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豹変する男達

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「失礼します」


ノックのあとに聞こえたのは若い騎士の声だった。


「どうした?」

「はい、団長にお客様です」

「客?」


誰か訪ねてくる予定などあっただろうかと考えるも、予定はなかったはずだ。そんな事を考えていたウィルフレッドの表情はすぐに変わることとなる。


「ウィル」


執務室に入ってきたのは妻であるレティシアだった。


「シア!」


ウィルフレッドは執務室を訪ねたのがレティシアだとわかると、表情を一変させ勢いよく立ち上がったかと思えば駆け寄っていった。そしてぎゅうぎゅうに抱き締める。


「ウィル、苦しいわ」

「すまん・・・でも予定もなくここに来るなんてなかったから」

「確かに、でも今日は一人じゃないの」

「ん?」


そう言われ、レティシアの後ろに目を向ければ、宰相の娘であるミリアがいた。ポカンとして二人を見ている。レティシアとミリアが親友なのは知っている。お茶でもしているうちにここへ来ようとなったのか。


「アイオロス」


ウィルフレッドは自身の後方に視線を投げ掛けると、副団長であるアイオロスがその場で立って礼をとる。


「奥様、お久しぶりにございます」

「えぇ、お久しぶりです」


レティシアはウィルフレッドに抱きつかれたまま、覗き込むように首だけを傾げて挨拶する。


「ウィル、副団長様をお借りしても?」

「あぁ、いいぞ」


アイオロスは何かと不思議そうな顔をする。そして会話から取り残されていたソルディオは、この男に対しては嫉妬をしないのかなどと観察していた。だが、その理由がすぐに判明する。レティシアの後に誰かいるのが見えたのだ。アイオロスが恋い焦がれてやまない髪の色の持ち主。


「ミリィ!!!」


急に表情を変え、駆け寄るアイオロスに、ソルディオは唖然とする。アイオロスは、ウィルフレッド同様、女性を抱きすくめてしまった。


「ちょっと、アース・・・」

「ミリィ、顔が真っ赤ですよ?・・・でも、可愛いです」


ご満悦なアイオロスの様子に、先程自信なさげに、申し訳なさそうに話していた男はどこへいったんだと、ソルディオは眺めていた。そんな様子のソルディオにレティシアが気付く。


「ソルディオ様、お久しぶりでございますね」


レティシアから声をかけられたソルディオがハッとする。慌てて立ち上がると挨拶をした。





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