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第三幕 想定外
vs44 体
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その後は普通に着替えて学院に向かう。
子犬はマリミエドが連れて行く事は出来ないので、エレナが学院の側の湖のガゼボまで運んだ。
女神像とコサージュをずっと大事そうにしていたので、毛布とセットで運ばれた。
「ギルベルト坊ちゃまなんですよね……不思議だわ」
そこのガゼボにはテーブルがあったので、テーブルに子犬と毛布とコサージュと女神像を置く。
『話しが出来ればな』
「はあ…本当かしら…疑う訳じゃないけど~~んん」
エレナが子犬を見て悩む。
『無理もない。…さて、どうやって体を乗っ取ったらいいのか…』
そう言うと、体が浮いて子犬から離れた。
〈え?〉
ギルベルトは咄嗟に風を操ってコサージュと女神像を手にする。
「えっ⁈」
エレナが驚く間にギルベルトは消えた。
すると子犬はキャンキャンと吠えて毛布で遊び出す。
「あ…コサージュと女神像が消えた…⁈ えっ、待ってそんな!」
エレナは必死で周り中を探した。
「ここは………」
ギルベルトは顔を押さえて目を覚ます。
すると目の前に角の生えた人型の魔族がひざまずく。
「お目覚めですか、猊下。お早いお戻りで」
「………鏡はあるか…?」
そう言う自分の声は低かった。
咄嗟に両手に持っていた女神像とコサージュを上着のポケットにしまう。
「はっ、只今」
答えてその者が持ってこさせた鏡は、巨大な姿見の鏡だった。
〈…デカいな。その割にこの体は人間と余り変わらない大きさだ…〉
背は2メートル50センチ程。
キリッとした細く鋭い目で、目鼻立ちは整っていて、耳は尖っている。
髪はストレートで肩甲骨辺りまである。
〈中々美形だな。…猊下という事は、神官のような者か…〉
そう思いながら歩いていく。
「猊下、どちらに?」
「部屋へ行く」
そう言い廊下に出て歩いた。
どうやら体の記憶は読めるらしい。
部屋に入るとギルベルトは鞄を取り出してこの体が大事にしていると思われる物を片っ端から入れていく。
〈…俺の体は何処やら……〉
鞄を手に廊下に出ると、先程の男が居た。
〈この者に取っては執事だな〉
そう思いながら歩いて外に向かう。
「猊下、お待ちを! 何処に行かれるのですか⁈」
「ヴァンパイアのハーフの〝エルガファル〟が居ただろう? 地上と繋いでいた」
そうカマをかけるとその男が頷く。
「はい、連絡役のエルガファルですね。そ奴が何か…」
「その住処へ行く。案内しろ」
「は、はっ!」
男が答えてドラゴンを呼んだ。
「どうぞ猊下」
「…うむ」
内心、心臓がバクバクとしながらもギルベルトはドラゴンに乗る。
〈何処に掴まれば…〉
思う間に飛んだので、咄嗟に目の前のたてがみのような角を掴んだ。
〈飛ばされるーーー!〉
そう思いながら必死で平静を装った。
「ギルベルト!」
「お兄様⁉」
その頃、ガゼボでは仲間達が集まって子犬に叫んでいた。
子犬はキューンと鳴くばかりだ。
「一体何があったんだ!」
アルビオンが問うと、エレナが頭を下げる。
「申し訳ございません! 急に女神像とコサージュが浮いて消えてしまい、探していました! 何処にも見つからずに…っ」
「ギルベルトの魂がいない…」
子犬を調べたユークレースが呟く。
「では何処に?」
とアルビオンが問い、レアノルドが言う。
「違う物に乗り移ったのか⁉」
「その辺に居ないか?」
クリフォードがガサガサと草むらを探すと、ぬっとフェンリルが現れて言う。
「あ奴なら、宙に浮いて消えたぞ」
「…何っ⁉」
後ろのユークレースが聞く。
「手に何か持っていた…それしか知らんがな」
そう言いフェンリルは行ってしまう。
「びっっ…くりした…」
クリフォードは心臓を押さえて座り込んだ。
「では、手掛かりは女神像とコサージュか…」
ベルンハルトが言うと、ユークレースが頷く。
「今はどうこう出来ん。…連絡を待とう」
そう言いユークレースは眉をしかめた。
〈一人で何か無茶をやらかしたら只では済まんぞ!〉
そう怒りながら振り返る。
「ランチに行こう! 飯を食ってからだ!」
そう言って皆と共に歩く。
子犬はエレナが持っていった。
子犬はマリミエドが連れて行く事は出来ないので、エレナが学院の側の湖のガゼボまで運んだ。
女神像とコサージュをずっと大事そうにしていたので、毛布とセットで運ばれた。
「ギルベルト坊ちゃまなんですよね……不思議だわ」
そこのガゼボにはテーブルがあったので、テーブルに子犬と毛布とコサージュと女神像を置く。
『話しが出来ればな』
「はあ…本当かしら…疑う訳じゃないけど~~んん」
エレナが子犬を見て悩む。
『無理もない。…さて、どうやって体を乗っ取ったらいいのか…』
そう言うと、体が浮いて子犬から離れた。
〈え?〉
ギルベルトは咄嗟に風を操ってコサージュと女神像を手にする。
「えっ⁈」
エレナが驚く間にギルベルトは消えた。
すると子犬はキャンキャンと吠えて毛布で遊び出す。
「あ…コサージュと女神像が消えた…⁈ えっ、待ってそんな!」
エレナは必死で周り中を探した。
「ここは………」
ギルベルトは顔を押さえて目を覚ます。
すると目の前に角の生えた人型の魔族がひざまずく。
「お目覚めですか、猊下。お早いお戻りで」
「………鏡はあるか…?」
そう言う自分の声は低かった。
咄嗟に両手に持っていた女神像とコサージュを上着のポケットにしまう。
「はっ、只今」
答えてその者が持ってこさせた鏡は、巨大な姿見の鏡だった。
〈…デカいな。その割にこの体は人間と余り変わらない大きさだ…〉
背は2メートル50センチ程。
キリッとした細く鋭い目で、目鼻立ちは整っていて、耳は尖っている。
髪はストレートで肩甲骨辺りまである。
〈中々美形だな。…猊下という事は、神官のような者か…〉
そう思いながら歩いていく。
「猊下、どちらに?」
「部屋へ行く」
そう言い廊下に出て歩いた。
どうやら体の記憶は読めるらしい。
部屋に入るとギルベルトは鞄を取り出してこの体が大事にしていると思われる物を片っ端から入れていく。
〈…俺の体は何処やら……〉
鞄を手に廊下に出ると、先程の男が居た。
〈この者に取っては執事だな〉
そう思いながら歩いて外に向かう。
「猊下、お待ちを! 何処に行かれるのですか⁈」
「ヴァンパイアのハーフの〝エルガファル〟が居ただろう? 地上と繋いでいた」
そうカマをかけるとその男が頷く。
「はい、連絡役のエルガファルですね。そ奴が何か…」
「その住処へ行く。案内しろ」
「は、はっ!」
男が答えてドラゴンを呼んだ。
「どうぞ猊下」
「…うむ」
内心、心臓がバクバクとしながらもギルベルトはドラゴンに乗る。
〈何処に掴まれば…〉
思う間に飛んだので、咄嗟に目の前のたてがみのような角を掴んだ。
〈飛ばされるーーー!〉
そう思いながら必死で平静を装った。
「ギルベルト!」
「お兄様⁉」
その頃、ガゼボでは仲間達が集まって子犬に叫んでいた。
子犬はキューンと鳴くばかりだ。
「一体何があったんだ!」
アルビオンが問うと、エレナが頭を下げる。
「申し訳ございません! 急に女神像とコサージュが浮いて消えてしまい、探していました! 何処にも見つからずに…っ」
「ギルベルトの魂がいない…」
子犬を調べたユークレースが呟く。
「では何処に?」
とアルビオンが問い、レアノルドが言う。
「違う物に乗り移ったのか⁉」
「その辺に居ないか?」
クリフォードがガサガサと草むらを探すと、ぬっとフェンリルが現れて言う。
「あ奴なら、宙に浮いて消えたぞ」
「…何っ⁉」
後ろのユークレースが聞く。
「手に何か持っていた…それしか知らんがな」
そう言いフェンリルは行ってしまう。
「びっっ…くりした…」
クリフォードは心臓を押さえて座り込んだ。
「では、手掛かりは女神像とコサージュか…」
ベルンハルトが言うと、ユークレースが頷く。
「今はどうこう出来ん。…連絡を待とう」
そう言いユークレースは眉をしかめた。
〈一人で何か無茶をやらかしたら只では済まんぞ!〉
そう怒りながら振り返る。
「ランチに行こう! 飯を食ってからだ!」
そう言って皆と共に歩く。
子犬はエレナが持っていった。
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