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膝枕と悪夢
しおりを挟む「ウィル、みんな見ているから一旦やめましょうね」
「もっと・・・」
「膝枕はいいの?」
「はっ!!」
膝枕という単語に瞬時に反応したかと思うと、何故かキラキラと目を輝かせて正座をして待っているウィルフレッド。
「ふふっ、はい、どうぞ?」
レティシアが座り直して足を軽く叩いて合図するも、ウィルフレッドは固まって動かない。
「ウィル?」
「・・・頭を・・・乗せればいいんだよな?」
「そうよ?どうぞ」
ウィルフレッドはゆっくりとレティシアの足に頭を預けた。仰向けに寝たものの、レティシアの胸が目の前一杯に見え、体の一部に熱が集まり始めたのに気付き慌ててそっぽを向いた。レティシアはウィルフレッドが恥ずかしがっているのだと思っていた。髪を梳きながら頭を撫でていると、気持ちがよかったのか、ウィルフレッドは目を細めて感触を味わっている。
「シア・・・」
「なに?」
「膝枕・・・嬉しい」
「そう」
「シア・・・大好き」
「私もよ」
「シア・・・」
「何?」
「・・・ア・・・」
「えっ?」
「・・・」
「あら?・・・寝ちゃった・・・」
ウィルフレッドはレティシアの膝に頭を預け、寝息を立て始めた。しばらく眺めていると、ウィルフレッドが寝返りをうってレティシアのほうに身体が向いた。
「こんなに安心しきって・・・さっき、血の気が引いたって震えていたのは誰なの?」
レティシアはウィルフレッドの頬をつつく。
「・・・ん・・・」
すこし身じろいで、反応を見せるものの、まだ起きる気配はない。ウィルフレッドが女性の膝で寝ている事を、騎士達が気になるようで見ている者も多い。結構みんな見ているなと思いながら中庭をぐるっと見回していると、急にウィルフレッドが動く。膝に頭を乗せたまま、腰に抱きついてきたのだ。
「・・・ダメ・・・シア・・・ダメ」
「何がダメなの?」
「・・・」
「寝言かしら?」
「俺だけ・・・他の男はダメ」
「ふふっ、何の夢みてるの?」
「シア・・・ずっと一緒だ」
「はいはい」
寝言を言い続けるウィルフレッドだったが、急にムクッと起き上がる。
「ウィル?」
「シア!」
「ど、どうしたの!?」
ウィルフレッドは起きたかと思えば、レティシアをぐいっと抱き寄せ、そのまま大声を出して泣き始めた。
「よがっだぁ・・・シア、いだぁぁ・・・」
「ウィル、どうしたのよ?怖い夢でも見てたの?」
「ゆめぇ?・・・夢がぁ・・・よがっだぁぁ・・・」
一体どんな夢を見たんだと思いながら頭を撫でて慰めた。
何事かと、騎士達も目を見開いて食い入るように見ていた。
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次回
【ウィルフレッドside】
ちょ、ちょっと待ってくれ・・・
それは聞いてない・・・
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