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目を覚ますと

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ライエルは、騎士の一人に北の辺境伯であるクレイドルのもとへ走らせた。野盗がいた事、住民に危害を加えたことで捕えた事。北の辺境に連行したい事。イズヴァンドの警備と見回りを強化したい旨、騎士の増員を要請した。ライエル達騎士は、北の辺境からの援軍が来るのをここで待つらしい。


「早く教会に戻ってレイラさんを休ませてあげてください」

「あぁ・・・すまんな、後は頼んだ」


短く返事をすると、レイバンはレイラを抱えたまま馬に跨がった。寝息をたてているレイラを起こさないように、馬をゆっくりと進ませる。安心したのか、緊張から解放されたからなのか、レイラはレイバンの腕のなかでぐっすりと眠っている。ゆっくりと馬を進めながら、レイバンは、レイラの寝顔をじっと見つめていた。教会までの道のり。ライエル達とも離れ、今は二人きりだ。それを思ったレイバンの腕に力が入る。離したくない。このままずっと腕の中に閉じ込めておきたい。ライエルにも他の男にも渡したくない。でも、レイラが望むなら。レイバンは、レイラの寝顔を見つめ、温もりを感じながら悶々としていた。


「・・・んっ・・・」


腕の中でレイラが身じろぎする。ゆっくりと瞼が開かれる様をレイバンは見逃すまいとじっと見つめていた。


「レイバン様・・・」

「起こしてしまったか?」

「いえ・・・あっ、すみません!私眠ってしまっていたのですよね!?」

「ん?あ、あぁ・・・」

「申し訳ありません・・・もう大丈夫ですから・・・っ!?」


レイラはその時はじめて気付いた。馬に乗せられている事。ずっとレイバンに支えられていた事を。驚いたレイラはバランスを崩して落馬しそうになる。


「おいっ!危ないだろう・・・」


咄嗟に力を込めたレイバンに抱き寄せられた。


「っ!?・・・う、馬になんて乗ったことなかったので驚いてしまって・・・」


馬に乗っていたことに驚いたのはもちろんであるが、それ以上にレイバンの支える腕が力強く驚く。だが、守られているようで嬉しくなる。心なしかレイバンの鼓動が早い気もするがそれは気のせいだろうと思うことにした。


「これから乗る機会も増えるだろう」


レイバンが言った言葉に、レイラは期待せざるをえなかった。レイバンがこれからも乗せてくれると言うのか。だが次の一言で期待してしまった自分に恥ずかしさを覚えた。


「騎士は大抵馬に乗るからな」


騎士。それは今のレイバンを指していない事をレイラは気付いてしまった。先程も自分をライエルに託そうとした。今朝は泣いていたのを慰められていた所を見られた。もしかしたら、話している内容は知らないにしても、その様子を見て、恋仲だと思っているのかもしれない。レイバンが言った言葉の続きは、これからライエルが乗せてくれるだろうからだったのかも知れない。レイラは、どこまでも自分はこの人に女として見てもらえていないのだと心に影を落としていた。








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