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第一王子レグルス

王子の突撃訪問

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コンコンコン。


「父上、失礼します」


レグルスはリシェルの手を引いたまま、バージルの執務室へ入っていく。


「ん?レグルス、どうしたんだそんなに急いで」

「リシェル?」

「お、お父様!?」


足早に急ぐように入ってきたレグルスに、手を取られまま連れてこられたリシェルを見て、バージルとテオドールは何事かと様子を伺っていた。


「ジャンク騎士団長!ちょうどよかった、父上、お話があります!」

「な、なんだ?」

「リシェル嬢と結婚したいです!」

「で、殿下!?」

「え!?」「はぁ!?」


三人はあまりにも唐突なレグルスの言葉に目を見開いて驚いていた。


「レグルス・・・急になんだ?」

「父上、お願いします!」

「いやぁ・・・リシェル嬢はいいのかい?」

「・・・・・」


リシェルは驚きのあまり、ポカンとしていた。


「リシェル?リシェルはどうしたい?」

「お、お父様・・・あの、まだ・・・わかりません」

「リシェル嬢・・・僕じゃダメかい?・・・はっ・・・他に想う令息がいたのか・・・」

「い、いえ、そういう事ではなく・・・」

「・・・僕が好みじゃなかったのか」

「殿下は素敵ですわ」

「だったら!」


レグルスは掴みかかりそうな勢いでリシェルに詰め寄る。


「ひゃっ!」

「あ、す、すまない」

「あ、あの・・・殿下の事、まだ何も知りませんので・・・」

「・・・あっ・・・」


いつもは落ち着いていて聡明な息子が、恋愛となるとこんなにも残念な男になるのだと、バージルはおかしくてたまらなかった。


「ふはははっ!レグルス、ふふっ、勝手に盛り上がって、勝手に落ち込むな」

「父上、笑い事ではないのですよ・・・リシェル嬢に断られたら立ち直れません」

「レグルス、まず相手の話を聞け。ダメだとは言ってない」

「ふぇっ!?」


にこやかな笑顔で状況を見ていたテオドールが話を進める。


「レグルス殿下、娘を気に入って頂けている事はよくわかりました。しかし、娘はまだ戸惑っているようです。妻として娶る前に、まずお互いを知ることから始めませんか?」

「すまない・・・必死で」

「リシェル、殿下はお前を気に入ってくださっているようだが、そのお気持ちについてはどう想う?」

「殿下のような素敵な方に、好意を寄せて頂けたのは嬉しく思います」

「リ、リシェル嬢!!」


レグルスは、両手でリシェルの手を握った。


「ひゃっ!」

「レグルス、急ぐな。なぁ、テオドール、シルビアは元気か?」

「あぁ、変わらずだ」

「王宮にシルビアを連れてきてくれるか?シルビアの考えも聞きたい」

「あぁ、伝えておこう」

「という事だ、レグルス。リシェル嬢の母のシルビアも一緒に、後日話をしようではないか」

「は、はい」

「テオドール、リシェル嬢も今日の茶会では大変だっただろうから、帰るのに付き添ったらどうだ?第二はトーマスがいるから大丈夫だろ」

「そうだな、そうさせて貰おう」


テオドールはリシェルを連れ、王宮を後にした。




ーーーーーーーーーーーーーーー



次回


君を見ている令息を見つけては、睨みをきかせていたからね



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