なら、一国の王子の求婚を断ったのだ、不敬だなんだと言われてもおかしくない。


「しかし、本当に勿体ないな。次代の王妃として申し分ない。しかし、想いあっている二人を引き裂くのも忍びないな」

「ち、父上!?」

「ヴィンセント、今回はお前の負けだ。その差は歴然。残念だったな。それにアバンス団長ほどの男をここまで飼い慣らすとは、一体どんな手を使ったのか教えて貰いたいものだ」

「あら、私は何もしておりませんわ。400通の手紙の締めくくりに必ず書いてあった事に従っていただけですもの」

「ほぅ・・・それは何だ?」

「I  like  you  just  the  way  you  are. そのままの君が好きだそうですので」

「アバンス団長、いい女を捕まえたようだな。くくくっ」


それまでめそめそしていたウィルフレッドがすっと顔を上げると、国王を見据えた。


「えぇ、ずっと恋焦がれてきたいい女です。もう、離しません。その為に一つ確認したい事がございます」

「なんだ、申してみよ」

「はい・・・辺境伯当主!」

ウィルフレッドは大声をあげると、レティシアの父である辺境伯当主ギルベルトに視線を送る。


「当主に問いたい。私をレティシア嬢の夫として、辺境伯に婿入りさせてもらえるだろうか?」


ウィルフレッドの言葉にレティシアは驚いて固まり、フロア全体がざわついた。しかし、ギルベルトの言葉を待ち静かになっていく。


「こんな・・・文句のつけようもない男を選ぶなど、断る理由が見つかりませんな!」

「ちょっと待った!!」


ギルベルトの言葉に待ったをかけた人物がいた。その方向を見ると、ダークブロンドの髪を揺らし、優雅に歩く一人の青年がいた。




ーーーーーーーーーーーーーーー


次回

辺境伯、ちょっと待っててくれる?




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