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公爵様の夢現
惚れ直す公爵様
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「ふぁ!天国かなぁ」
全ての行程を終えた火照った顔の神子は、天使に生まれ変わっていた。
「美しい…神子さま…ツキナ」
ルーファスを含めた王太子一行は、目がハートです。
これでマドレーヌに目が行く者はいなくなった。
家令やメイドたちが力を入れた結果だ。
「美味しい食事に…優雅な生活…王都に戻れないかも?」
神子さん!ルーファスと結婚しちゃえ!
そして、マドレーヌ奥様を解放してください!
家の者たちは、心底からそう思った。
「今日はマドレーヌ奥様は?」
「本日は領地の視察後、兵達の演習が有り参加されます。今日の演習は魔獣狩りです」
「ほお…魔獣狩り、それは我々も参加出来るものか?」
王太子が興味を示す。
「そうですね?未開の地に入る余裕があるならば、参加されてもよいかと…」
逃げ帰ってくるだろう。
バールはそう感じた。
未開の地に出る魔獣は、他の土地の魔獣とはレベルが違う。
未開の地自体が高濃度の魔素に覆われて、レベルの低い者を拒む。
明らかに…王太子一行のレベルでは入れない。
公爵領を舐めすぎだ。
ルーファス公爵ならば、入れたかもしれないが、今のルーファス公爵は恋愛一筋で身体を3年間も鍛えてないのは明らかだ。
恐らく…マドレーヌ奥様の足元にも遠く及ばないだろう。
なんて言ってもマドレーヌ奥様は、毎年一位を独占している。
屈強な専門兵達が負けるのだ。
尋常な強さではない。
こうして、競い合う事で魔獣狩りの効率を上げてきた。
年々増える魔獣を間引くことは、公爵領の大事な仕事だ。
冒険者の力も最近では借りていない。
しかし、冒険者の需要がない訳ではなく、公爵領内の冒険者ギルドはいつも賑わっている。
未開の地は天然素材の宝庫でもあるからだ。
こんなに公爵領内が自然に経済が回るのは、全てマドレーヌ奥様が、領内を事細かく見直して巡廻システム化を図り、領民と話し合いを繰り返し作り替えたからだ。
「普通に出来ることではない」
ボソッと声が出る。
バールは、お気楽なルーファス公爵様一行を冷たく見つめていた。
本来なら…現国王の裏からの手助けの元…ルーファス公爵様が行うべきことだった。
お膳立てをするためにバールは派遣された。
それでも、ここまで素晴らしい都市には出来なかっただろう。
ルーファス公爵様重視だった家令とメイドたちを手懐け、王国に忠実な領民たちの信頼を得て、様々なギルドマスターたちを魅了して、まだ…自分の欲を出さないマドレーヌ奥様。
途中、自分の欲を出したら…恐らく家令とメイドたちの裏切りに合い、領外に追い出されていただろう。
今は、全員がマドレーヌ奥様の僕だ。
領内では…奥様を「女神」と称える。
それを言うとマドレーヌ奥様が本気で怒るので、裏で称える名称だ。
商人により全国に伝わったが、領外の貴族たちは知らない。
後は、ルーファス公爵様も知らないな。
バールは密かに微笑んだ。
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