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第三章「侍女ですが、○○○に昇格しました。」
(31)☆
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その間にも指先で弱い箇所を掻かれ腰がびくりと震える。
「……っ」
だが、唇を塞がれているので、喘ぐことすらできずに、ただ荒い息を吐くことしかできない。代わって、アルフレッドに更に熱い吐息を吹き込まれると、喉から臓腑に掛けてその熱で焼け焦げそうになった。
もう耐えられない――そう訴えようとして手を上げた途端、不意に唇が離れ、隘路から指が引き抜かれる。
「ひぁっ……」
爪先でカリっと内壁を擦られながら体内が空洞になる感覚に身悶える。
視界は涙でぶれ、曖昧になっており、アルフレッドが服を脱ぎ捨てたのもわからなかった。
ただ、再び伸し掛かられる重みと熱だけを感じていた。
力なく開いた脚の間にぐっと鍛え抜かれた腰が割り込む。
「やあっ……」
背を仰け反らせ、衝撃を逃そうとした時には、もう半ばまで押し入られていた。
「……っ」
揃って溜め息を吐く。
「ソランジュ」
名を呼ばれる間にぐっと根元まで埋められ、隘路を強引に押し広げられ、内臓を押し上げられる感覚にぶるりと身を震わせる。
「あ……ぁああっ」
思わず筋肉質の二の腕に縋り付く。
体の奥から背筋を撫で上げられるような、ぞくぞくとした感覚が這い上がってくる。最奥の更に向こう側は熱を持ち、とろとろ溶けて蜜を分泌した。
「あ……ン」
妖しく濡れた柘榴の実の色のそこが、男の欲望をきゅっと締め付ける。
アルフレッドの黒い眉根が寄せられるのと同時に、その腰がギリギリまで引かれたかと思うと、再び蜜口にパンと音を立てて突き入れられた。
「あっ……」
瞼を閉じて無防備に震える喉をさらけ出す。
かたく滾った肉の楔がひくひくと蠢く割れ目に消えては現れる。
その動きに合わせて細い体も上下に揺れた。
長い黄金の巻き毛がシーツに擦れる。
「あっ……あっ……あっ……」
知らず手を広い背に回していた。
体内を貫く肉の楔で内壁が快感を覚えるたびに、小刻みに震えてアルフレッドの分身を締め付ける。
出し入れの勢いで漏れ出た、とろりとした蜜がシーツにシミを作った。
「……っ」
黄金色の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
途中、ぐっと上気し、薄紅色に染まった乳房を握り締めるように揉みしだかれると、二重の快感に腰が浮きそうになった。
アルフレッドの腰の動きが一層早まる。
「んぁっ……あっ……あぁっ」
互いの肉体から湯気が立ちそうだった。
質量を増した肉の楔がソランジュを内部から蹂躙し、時折最奥を弄ぶ。
「……っ」
もう限界だと涙目で訴えようとした次の瞬間、長い腕が背に回され、乳房を押し潰されるほど体を密着させられた。
肉の楔がぐぐっと最奥をも突破しようとする。
「んあっ……」
全身が弓なりに仰け反りそうになったが、抱き締められてそれすらできない。
「あ……あっ……」
アルフレッドはソランジュの小刻みに震える肉体を抱き寄せると、更にその体内の奥深くまで入り込んだ。腰を一瞬大きく引き攣らせ、繰り返された刺激で弛緩したそこに、灼熱の欲望を注ぎ込む。
「……っ」
涙を湛えた黄金色の瞳が大きく見開かれる。
体内でアルフレッドの分身が力強く脈動している。放たれた熱が最奥を直撃し、じわりと熱が染み込んでいった。
力をなくした体をまた抱き寄せられる。
広い胸に包み込まれながら、ソランジュはわずかに残った意識の中で、やっとここに帰ることができたと、ようやく心の底から安堵したのだった。
☆☆☆
その夜はまだ緊張が残っていたからだろうか。眠りに落ちてから二、三時間もすると目が覚めてしまった。
そろそろと隣のアルフレッドを見ると、同じくもう起きていたらしい。黒い瞳は窓の外の星空に向けられていた。
まだ夜も明けていないので、おはようございますはちょっとおかしい。なんと挨拶しようかと迷っていると、アルフレッドがこちらを向いてわずかに目を細めた。
「起きたのか」
「……なんだか目を瞑っているのがもったいなくて」
眠れないからだけではない。手を伸ばせば届きそうな、こんな満天の夜空を間近にしながら、夢を見るだけでは惜しい。それほど今宵の星は夢より美しい。
アルフレッドも同じ思いだったのか、ソランジュの肩を抱き寄せ「そうだな」と頷いた。
「満月以外の夜空を眺めたのは久々かもしれない」
アルフレッドの目は星空に向けられたままだ。一体誰の星を探しているのだろうか。
「アルフレッド様は人が死んだら星になるという神話は知っていますか?」
「初めて聞いたな」
ということは、これはクラルテル教ではなく、光の女神ルクスを信仰する人々のみに伝わっているのかもしれない。
なのに、アルフレッドはなおも星を眺めている。
ソランジュはアルフレッドの胸に頬を寄せた。
「今夜の星、綺麗ですね」
「ああ、そうだな」
アルフレッドの手に力が込められる。
ソランジュは髪に口付けられながら、今なら聞けるかも知れないと、「……知りたいんです」と、ずっと悩んでいた疑問を口にした。
「リュカ君に頼んで、私を教皇様のもとへ攫った人が。……事件の発端となった人が」
助けに来てくれたアルフレッドのことだ。もうとっくに調査を終わらせているに違いなかった。
――どうか包み隠さず教えてほしい。
「お願いします……。私、もう隠されているのは嫌なんです」
そう乞うとアルフレッドはソランジュを見下ろし、間を置いて一言、「ドミニクの計画だ」と単刀直入に答えた。
「……っ」
衝撃的な回答に息を呑む。
中枢で間諜が暗躍していると聞いてから、一体誰なのだろうと推理し、だが、まったく答えに辿り着かずに降参してきた。
皆が皆アルフレッドに忠実だったからだ。
もちろん、ドミニクも。忠実どころか崇拝していたように見えた。
どうしてと戸惑う間にアルフレッドが更に衝撃的な事実を告げる。
「――だが先日、ドミニクは取り調べ中に死んだ」
「……っ」
だが、唇を塞がれているので、喘ぐことすらできずに、ただ荒い息を吐くことしかできない。代わって、アルフレッドに更に熱い吐息を吹き込まれると、喉から臓腑に掛けてその熱で焼け焦げそうになった。
もう耐えられない――そう訴えようとして手を上げた途端、不意に唇が離れ、隘路から指が引き抜かれる。
「ひぁっ……」
爪先でカリっと内壁を擦られながら体内が空洞になる感覚に身悶える。
視界は涙でぶれ、曖昧になっており、アルフレッドが服を脱ぎ捨てたのもわからなかった。
ただ、再び伸し掛かられる重みと熱だけを感じていた。
力なく開いた脚の間にぐっと鍛え抜かれた腰が割り込む。
「やあっ……」
背を仰け反らせ、衝撃を逃そうとした時には、もう半ばまで押し入られていた。
「……っ」
揃って溜め息を吐く。
「ソランジュ」
名を呼ばれる間にぐっと根元まで埋められ、隘路を強引に押し広げられ、内臓を押し上げられる感覚にぶるりと身を震わせる。
「あ……ぁああっ」
思わず筋肉質の二の腕に縋り付く。
体の奥から背筋を撫で上げられるような、ぞくぞくとした感覚が這い上がってくる。最奥の更に向こう側は熱を持ち、とろとろ溶けて蜜を分泌した。
「あ……ン」
妖しく濡れた柘榴の実の色のそこが、男の欲望をきゅっと締め付ける。
アルフレッドの黒い眉根が寄せられるのと同時に、その腰がギリギリまで引かれたかと思うと、再び蜜口にパンと音を立てて突き入れられた。
「あっ……」
瞼を閉じて無防備に震える喉をさらけ出す。
かたく滾った肉の楔がひくひくと蠢く割れ目に消えては現れる。
その動きに合わせて細い体も上下に揺れた。
長い黄金の巻き毛がシーツに擦れる。
「あっ……あっ……あっ……」
知らず手を広い背に回していた。
体内を貫く肉の楔で内壁が快感を覚えるたびに、小刻みに震えてアルフレッドの分身を締め付ける。
出し入れの勢いで漏れ出た、とろりとした蜜がシーツにシミを作った。
「……っ」
黄金色の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
途中、ぐっと上気し、薄紅色に染まった乳房を握り締めるように揉みしだかれると、二重の快感に腰が浮きそうになった。
アルフレッドの腰の動きが一層早まる。
「んぁっ……あっ……あぁっ」
互いの肉体から湯気が立ちそうだった。
質量を増した肉の楔がソランジュを内部から蹂躙し、時折最奥を弄ぶ。
「……っ」
もう限界だと涙目で訴えようとした次の瞬間、長い腕が背に回され、乳房を押し潰されるほど体を密着させられた。
肉の楔がぐぐっと最奥をも突破しようとする。
「んあっ……」
全身が弓なりに仰け反りそうになったが、抱き締められてそれすらできない。
「あ……あっ……」
アルフレッドはソランジュの小刻みに震える肉体を抱き寄せると、更にその体内の奥深くまで入り込んだ。腰を一瞬大きく引き攣らせ、繰り返された刺激で弛緩したそこに、灼熱の欲望を注ぎ込む。
「……っ」
涙を湛えた黄金色の瞳が大きく見開かれる。
体内でアルフレッドの分身が力強く脈動している。放たれた熱が最奥を直撃し、じわりと熱が染み込んでいった。
力をなくした体をまた抱き寄せられる。
広い胸に包み込まれながら、ソランジュはわずかに残った意識の中で、やっとここに帰ることができたと、ようやく心の底から安堵したのだった。
☆☆☆
その夜はまだ緊張が残っていたからだろうか。眠りに落ちてから二、三時間もすると目が覚めてしまった。
そろそろと隣のアルフレッドを見ると、同じくもう起きていたらしい。黒い瞳は窓の外の星空に向けられていた。
まだ夜も明けていないので、おはようございますはちょっとおかしい。なんと挨拶しようかと迷っていると、アルフレッドがこちらを向いてわずかに目を細めた。
「起きたのか」
「……なんだか目を瞑っているのがもったいなくて」
眠れないからだけではない。手を伸ばせば届きそうな、こんな満天の夜空を間近にしながら、夢を見るだけでは惜しい。それほど今宵の星は夢より美しい。
アルフレッドも同じ思いだったのか、ソランジュの肩を抱き寄せ「そうだな」と頷いた。
「満月以外の夜空を眺めたのは久々かもしれない」
アルフレッドの目は星空に向けられたままだ。一体誰の星を探しているのだろうか。
「アルフレッド様は人が死んだら星になるという神話は知っていますか?」
「初めて聞いたな」
ということは、これはクラルテル教ではなく、光の女神ルクスを信仰する人々のみに伝わっているのかもしれない。
なのに、アルフレッドはなおも星を眺めている。
ソランジュはアルフレッドの胸に頬を寄せた。
「今夜の星、綺麗ですね」
「ああ、そうだな」
アルフレッドの手に力が込められる。
ソランジュは髪に口付けられながら、今なら聞けるかも知れないと、「……知りたいんです」と、ずっと悩んでいた疑問を口にした。
「リュカ君に頼んで、私を教皇様のもとへ攫った人が。……事件の発端となった人が」
助けに来てくれたアルフレッドのことだ。もうとっくに調査を終わらせているに違いなかった。
――どうか包み隠さず教えてほしい。
「お願いします……。私、もう隠されているのは嫌なんです」
そう乞うとアルフレッドはソランジュを見下ろし、間を置いて一言、「ドミニクの計画だ」と単刀直入に答えた。
「……っ」
衝撃的な回答に息を呑む。
中枢で間諜が暗躍していると聞いてから、一体誰なのだろうと推理し、だが、まったく答えに辿り着かずに降参してきた。
皆が皆アルフレッドに忠実だったからだ。
もちろん、ドミニクも。忠実どころか崇拝していたように見えた。
どうしてと戸惑う間にアルフレッドが更に衝撃的な事実を告げる。
「――だが先日、ドミニクは取り調べ中に死んだ」
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