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中庭でのご褒美

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「ウィル、膝からは下ろしてくれないかしら?」

「嫌だ」


中庭までレティシアを抱えて連れて来て、敷物を敷いたりと準備の間は一度解放されたが、座ってランチにしようとすると、また捕まった。ウィルフレッドが敷物に座ったかと思うと、自身の膝の上にレティシアを捕まえて座らせたのだ。中庭で休憩をしていた騎士達、通りがかった騎士達も、珍しいものを見たとばかりに野次馬に加わっていく。


「仕方ないわね・・・ウィル、はい」

「・・・」

「ウィル?」

「・・・」

「これ、嫌いだった?」

「えっと、そうではなくて・・・これは・・・?」


積極的な割には、意外と女性慣れしていないウィルフレッドは、サンドイッチを持って口元に差し出してくるレティシアの行動に戸惑った。


「食べないの?」

「食べる・・・けど・・・」


サンドイッチを手で受け取ろうとすると、避けて口元にまた持って来る。その繰り返しをしている。耐えかねて、レティシアが言う。


「はい、あーん」

「えっ?いや・・・このまま食べるのか!?」

「そうよ?あーんされるの嫌だった?」

「初めての事で戸惑っている・・・あ、あーん・・・」


レティシアの手ずからサンドイッチを口にしたウィルフレッドは、次第に顔が赤っくなっていく。


「なぁ・・・これって、みんなやってるものなのか?」

「さぁ・・・そうなんじゃないの?」

「シアは今までにした事があるから平気なのか?・・・した相手がいるという事なのか!?」

「えっ?初めてだけど?ウィルがこういうの好きかなと思ったんだけど、違ったのかしら?自分で食べる?」

「・・・いや、またして欲しい」

「ふふっ、やっぱり好きなんでしょう?」

「あぁ、シアが大好きだ」

「・・・?あーんが好きかどうか聞いたのだけど。まぁ、いいわ。ウィル、はい、あーん」

「あーん、モグモグ」


手ずからサンドイッチを食べるウィルフレッドを見て、レティシアは可愛いと思っていた。ウィルフレッドは、自分にこんなにも幸福感を与えてくれるレティシアが愛おしくてたまらなくなっていた。


「なぁ、シアも食べたい」

「私は食べ物じゃないわ」

「シア・・・食べたい」

「えっ、ちょ、ちょっと!?」


じっと見つめてくるウィルフレッドに、気付けば押し倒されていた。ウィルフレッドはそのままついばむように何度もキスをする。


「んっ・・・」

「シア・・・おいしい」


ウィルフレッドは満面の笑みでレティシアを見つめ、何度も唇を重ねた。気付けばかなりの数のギャラリーがいたが、ウィルフレッドはレティシアしか眼中になかった。




ーーーーーーーーーーーーーーー


次回

【ウィルフレッドside】

シアは一体どうして欲しいんだ?





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