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国王からのお礼

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ヴィンセントがエリスティアを見染め、エリスティアがそれを受け入れた事は、すぐに国王の耳にも入った。エリスティアが訪問していたのは公式のものではなく、滞在していた事も国王レオナルドは知らず、寝耳に水であった。今回の事で、国同士の縁談はとんとん拍子で進み、目出たく2人は近く、正式に婚約者となる事になった。その立役者としてレティシアに礼が言いたいと国王であるレオナルドに呼ばれ、レティシアは王宮に来ていた。もちろんウィルフレッドの護衛つきで。


「何度も呼び立ててしまってすまないな」

「いいえ、構いませんわ」


ウィルフレッドは相変わらずレティシアから離れようとしない。国王レオナルドが、以前に出会う順番が違ったらなどと言い出した事が余程不安に思っているらしい。王の執務室にあるソファに座ると、自分の足の間にレティシアを座らせ、後ろから抱きしめ、肩に顎を乗せて国王レオナルドを見ている。


「ウィルフレッドよ、随分と甘えておるのだな」

「こうしてないと安心できないのです」

「そうか。まぁ、よい。レティシア嬢、ヴィンセントの事、大変ありがたい縁を繋いでもらった。とても感謝しているよ」

「エリスティア王女はとても素敵な女性ですもの。きっとヴィンセント殿下が気にいると思いましたわ」

「他国の王女の事をヴィンセントが全く知らなかったとは恥ずかしい事だ。だが、今回の事で、外交の重要性、他国の事をもっと知識として蓄えたいという欲が出てきたようだ」

「熱心になられたのですね」

「あぁ、これまでも王たる器はあったのだが、いかんせん、選り好みをする性格であったからな。レティシア嬢には、本当に感謝しておるよ。そこでだ、レティシア嬢に礼がしたい。欲しいものはないか?何か褒美をとらせよう」

「欲しいもの・・・ありますけど、今ではありませんので預けておきますわ」

「ふむ・・・内緒という事か」


なんだか国王の茶飲み友達のようになってるような気がしてならない。そんな気持ちではいたが、穏やかに話も終わり、レティシアとウィルフレッドは国王の執務室を去った。今日のレティシアの装いは、ウィルフレッドが譲らなかったため、青いドレスにシルバーの刺繍が入ったすっきりとしたデザインではあるが、とても上品なものだった。レティシアの銀の髪が綺麗に映えるドレス。レティシアの斜め後ろを満足そうに眺めながら歩くウィルフレッド。どこからどう見ても、姫と護衛騎士のようだ。その光景を見ていた者がいた。そして、その者は、見事に勘違いをした。


「綺麗な姫だな・・・確か国王には一人娘の王女がいたんだったか。隠しておくなんて・・・」


国王の執務室から出てきたのも、誤解させる要因になった。





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次回

【???side】

きっとそうだ、王宮内で護衛までつけているなんて、王女に間違いない!


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