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西の辺境とイズヴァンド

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「それはそうと、ウィルフレッド、十日の休暇は何をして過ごしておったのだ?」

「はい、まずは私の師匠でもある西の辺境伯、ゲオルグ・カルスヴァ殿のところへ行ってきました」

「随分遠出しておったのだな。一人でか?」

「まさか。あの時の私が妻から離れて一人で旅のような事をできたとお思いですか?」

「うむ、確かにな。では夫人も一緒に?」

「えぇ、シアの方から行こうと提案されたのです。師匠の怪我の具合もですが、嫁がれたイザベラ嬢、今は夫人ですね。気にしていたようでしたから」

「ほう・・・それで、ゲオルグの怪我の様子は?」

「まだ傷は癒えてはおりませんが、順調に回復に向かっているようです」

「そうか、それはよかった。イザベラ嬢の様子はどのような風であった?」

「はい、私も実際に目にするまでは、親子ほど歳の離れた夫婦が想い合う事はないと思っておりました。ですが、師匠の気持ちが通じたのでしょう。夫人も師匠に対して恋愛感情を持っているようでしたから」

「そうなのか。彼女の意見など聞きもせず辺境へと送ってしまったからな。少々気にはなっていたが、案外うまくいくものなのだな」

「まぁ、お互い愛に飢えていたとでも言いましょうか。師匠は15年も彼女一人を想い続け、イザベラ夫人は愛を拗らせ愛される事を知らないままでした。互いが必要な存在と認識した今、惹かれ合うのは自然の摂理だったかもしれません。今は師匠も遠慮する事なくイザベラ夫人にべったりですし、イザベラ夫人もそれを嫌がる様子もなく、なんなら照れたり赤くなったり忙しそうな様子でしたね」


国王レオナルドは興味深く話を聞いていた。


「その後は北の辺境領へ行く途中、イズヴァンドへ立ち寄りました」

「イズヴァンドか・・・」

「えぇ、レイバンの処遇も決めなければなりません。その為にも現状を見ておくべきだと思ったのです」


国王はウィルフレッドの顔を見ると真剣な表情で次を促す。


「イズヴァンドでは何か収穫はあったか?」

「レイバンが幼い頃、孤児院で世話になった神父様がおられました。そして・・・実の祖父である事がわかりました」

「身内が生きていたのか!」

「そうです。レイバンがどのように思うかは未知数ですが、神父様はレイバンにもう一度会えるなら、今度こそ家族としての時間を取りたいとおっしゃっておられました。それと・・・」


ウィルフレッドは一度言い淀んだが、レイバンが再度生きる糧になるのならと話をする事にした。

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