あるマゾヒストの呟き

文字の大きさ
上 下
41 / 46

10人10色

しおりを挟む
ある自殺予防読本に、こんなことが書いてありました。

自殺をしたいと相談されたから
何も否定せず黙って話を聞いてあげようとしたら最後に、なんか言ってよ!と言われて回答に困ったと。
なんで答えれば正解だったのか?と。

その質問に対しての解答は
「正解はない」
でした。

自殺がしたいというから、
「話を聞いてあげた」
この行為がそもそも間違いだと、その読本には書いてありました。

初めから
自殺願望者には黙って寄り添えばいいとか
話をただ聞いてあげればいいとか
その決めつけた姿勢こそ、相手に壁を作り相手を孤独にさせ
「何か言ってよ!」に繋がるのだと。

相手の話を聞いて相手に向き合い
自分が思ったこと、自分が本当に良いと思った言動で相手に伝えることが正解だと。


そんな話、SMと関係あるのか?と思われるでしょうけど、全く同じだなと思うのです。

この世にはSM論が溢れています。

マゾは~とかサブミッシブは~っと
語る男性はとても多いですね。


けれど、そうやって決めつけてしまうことがマゾやサブミッシブの個性を蔑ろにし、
そうならなければいけないと言う虚像を押し付けてしまうから、M達は本来の自分の性癖ではなく「SM界隈」のマゾやサブミッシブにならなければならなくなる。

とはいえ、マゾヒストやサブミッシブに対して、明確な基準はあると思います
何がマゾヒストか?何がサブミッシブか?
と。

けど多くの男性たちが知りたがるのは、
マゾやサブミッシブの意味ではなく
従者が欲しいが故の
マゾやサブミッシブの扱い方論だ。

マゾやサブミッシブは寂しがりやだとかメンヘラだとか、受け入れてあげなきゃいけないとか、優しくしなきゃいけないとか開放しなきゃいけないとか
そんな言葉をよく目にするけれど、
そんなことをそもそも決めつけるものではないですよね。

もちろん、はじめから120%両手を開いて甘やかしてくれたらこっちも楽ですよ(笑)ただ我儘を言って、誘導されてればいいだけだから。

でも、どんなに優しくされたとしても、
上から目線ではじめから決めつけられて、自分の腹を探られない関係は虚しいものです。
わかってないのにわかったふりをお互いにする仮面主従でしかなくなる。

そんな関係は、決まりきった形ができなくなったり、予想外のことが起きると破綻するんですよね。

もう無理だ。
こんなはずじゃなかった。
そんなのSMじゃない、主従じゃないと。


本当の正解は、相手と向き合うことでしか生まれない。

相手と本気で向き合っていたら
「こんなはずではなかった」は
生まれない思考です。

綺麗事ばかり綴って
相手がなかなかできないドムやSさんは
Mとは向き合えるけど
相手と向き合えないのかもしれませんね。

だって、、"個"というのは世界に1人しかいませんからね。世界で唯一のマゾですから。

そして多くの人が
「私と言うマゾ」を扱われたい。
と思ってるはずです。
それこそが人それぞれだと思うのです。

だから本当のSM論は自分論、パートナー論でしかないはずなのです。

そんなことを自殺予防読本をみて、考えていたのでした。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

傾国の王子

BL / 完結 24h.ポイント:376pt お気に入り:12

百地くんは愛される

BL / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:663

恋と鍵とFLAYVOR

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:184pt お気に入り:7

潰れた瞳で僕を見ろ

BL / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:21

トワイライト・ギルドクエスト

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:1,843

風紀委員長の恋活!!

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:387

雪の王と雪の男

BL / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:20

【短編】わかたれた道

恋愛 / 完結 24h.ポイント:241pt お気に入り:22

嘘はいっていない

BL / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:683

処理中です...