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恋した君と愛する君
いなくなったレット
しおりを挟むサイラスがテラスに戻ると、いるはずのマーガレットの姿が見えない。
(・・・レットがいない・・・俺のレット・・・)
「おい、ここにいた赤い髪の女は見なかったか?俺の妻だ」
「先ほど他の男性とお話されておられまして、お二人へどこかへ向かわれたようですが」
「なに!?どっちへ向かった!」
「ホールを出て行かれたところまでしか・・・奥様と男性はお知り合いではなかったのですか?」
「くそっ!!」
サイラスは一気に駆け出した。
「おい、レットを見てないか?赤い髪の女だ!」
「見かけておりませんが」
所々警備で立っている近衛騎士に聞くが、誰もマーガレットを見たものがいない。
(どこにいる・・・どこにいるんだレット!お前は俺のものだろうが!俺の元からいなくなるな・・・俺を一人にするな!)
無我夢中だった。
(王宮やホールにはいない・・・あとは・・・どこだ・・・外・・・庭園か?)
急いで庭園に向かう。あちこち探すが見つからない。ふと、庭園の生垣の迷路の入り口に白いものが見えた。
(あれはなんだ・・・ハンカチ?)
拾い上げると、そこにはサイラスの名前の刺繍がほどこされていた。
(これは・・・レット!?・・・迷路の中か!)
サイラスは迷路の中を探した。行き止まりになっている先の暗闇に何かが見え、声がする。
「お、おやめ下さい、離してください!」
「うるさい、大人しくしろ!」
(あのドレスは・・・!!!)
ドガッ!!
「がはっ!!」
サイラスはマーガレットに駆け寄った。
「レット!すまない、遅くなった!」
サイラスは、マーガレットの存在を確かめるようにしっかりと抱きしめた。
ーーーーーーーーーーーーーー
次回
サイラスだ!
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