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34、国王様のサプライズ
しおりを挟む夜会の会場にあらわれた二人は、一気に注目の的になった。
フロアの片隅で、見間違いかと何度もバージルを見ていた令嬢がいた。
「バージル・・・嘘でしょう・・・」
参加者の入場も終わり、国王と王妃が姿を見せる。
「皆の者、よく集まってくれた、本日はデビュタントを迎えた令息、令嬢も多数大人の仲間入りをすると聞いておる。皆で祝ってやって欲しい」
国王は会場を見渡すと、バージルとミーティアに視線を送る。玉座から立ち上がり、二人へと歩み寄る。会場中が何かとざわつき始めた。国王は参加者に向かい話し出す。
「本日は、三の姫ミーティアが、初めての夜会に参加し大人の仲間入りを果たした。そしてもう一つ、皆に知らせておきたい事がある」
国王はミーティア、そしてバージルと一度目をあわせると、再度フロアに視線を戻す。
「我が愛娘ミーティアは、ここにおる第二騎士団所属、バージル・ユリシールの婚約者となった!若い二人を祝福してやってほしい」
フロアは拍手喝采に包まれた。フロア隅、バージルの姿を見つめていた令嬢の頬には、静かに涙がつたっていった。その涙を見て一人の男が、胸に秘めていた想いを抑える事ができなくなっていた。
そして国王が手をあげ、静止を促す。
「そして皆に知らせておきたい事がまだある」
国王が、さらに言葉を続けていく。
「今回、報告が多くなってしまうが、めでたい事ばかりである。一の姫マーガレットは、隣国イクスノクルの王太子殿下との婚約、ニの姫カトレアはシーズブール国の公爵令息との縁談が決まった、よって、三の姫ミーティアを次期女王に任命し、夫となるバージル・ユリシールを王配とする!」
(!?何だって・・・ミーティアが女王?俺は王配!?おいおい、国王様聞いてないぞ!!)
会場は拍手喝采、ミーティアは驚いてポカンと口を開いたまま、バージルは目を見開き固まった。そして玉座では、王妃が満足そうにしたり顔で二人を見ていた。
「ミーティア、聞いての通りよ、私達は他国に行くわ」
「頑張ってね、あとは頼んだわよ~」
姉姫二人はフロアを後にした。
「ティア・・・知ってた?」
「全然・・・聞いてない・・・」
「・・・まぁ、やるしかないんだろうな」
「そうね・・・何がどうなっても、ジルにはわたくしがいて、わたくしにはジルがいる。それは変わらないわ」
「あぁ」
国王アルフレッドの急な報告に、フロアには、おめでたい事を喜ぶ者もいれば、姉姫二人を狙っていた令息はガッカリしている者もいた。
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お知らせ
新作まもなく投稿開始します!
【お嬢さんはある日森の中熊さんに出会った】
第一王子アイスフォードの婚約者であるリシェリア・ブルスト侯爵令嬢。王子妃教育の為に毎日王宮に通っている。
ある日、王子妃教育の帰り、第二王子のフラムウェルの企みに巻き込まれる。
リシェリアは姿を消した。辿り着いたのは辺境地の森の中。歩き続けて疲れ切ったリシェリアは狼を前に死を覚悟する。
通りがかった騎士に助けられ、辺境に滞在する事となった。助けた騎士は、38歳になった今でも、女性に触れた事もない初心なオッサンだった!?
♪初心なオッサン騎士視点の話多めです♪
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