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目の前で見たもの

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今でも脳裏に焼き付いている両親の死。目の前で見てしまった事はレイバンのその後に大きく影響をもたらした。


「両親は、逆上した領民達から、私を必死に守ろうと自分達を盾にしました。その結果殺されたのです。父上は有無を言わさず剣で切り殺されましてね。血飛沫を上げて叫びながら死んでいきました。あの叫び声は今でも耳に残っているほどです。その後母上は、その男達に捕まって・・・目の前で犯されました。母上がどんなに抵抗しても、許しを乞うても止める事なく何度も何度も・・・男達の雄を受け入れさせられました。あの時は私も子どもでしたからね。何が起きているのか理解できていませんでいた。しかし、母上の泣き叫ぶ姿は今でも夢に出てくるんです。男の雄を無理矢理受け入れさせられ奥まで何度も押し込まれて・・・嗚咽を漏らしながら泣いていた。変わるがわる欲をぶつけて、満足した男達は・・・そのまま母上の胸に・・・剣を突き刺しました。それ以降・・・声も聞こえなくなり、息絶えました」


忌々しそうに顔を歪めながら、地獄のような出来事を語ったレイバン。


「レイバン・・・辛い思いを・・・」

「辛い?そんな事で片付けられるほど簡単な事ではありませんよ。たった7歳の子どもには・・・地獄を見せられたかのようでした。私は今、生きています。生き延びてしまったんです。父と母の命を目の前で奪われ・・・何もかも失いました。生きてしまった私に待っていたのは、領民達からの非難と罵声でした。お前達が敵を呼び込んだ。裏で繋がって甘い汁を吸っていたんだ。俺達から税を巻き上げるだけにとどまらず、まだいい思いをしようとしていた。何が領主だ、金の為に自領を敵国に売ったんじゃないのか?・・・とね。両親はそんな人達ではなかった。いつも領民を気にかけ、少しでも暮らしが楽になるようにと頑張っていた。戦争は・・・人を狂わせる。ありもしない事を事実のように思い込み、非のない相手の命を簡単に奪ってしまう」


レイバンは、レオナルドの首に刃先を当てたまま、節目がちに空虚を見つめ語っていたが、意を決したようにレオナルドの瞳を捉える。


「陛下・・・戦争は、敵国から仕掛けられた事。こちらに非がないのは知ってます」

「レイバンよ・・・私に何を求めるのだ」

「求める・・・ですか。遅いんですよ。もう遅い・・・今更何を求めても何も返ってこない。何もかも遅すぎるんだ!」


レイバンは、手に力を入れる。国王レオナルドの首に当てられていた刃先が、皮膚を切り赤い雫が服を染めていく。








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次回

えぇ、何もしていませんよ?そう・・・何もしてくれなかった






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