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お腹すいたの意味
しおりを挟む「ウィル、お腹すいたでしょう?」
「・・・へっ?」
レティシアの言葉に、皆ポカンとする。今の会話で、何故お腹がすいたなどとの話になるのか・・・囲んでいる男達は誰1人わからない。
「いつだって、どこもかしこも甘いって言ってくれるじゃない?」
「・・・そう言うことか?」
「えぇ」
それを見ていた国王レオナルドが苦笑いをする。
「全く、2人の関係にはあてられてしまいそうだな」
「ふふっ、お昼ご飯まだですからね?」
「・・・あっ、あぁ・・・そっちか、そっちだよな・・・うん、そうだ、まだ、だったな・・・」
「そっちって?」
「い、いや、何でもない。あぁ、お腹すいた、ペコペコだ」
「じゃあ、早くウィルの執務室に行きましょう?」
「そう・・・だな」
歯切れの悪いウィルフレッドに、レティシアは手招きする。
「なんだ?」
ちゅっ・・・
「ん・・・」
レティシアは背伸びをしてウィルフレッドに口付けた。
「姫、妬けるなぁ・・・私の妃になったら、他の男にはそんな事させないからね?」
セオドリックは笑顔ではいるが、その瞳は笑ってはいなかった。明らかにウィルフレッドを敵視している。
「ウィル」
レティシアはウィルフレッドに両手を伸ばす。ウィルフレッドは、レティシアからのおねだりのようで嬉しくなり、横抱きにして抱きかかえる。レティシアはそのままウィルフレッドの首に腕を回し、セオドリックを見つめる。
「私は国王陛下の娘ではありません。王女でもありません。先程から姫と呼ばれていますが、女性をそう言うふうに呼んで口説くのが礼儀なのでしょうか?この国の姫は、ミシェリア王女殿下お一人ですわよ?」
「・・・王女・・・ではない?」
「えぇ、私は、レティシア・ベルモンド。ベルモンド辺境伯の娘ですわ。そちらの国では愛する人を愛人というのなら、そうなのでしょう。しかし、別の意味でなら、それはこの国では間違った呼び方ですわ。ウィルは私の愛人ではなく、間も無く夫となる婚約者なのですもの」
「婚約者!?」
「えぇ」
「セオドリック殿下よ、この二人の事は国中に知れ渡っている。なんせあの夜会で派手に周知されてしまったからな」
国王は嬉々として二人の夜会での事、ヴィンセントが派手に振られた事、第二王子のアルバートまでもがその夜会でプロポーズをし、姉のマリーリアの元に婿入りする事が決まっている事を語った。そして、不甲斐ないとばかりの苦々しい表情をすると、一人娘の王女が犯罪まがいの事を犯し、謹慎させている事を語った。
「レティシア嬢をウィルフレッドから取ってしまえばたちまち使い物にならなくなる。だから、貴殿には差し上げれんのだよ」
ニコニコ笑う国王だったが、その笑みには、付け入る隙はないという意志も垣間見えた。
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次回
何ですか、その心底嫌そうな顔は・・・
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