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体育教師室

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昼が終わって授業が始まっても俺は会計が俺を好きだと言うことを信じられずにいた。

いやいや。そうだよ。
実際に奴から好きだと言われたわけでもないし、俺が悩む必要はないな。
だが生徒会室参りは行きづらいな。

最近はおざなりにしてしまっていた嫌われタスクもしなければいけないのに。

だが、俺のそんな悩みも喜憂に終わった。

あれから数日経って転入生が俺に仕掛けてきたのだ。
俺が転入生に会計と恋人関係にあったということで制裁を加えていると言う噂が流れ出し、さらには転入生がわざと俺の近くで転んだり、俺以外が見ていないような絶妙なタイミングで自分で水を被ったりし始めたのだ。
ほとんどの生徒が転入生を信じているらしく、俺は避難の的になった。
正直、俺は会長の親衛隊長なのであって会計のことまで制裁すると思われているのは尺だがまぁいい。

俺は安心した。

もしも会計が本当に俺のことが好きだったとしても、制裁などする人間だと知ったら百年の恋も覚めると言うものだ。

「ひどいよなぁ。親衛隊長」
「なぁ~。マヒロから会計奪った上に制裁までやってんだろ~?」

教室でも廊下でもヒソヒソと聞こえよがしに言ってくる奴らに俺はあえて勝ち誇った笑顔を送って歩いた。こうした方がなんかうざいだろうと思って。

「何で最近生徒会室来ないんだよ」

廊下を歩いていると横の廊下から突如現れた会計に話しかけられた。
早くも周りにいた生徒が事の成り行きを見守り始めた。

「会計さまだぁ。そうですかぁ? まぁでも、最近根も葉もない噂が流れているじゃないですか~。なのでぇ、会計さまの名誉の為にも~、控えた方がいいかなぁと思って~」
「お、俺のため?」

会計が嬉しそうに頬を染めて言った。
あー。違う違う。お前の為なわけねぇだろう。強姦未遂野郎が。

だが俺は何と返していいのか分からずとりあえず微笑みで対処した。

「お、俺。琢磨や和馬みたいに可愛くないかもしれないけど、俺……」

これはまずいかもしれないな。
ここは人が大勢いる。

「あのぉ、会計さま」
「なに!?」
「いや、あの。ちょっと来てもらえますか~? 見せたいものがあるんですぅ」
「そ、そうなんだ! 分かった。行こう!」

よしよし。
これでこの公開羞恥プレイは止められた。

だがどこ行っても絶対偶然を装って人がついてくるよなぁ。
それに噂的に2人きりというのも避けたい。
俺は担任の使っている体育教師室へと向かった。

担任が時間のある時はほぼその部屋に入り浸っているのを、ほとんどの生徒が知っているはずだ。そしてこの時間はベランダに出てタバコを吸っていることを他の生徒は知らないはずだ。
俺の一服スペースから少しずれたとこからはそのベランダが見えるから俺は知っているのだが俺も隠れてタバコを吸っている身のため奴は俺が知っていることすら知らないだろう。

俺たちが体育教師室に着くと案の定担任はベランダにいた。
俺はベランダの鍵を閉めてカーテンを閉めた。

「え」

会計が戸惑ったように声を上げた。

「何だよ」
「いや、先生がベランダにいたけど」
「ああ。いたから鍵閉めたんだよ。真面目な話ができねぇだろうが」
「あ、えっと。そっか」
「おう。んで? さっきなんか言いかけてたよな」

できれば聞きたくないがここで避けてしまってまた人目の多い場所で話をされても困る。

俺はソファにどかりと座ってすっかり聞く体制に入った。
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