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フィーノを追えば
しおりを挟む立ち去る男達の背を見つめ、姿が見えなくると、コルテオの手から剣が滑り落ちる。そしてコルテオは倒れた。額には汗が滲んでいた。
「コルテオ様!?」
急に崩れ落ちるように倒れたコルテオにエルサは驚く。頭を抱え、自身の膝に乗せる。
「コルテオ様!大丈夫ですか!?お怪我なされたのですか?しっかりしてください!」
「・・・っ、・・・エルサ・・・嬢、お怪我ありませんか?」
「私はなんともありませんわ!」
「なら・・・良かった」
エルサは焦りを見せながらも、このままではいけないという事もわかっていた。
「フィーノ!誰か連れてきて!」
エルサは近くに待機していた愛馬のフィーノに声をかける。フィーノは承知したとばかりに小さくブルッと反応すると、勢い良く駆けていった。まるで言葉がわかっているかのように。
「コルテオ様、頑張ってください!直に人が来ますから!」
「えぇ・・・」
コルテオは依然苦しそうな表情を見せている。
そして、砦で見回りをしていた騎士がフィーノに気付く。
「ん!?う、馬が逃げ出してっ・・・あれはフィーノ?」
「なんだって?」
「なに言ってるんだ。フィーノは今、エルサ様と一緒にいるはずだぞ」
「でも、じゃああれは・・・」
騎士達の視線の先には、見間違えようがないほどに、誰もを寄せ付けないと有名なフィーノがいた。しかも何度も近付いては離れて振り返るという行動をとる。
「なぁ、エルサ様とコルテオ様に何かあったんじゃ」
「まさか・・・でも、絶対ないとは言えないな」
「だよな、ついていってみるか?」
「そうだな。何もなければなかったでいいのだし」
騎士達はフィーノのあとを別の馬にまたがってついていく。ついてきているのを確認すると、フィーノは振り向かなくなった。そのままついてこいと言わんばかりに皆を先導していく。厩舎の近くまで来ると、フィーノが突然勢い良く駆け出した。
「おい、フィーノ!?」
「ちょっと待ってくれ、どこに行くんだ!」
騎士達が慌てて追いかけようとした矢先、フィーノがゆっくりと立ち止まりじっと何かに見入っていた。
「おい!あれって、エルサ様とコルテオ様じゃないか!?」
騎士達は、地面に横たわるコルテオを心配そうに見つめるエルサを見つけ、慌てて駆けよった。
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