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もしも順番が違ったのなら
しおりを挟む「あぁ、どうしても聞いてみたい事があってな」
「何でしょう?」
「レティシア嬢は、ウィルフレッドを選んだ。その理由は昨日ヴィンセントに同行していた騎士達からも聞いた。そして、昨日は、愚息がすまなかった」
「いいえ、次がなければよいのです」
「それでだ。一つ気になった事があってな・・・どうしても聞いてみたかった」
穏やかな表情を見せるレオナルドだったが、すっと顔を上げると、真剣な目つきでレティシアを見つめる。
「先に出会ったのがウィルフレッドではなくヴィンセントであったなら、結果は違ったのだろうか?」
「はい?」
「レティシア嬢が、ウィルフレッドを気にかける前に、ヴィンセントに出会っていたら、もしくは、ヴィンセントの婚約者候補として名が上がっていたならば、どうだったのだろうかと思ったのだ」
「・・・正式な婚約者であれば、立場がありますもの、それ相当の対応をしていたと思いますわ。しかし、順番が違えど・・・陛下には失礼かもしれませんが、先にヴィンセント殿下に出会っていたとしていも、変わらなかったと思います」
「・・・それは・・・何故だろうか?」
「ヴィンセント殿下は、良くも悪くも王族です。堂々とした立ち振る舞いは、未来の国王として必要なものでしょう。ですが、そのお立場で、身分を振るっても、人の心は手には入りません。私を選べば未来の王妃になれるのだぞ?そんなことを言われて寄ってくるのは、その地位が欲しい女性だけです。そんな言葉をは放つうちは、本当の愛など手に入りません」
「耳が痛い話だな・・・」
「もしや陛下も?」
「あぁ、身に覚えがある」
「だから王族は幸せにはなれないのですよ」
「包み隠さず言うのだな・・・」
「言って欲しかったのでしょう?」
「く、くくっ、本当に惜しいな・・・ヴィンセントがうまくやれば、レティシア嬢を義娘にできたのにな」
「そのことですが、陛下・・・私にお任せくださいませんこと?」
「ん?何を任せるというのだ?」
「・・・未来の王妃様に当てがあるのです」
「・・・それは、ヴィンセントにいい相手がいるという事かな?」
「えぇ、そうです。身分も、人柄も申し分ないお相手がいますの。きっと殿下も気に入りますわ」
「ほぉ・・・楽しみだな・・・ちなみに?」
「まだ秘密です」
「ふっふっふ、そうか・・・楽しみにしておるよ」
話もひと段落して、紅茶に手を伸ばそうとした時だった。勢いよく何かが近づいてきたと思えば、レティシアの膝の上に、頭が乗っていた。腰にはしっかりと腕が回され、逃さないとばかりの格好だ。
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次回
私の前では甘えた子犬ですもの
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